表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない  作者: 弓良 十矢 No War
気ままなリッター、ジーナの秘密
1440/6871

1357


 俺達はどうしようもなく、ロヴィオダーリ邸の前の通りに立っていた。

 もう三十分は経つ。それ以上かも。ジーナちゃんが出てくる気配はない。ミューくんがほとんど瞬きもせずに門の向こうを見ているが、険しい表情のままだ。唇がかすかに動き、どうも、お祈りをしているらしかった。

 リッターくんとは友達だし、取り次いでください、と私兵に云えば多分出てきてくれる。でも、ジーナちゃんが忍び込んだからさがしてもいい? なんて云える訳がない。かといって、確証のないアーフィネルくんの話はもっとできない。

 ミューくんはじっとしている。サキくんは不安そうに云ったり来たりして、ぶつぶつ云う。

「僕が、僕の所為だ、僕があんなこと云わなければ」

「サキ、君の責任じゃない」ミューくんはロヴィオダーリ邸から目を逸らさない。「俺があっさり手を解かれたのが悪い。残念なことに、俺は体力がなくてね」

「そんな……ミュー、君はなにも悪くないよ。僕が過剰反応した所為だ。ジーナを嘘吐きみたいに云ってしまった。そんなつもりじゃなかったのに。彼女に合わせる顔がない……」

 サキくんは今にも泣きそうで、ミューくんは顔色が悪い。

「あと、少しして、ジーナが出てこなかったら……」

 ミューくんはごくんと唾を嚥む。「俺が頼んだら、リッターはジーナを一緒にさがしてくれるだろう。なにか、相応の犠牲を払えば、ジーナがばかをやったことを隠してくれるかも」

「だめだ、ミュー、それだけはやめてくれ」

 サキくんが血の気を失う。ミューくんの両肩を掴んで自分へ向かせようとするが、ミューくんは体が動いてもぐいと首を捻って、ロヴィオダーリ邸から目を離さない。サキくんはミューくんを揺すぶった。

「ミュー、君はどうしてそうなんだ? 頼むから、自分を大切にして。今度のことは僕の責任だ」

「勿論今すぐの話じゃないよ。ジーナが出てこなかったらだ。あと……俺があと十回お祈りする間」

 ミューくんはそう云って、それ以上の議論を封じた。さっきより少しだけ大きな声で、お祈りを捧げる。サキくんは見るからに焦っていた。ミューくんの手首をきつく掴んでいる。絶対に逃がすまいとするみたいに。


 流石に、三十分以上門の前にいるというのは、おかしなことだったようだ。私兵達のうち、ひとりがこちらへやってきた。ミューくんはやっぱりお祈りを捧げているし、俺とサキくんはミューくんが動こうとしないから動けない。

「お嬢ちゃんがた、見ない顔だな」

 私兵は気さくな調子で、俺に話しかけてきた。にこにこしている。

「この辺の左右組は、ルーメッツ家だったか。新人さんの挨拶まわりかい?にしちゃあ、先輩がついてきてないな」

「あ……えと」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ