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サッディレくんとアーレンセさんは、なんと結婚した。
三月の中頃にふたりから、井で結婚してきた、と報告され、俺達は全員啞然としてしまった。相談も結婚式もなしだったからだ。どうも、サッディレくんの地元のやりかたに則ったみたい。お披露目やなんかは、とセロベルさんが訊いたのだけれど、家族への報告は終わらせているし、とふたりは乗り気でなく、結局結婚式はしなかった。
ふたりとも勿論引き続き四月の雨亭で働いていて、お客さんが増えたのでお給料は上がっている。お金が貯まったら、近くに家を買う計画らしい。
ラスターラ家は、ラスターラ卿が裾野とディファーズを行ったり来たりなので、裾野に居ない間はファルさんがラスターラ卿の代理をこなすようになった。以前は別のひとが代行していたけど、ファルさんは断酒が巧く続いていて状態がいいので、任せてもらえたらしい。お酒を断ったからか、かなりふっくらしたけれど、正常なレベルかな。
エヴィさんは毎日、ファルさんと朝のお散歩をしているみたいで、三日に一回くらいふたりで朝ご飯を食べに来てくれる。結構な距離のお散歩である。相変わらずファルさんはすきあらばエヴィさんの手を舐めようとするし、このところは耳もおいしいと気付いたようで、耳に嚙み付こうとしてどつかれているのを数回目撃した。エヴィさんはファルさんには相当用捨している。
マイファレット兄妹は幼稚園を続けている。ヴェーティヨンさんはだいぶ体が動くようになったそうで、最近は子ども達に弓を教えるようになった。もともとマイファレット嬢が剣や槍の扱いかたを簡単に教えてはいたのだが、ヴェーティヨンさんの弓はもっと本格的で、傭兵が習いに来ることもあるのだとか。
マイファレット嬢は、一月に傭兵登録を済ませ、正式に護衛仕事ができるようになった。それ以来、週に三回は薬材採集についてきてもらっている。マイファレット嬢には癒しの力はないが、ひとつだけ恢復魔法をつかえる、と云うレアパターンで、オールラウンダーなのだ。やっぱりファバーシウス家とその親戚はスペック高すぎと思います。
薬材採集のお金は、マイファレット嬢の要望で、人数で頭割りした以上はあげないことになっている。なので、どちらかというと俺のお財布が重くなり続けている。でもマイファレット兄妹は近所からの信頼が厚く、古本や鉛筆、紙などの差しいれがあるので、無料でもやっていけている。マイファレット嬢は、ドレス三枚で銀貨1枚の古着屋さんを見付けましたの、とか、せっけん屋さんで半額まで値切りましたわっ、など報告してきて、かなり庶民的な感じ。ちなみにドレスは、魔法や弓の授業で服が傷んだ園児や生徒用、せっけんは園の手洗い場に置く用だ。




