初めてのお仕事は巡回でした
「う~ん。思ったより少ないかも」
私は専用の腰袋も渡されていてその中にはかなりのお金と食料と水、夜営セット、周辺の地図が入っていた
この小さな腰袋に一年は軽く過ごせる量が入ってるって言うんだから作った人は本当に凄いと思う
でも、失くしたら団長に弁償して貰うと脅されてしまった。私のお給金の100年分でも払えない金額だぞって言われて震えあがったもん
地図に印が描かれた場所に言って陰口のスキルをオンにする。頭のなかでスイッチのイメージが浮かび上がってこれでオンオフ可能。独り言を聞かれないかと思うと安心して過ごせるや
だって、騎士団の内部にいた時は団長も副団長も外してくれてたからね
「あっ、いたいた」
でも、団長と副団長が私を送り出した理由が段々とわかってきた。この周辺は騎士団が定期的に討伐してるから安全なんだと思う。それでも何かがあったら困るから現状を常に把握し危険な場所は騎士を直ぐに派遣して対処をする。その任務が今回の私の仕事なんだと思う。それと同時に私は試されてるんだなって感じかな? 本当に騎士団として………いや、称号持ちとして相応しい実力を持ってるかどうかを見られるテストなのかな?
【ファイアーボール】
人形の魔物で小型なら私一人でも戦える。数が多いと逃げの一択だけど数匹程度なら問題なし。十を超えるならちょっとしんどい。二十とかは無理で死にたくないから私なら絶対に逃げるもん
「うん、これなら私一人でも問題ないかな」
副団長の個人的なお願いとして南側から調査に入ったけど問題なさそう。なんでも王都のある北側は流通経路でもあるから頻繁に騎士が派遣されるけど南側は回数が少ないから気にしてたみたいだけど全然いないじゃん。問題ナッシングだよ
「えっと………南側の村は二つか」
そこからさらに南下すると別の領地となってこっちの管轄外だから行かなくていいみたい。と言うか入るのは構わないけど領内でこっちの騎士団が他の領地で調査とかしてたら問題になるから行ったら駄目とキツく言われてる。領地問題が勃発してしまうし向こうの威厳を損なってしまうみたい。みんなで協力して守りましょう、じゃ駄目なんかな?
「あっ、村が見え………えっ? 煙?」
遠くの方で村が燃えてるのが確認した。慌てるように陰口のスキルをオンにして村が燃えてることを団長と副団長、辺境伯に報告。ここからメディアバーニヤまで私はあちこち歩いてきたけど一日経過してるのに直ぐに来れるのかな? それまでに村人の避難とかして助けないと!
「くっ、や、ヤバい! 中型の鳥形の魔物が複数いる」
中型の魔物が複数とかヤバすぎる。空を飛べるから戦えない訳じゃないけど私は魔法しか基本的に使えない。一応、短剣も持ってるけど護身用でしかないから戦闘向きじゃない。一人で戦うには魔法使いはこんなの不利でしかないけど………
「や、やるしかない!」
声がかすれてしまうほど怖くて仕方がない。全身震えるどころか歯がカチカチとなって震えが止まらない。それでも私は騎士団所属の騎士なんだ! 私を………こんな私を褒めて凄いと言ってくれた団長のために………リブロイ様に立派になった姿を見せたいんだから!
村の建物があちこち燃えてるし壊れてはいるけど村の警備団が必死に戦って守ってるようで今のところ人の死体はない。怪我して倒れてる人はいるだけで私の回復魔法でもまだ助けれる範囲だ
「大丈夫ですか?」
【ヒール】
「き、君は?」
「メディア騎士団で調査に出ていて煙が見えたので駆け付けました!」
「た、助かる。村のみんなを助けてくれ」
メディア騎士団の名を告げると安心するかのように気絶してしまった。それだけの信頼と実績を団長たちは築き上げてきたんだ。私がここで損ねるようなことは出来ない!
【エアライド】
「全部で三匹、後は小型は二十とかかな?」
怖い
本当に心から怖い
だけど、死ぬよりも私を信じてくれた人たちを裏切って嫌われるのがもっと怖い
私はここで死ぬかもしれない
だけど、団長は数分で駆け付けてくれると言ってくれた
なら、私は信じてそれまで村の人を守れば勝利確定なんだから!
【ロックランス】
接近されたら絶対に勝てないし私の命は終わり。なら、接近されないように連続で魔法を唱えるだけ。当たれば御の字、外れてもこの魔法は遠隔操作可能だから時間を稼ぎやすい!
闇の魔物が私の攻撃に気付いて避けていく。だけど何匹かは当たって死んでくれた。魔物全部が私を敵視しこっちに向かってきた
「ヒッ!」
やっぱり怖い。私なんかじゃ………ち、違う! 私なら出来る! 私は私を信じれないけど私を信じてくれる人は信じれる! 団長も副団長も私なら戦えると信じてるんだ! その人たちを信じて戦い抜け!
【エアーカッター】
空を飛び回りながらロックランスを操作しエアーカッターで牽制する。簡単には近寄せるわけがない! 私は息つく暇もないまま攻撃を続けていたけど急にエアライドの魔法の効果が切れ始めた
「えっ? なんで?」
普段なら一時間は軽く飛んでられるのにもう魔力が尽きようとしてる。確かにエアーカッターを連続使用したけどそんなに魔力消費の多い魔法じゃないから選択したのに
「や、ヤバい!」
こんな高度で落下してしまったら確実に死んでしまう。何とか地面に降りないと
ロックランスを操作しながらフラフラしながら降りていく。中型の魔物はこれがチャンスとみたのかロックランスを無視して突撃してきた。当たってダメージを与えられても私を殺すことに決めたらしい
「カハッ!」
一匹の魔物の嘴が私の腹部を貫こうと突き刺してきた。装備のお陰で貫かれることはないけど地面に叩き付けられて全身が痛い。そんな私に足で地面に押さえ付け嬉しそうに嗤っていた
「ヒッ、た、助けて」
死にたくない
嫌だ
世界を見て回りたいのに
私はここで死にたくないよ
「だ、団長! 助けてぇ」
私の悲痛な叫びは誰にも届くことない。嘴を開き私を食べようとする闇の魔物しか眼には映らない。だけど、凄まじい音がして目を開けると怒りに狂った団長がそこにいた
「だ、だんちょうぉ」
「よくやった。後は任せろ」
「はぃ」
私には笑顔を向けてくれて安心させてくれる。そして、魔物を睨み槍を携え構えて叫んだ
「楽に死ねると思うなよ!」
そこからは一瞬だった。私は初めて団長が閃光と呼ばれる意味を知った。だって光の線が見えたかと思うと敵はバラバラになって死んでいたのだから
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