憧れのお姫様
結局、ルナ先輩は当然のように見付からず二人の行方を知ってる人は誰もいなかった。本当にあの二人は何処に行ったんだろうか?
「どうしようかな?」
襲撃がいつあるかなんてわからないけど、やるとしたら夜にやると思うんだよね。それが今夜なのか明日なのか………そこら辺が全くわからないからずっと警戒し続けないとならない。なら、独り言をセットするのはアチルダ先輩と辺境伯様にしとこう
「あらぁ? 私に独り言をセットするのねぇ?」
「はい、魔法を使える人は騎士団でも限られてますし」
「ならぁお願いしようかしらぁ。魔法はシールドをお願いしてもいいぃ?」
「大丈夫です」
私はアチルダ先輩にシールドの魔法をセットした独り言をかけて辺境伯様の屋敷へと向かう。辺境伯様は屋敷で書類仕事に追われていてかけると言うとアクアスプラッシュをお願いされた。あれなら被害が少なくて敵の動きを止めやすいからだろうね。それにアイシクルの魔法と合わせれば………まぁそう言うことなんだろうね
「やることはやったし巡回を何度もしとこ」
少しでも異変に気付けるように様々な場所をランダムで回っていく。何も変わらない何時もの街並み。みんな平和そうに過ごしてるんだよね。王女様が来てるから少しだけ盛り上がってる部分もあるけど、それ以外は基本的に変わらない日常だ
「王族って本当に大変だわ」
兄弟なのに殺し合わないとならない。そんなの凄く悲しいのに平然としてられるのは何でなんだろう。そんな教育を受けて育ち当然のように行ってる王子も怖いけど、それを当たり前のように受け止めてるアイシャ様も怖い。私にも兄がいるけどお兄ちゃんと殺し合うとか考えたくもないよ
だけど、ここからが地獄と言うか辛い日々に変わっていった。二十四時間、常に警戒してるから守備隊の人たちも騎士団も少しずつ精神的に疲弊していく
騎士団と守備隊の全員は襲撃に常に備え警戒していた。ここで失敗だったと言えるのが襲撃があるかもしれないと言う噂を止めなかったことだ。噂は噂を呼び尾鰭が付いていきどんどん話が大きくなっていく。最終的には闇の魔物が大群を連れて王女様を狙って襲撃してくる………みたいな噂にもなり不安が市民にも広がっていった
そんな中、私と副団長は辺境伯様の屋敷に呼ばれて伺うことになる。何で私がと思ったけどどうやら私に重要な仕事を頼みたいようだった。と言うかろくでもない用事でこんなことになるとは夢にも思わなかったんだけど
「やはりこうなりましたね」
「最悪の事態を考えていたが………やはり不安を招いてるのはエフォルド・フォン・エーゼルド公爵の部下が噂を流してるものかと。噂の発生源を調べても見付かりませんので」
「そうでしょうね。私をここから追い出し別の場所へと移動させるのが目的ですか。それだけエフォルドもバーニアとは事を構えたくない証拠ですね」
「では、作戦を実行しますか?」
「えぇ、お願いします」
何故か二人とも私のことを笑顔で見始めた。何考えてるのかさっぱりわかんないけど………でも、嫌な予感だけはする。ね、ねぇ? 何でメイドさんが私の真後ろに立って私を鷲掴みにしたの? 誰か教えてよぉぉぉ!
「ひ、酷いよぉ」
「うふふ、お似合いですよ」
私はアイシャ様のドレスを着せられメイクも施された。どうやら私を王女様の身代わりにするようだった。確かに背丈は同じぐらいだけど可愛さの次元が違う。私はちんちくりんなのに似てるわけないじゃん! 絶対に直ぐにバレるよ!
「アイシャ様の顔を知ってる民衆は少ない上にここは辺境、誰も顔を知ってはいない」
「クロエはここにいなくても隣の領地から陰口を発動させれます。何かあってもゴートンランガを側に待機させますので」
「私がここに呼ばれたのはこれが目的だったんですね」
「ごめんなさい。私も本当はやりたくなかったのですが………どうしても周囲を止めきれなくて」
まぁドレスを着られたのは嬉しい誤算だと思っておこう。こんな機会なんて早々ないし。だけど、敵さんはこれで騙されてくれるのかな?
「でも、姫様の護衛には気付かれるんじゃ?」
「そこで私の出番なのですよ」
【闇夜の一時】
何をしたのかと思ったら認識を誤認させるスキルのようだった。副団長の魔力が続く限り私の見た目を誤認させる力だと教えてくれた。幻術とは違い幻ではないので気付かれてしまったら誤認はされないが王女様のドレスを着てる限り気付かれる可能性は低いとのこと。誰にも接触はさせない方向なので問題なし。向こうの領主とも話し合ってるので向こうに着けば力を解くから着いたら教えろと言われたのだった
「アイシャ様、またお越し下さい」
「は、はい、失礼しますね」
私は引き笑いしながら昼過ぎに馬車に乗り込んだ。隣の領地には馬車で二日ほどで着くので問題なし。その間、私の世話はお付きのメイドさんがやってくれるので騎士との接触はなし。誰かに話しかけられたらどうしようかとビクビクしていたけど不安は的中することなく無事に辿り着いてしまった
「アイシャ様、お待ちしておりました」
「ど、ドワルゴ伯爵、これからお世話になります」
「お疲れでしょうから直ぐに部屋へと案内いたしましょう」
私はドワルゴ様と執事に連れられ私が過ごす部屋へと案内された。それは本当に貴族様が寝泊まりする豪華な部屋で思わず私は感動してしまって声が漏れてしまったのだった
「おぉ」
「ゴホン」
「あっ、えっと………」
「今日はごゆるりとお過ごしください。食事は部屋に運ばせますので」
「は、はい!」
やばい、めちゃんこ気を遣わせてしまった。だってこんな部屋で寝泊まりしたことないんだもん。こんな部屋で寝られるとか………一生お姫様のふりしていてもいいかもしれない
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