表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない  作者: 弓良 十矢 No War
気ままなリッター、ジーナの秘密
1460/6878

1376


 ジーナちゃんと初めて会った時を思い出した。みぞおちくらいまでの髪をさらりと揺らして、ジーナちゃんは綺麗だった。

 ジーナちゃんは両手で顔を覆う。髪の毛は不格好に短い。耳がぎりぎり見えないくらいだ。

 ミューくんがジーナちゃんを抱き寄せた。ジーナちゃんは小さく嗚咽している。「どうしてなの、ミュー、あなたには見せたくなかったのに」

「そうだろうな。君の綺麗な髪を損ねたやつは誰だ」

 ジーナちゃんが顔を上げる。「なにもしないって、やくそくしてくれる?」

「無理だね。俺は何人か殺したくてうずうずしてるんだ。特に、君の家族なんか、今の気分にぴったりだよ」

「わかってるのね……」

 ジーナちゃんは、ぎゅっとミューくんを抱きすくめた。「なら、あなたを放さないわ。わたしの傍に居て、ミュー、お願い」

 ミューくんが息を吐く。侍女さん達が膝をついた。


 髪を……髪が短くなったのを、隠してたのか。ジーナちゃん。でも……。

「あ」

 思わず声が出た。口を手で塞ぐ。そうだ。結婚適齢期の女性は、髪を切る。一応婚約関係もしくはそれに準じた関係であるふたりの、女性のほうが髪を短くすると云うのは、結婚が近いと云っているのと同じなのでは。

 リッターくんが云っていたのは、これか。ああ! ハーヴィくんも云ってたじゃないか、もうすぐ結婚するのじゃないかって。ジーナちゃん、ヴェールを被らないで来たんだ、きっと。じゃあ、ユラちゃんが拾った帽子も、髪が短いのを隠す為? ジーナちゃんが六月くらいからミューくんに姿を見せなかったのも、髪が短くなったから?

 ミューくんは歯を軋らせた。

「君のご両親はまったく素晴らしい。挨拶にうかがわなかったのは失礼だったな。一緒に行かないか? ジーナ?」

「いやよ……あなたが怪我をするところは見たくない」

「ちょっと我慢してくれれば、二度と舐めた真似はしないと約束させてやる。これは俺に対する侮辱でもあるんだぞ。君にこれ以上負担をかけるのなら、俺にも考えがあると、散々忠告はした。()()()()()じゃ()()()

「ごめんなさい」

「君が謝るなよ」

「いいえ、いいえ、あのひと達にはなんにも解っていないの、あなたを怒らせちゃいけないって解っていないの。だから、堪忍して頂戴、ミュー。あなたになにかあったら……」

 ジーナちゃんはしゃくりあげ、ミューくんは鼻で笑う。

「俺は平気だってば……」

「平気じゃないわ、ほんの少しの怪我だってしてほしくないのよ!」

 ジーナちゃんが喚いた。吃驚した。ジーナちゃんがこんなに大きな声を出すなんて。

「……解ったよ。君のご両親にはなにもしない」

「ほんとう?」

「ああ」ミューくんは優しく、ジーナちゃんの目許を拭った。「今のところはね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ