表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない  作者: 弓良 十矢 No War
気ままなリッター、ジーナの秘密
1461/6877

1377


「四年前もあなたはとても怒ったわ。だから、云いたくなかった。あの時より、ずっと短く切られてしまったし……」

 泣きやんだジーナちゃんは、手巾を握りしめた。ミューくんがその髪を指で梳く。

 ラスターラ邸の食堂だ。ジーナちゃんはミューくんによって椅子に座らされ、「診察」をうけている。侍女さん達は、廊下側の出入り口傍と、中庭へ面したフランス窓の前に立って、誰か来たら追い返すかまえ。俺とリッターくんとサキくんは、かたまって、ミューくん達から少し離れたところにいる。

 屈みこんでいるミューくんは、事務的に云った。

「そりゃね。()()を幾らか過ぎたくらいで結婚なんて、前時代的だ。君も俺も繁殖用の羊じゃない。それとも君はそういう扱いをされたいのか?」

「あなたが怒ると、わたし、身が竦むわ」ジーナちゃんはささやくみたいに云って、顔を歪める。ミューくんのロ-ブをぎゅっと掴み、項垂れた。「おねがい。おとうさまたちをころさないで」

 小さな子どもみたいな、か細くて不安げな声で、そう懇願する。ミューくんは微笑み、ジーナちゃんに燕息をかける。

「ああ。頭も少し冷えた。ばかな真似はしないさ。ジーナ、君はやっぱり優しいな。こんなことになってなお、親を心配するなんて」

「……違うの」

「うん?」

「お父さま達は()()()()()()()。あなたが傷付くのがいや……」

 ジーナちゃんは上目にミューくんを見る。「だから、お父さま達になにもしないで」


 ファルさんが這入ってくるや、天を仰いだ。ミューくんが立ち上がる。

「ファルマディエッシャさま」

「ああ、ミュー、僕らの立場を理解してくれ」

「ええ」ミューくんはちらっとジーナちゃんを見る。「切られたのは、六月だろ、ジーナ?」

 ジーナちゃんがこっくり頷く。ファルさんがほっと息を吐いた、

 ミューくんは哀しそうに微笑む。

「こちらこそ、まきこんでしまって申し訳ありません。俺は怒りっぽいので、彼女に無駄に気を遣わせたみたいです」

「いや、いや、君が謝ることじゃない……」

 ファルさんとミューくんは低声で喋る。ジーナちゃんは揃えた膝の上に両手を置いて、項垂れている。髪は、こちらが動揺するくらいに短い。

 四年前云々というのは、その時にも髪を短く切られた、のかな。まだ十代前半で……結婚、を、真剣に考えさせられるのか。

 話し合いの結果、ミューくんはジーナちゃんの傍に居ると決まった。だから、ミューくんはラスターラ邸へ残る。ジーナちゃんはほっとしたみたいで、ミューくんのローブをそっと掴んでいる。

 俺達三人は、ラスターラ邸を辞した。ミューくんとジーナちゃんの邪魔になりそうだったからだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ