大家族と男の子 ⑦
「すごいですね……」
「別にそんなことないよ。自分が好きなことをしてるだけだし。まあ、父さんの言うことも一理あるんだけど。俺は早めに決めておきたいんだ」
陸斗さんが悠人の目を見て困ったように笑う。
「陸斗兄は衣織姉とおんなじ部類だよな! 喧嘩とか言い合い始まったらいつのまにかどこかに行ってるし」
「ん〜? それはお前達がうるさいからだぞ」
「だ〜か〜ら〜! なんで衣織や陸斗の呼び方だけ! あたしは!?」
碧太くんが「お前にその価値はない。光莉もだけど」と言って琴さんをさらに怒らせる。火に油すぎて、悠人はこっそり笑った。もしも悠人が大家族ならば、こんな生活なのだろうかと思ったのだ。
夜の九時、悠人と碧太は客間でヒソヒソと話していた。きっとお母さんがみれば早く寝ろと言われるだろう。
「ねえ、碧太くんはお母さんとお父さんのこと、好き?」
「……母さんはうるさいし、父さんは休日もいないことが多いけど、好きだよ。本人たちには絶対言わないけど」
悠人がどうして言わないのか聞くと、碧太くんは「面倒そうだから、色々と」と言った。
「めんどくさい?」
「そー。親バカ? って言うの?」
碧太くんはそう言うと、ニヒッと笑った。悠人は素直にいいな、と思った。
授業参観、運動会……。子供が褒められるためにあるような行事に、離婚をした後の母は見に来てくれることはなくなった。「親バカ」とは程遠い。
……羨ましい。なんて、欲張り? 我儘? そんなこと、ないよね。
「ごめんね。本当に行きたかったんだけど、仕事が忙しくて」
これはこの間の運動会の時。
「おはよう悠人、ご飯作ったから食べといて。お皿は流しに入れといて」
これは一昨日。
「あっち行って! 大体誰のせいでわたしがこんな……! アンタのせいでバレたんだから!」
……これは、夜中に目が覚めて机に突っ伏した状態で寝ていた母を起こした時。
よく見れば、周りにお酒の缶がたくさん転がっていた。こういう時は大抵いつも手をあげられる。でも、母は何も覚えていない。
「悠人は?」
「え?」
「悠人はお母さんのこと、好き?」
お久しぶりです。
もう一つの作品に力を入れておりまして、
こちらは久しぶりの投稿となります。
お楽しみいただけると嬉しいです。




