悪意からの卒業
「クスクス、嫌われ者ですって。相応しいじゃない」
「嗤っちゃ駄目よ。あれでも立派な称号なんだから」
「私なら生きてられなくて自殺してるわ。本当に生きた生き恥よね」
「………」
私はどの国からも声がかけられず称号を与えられる者で初めての役立たずのレッテルを貼られた
次の日から当然のように笑い者で周囲から馬鹿にされていたのが輪をかけて馬鹿にされた
「死にたい」
私がいったい何をしたって言うんだろう。どんなに辛くても諦めずに努力してきた。どれだけ馬鹿にされてた頑張ってきた。沢山泣いて悔しくて辛くても頑張ってきたのに………なのに………
「ひどいよ」
誰もいない校舎裏で一人涙を流すしかない。もうこのまま死のう。そう思った時、誰かが校舎裏にやってくる気配がして顔を上げるとそこには自信に満ち溢れる女性の騎士が立っていた
「君が嫌われ者の称号を与えられたクロエかい?」
「………そうです。笑いたければどうぞ」
「ハッハハ! さぁ笑った。君も笑え! 泣いてる顔は私は好きじゃない」
「………」
何なのこの人。こんな自信家の人なんて大嫌い。どれだけ幸せな人生を歩んできたのよ。絶対に馬鹿にされたことがないんだ。どれだけ私が辛い思いしてるか知らないくせに
「いい眼をしてる。死にたいと思ってるけどまだ諦めてない眼だ。私の手を取らないか? 君を我が騎士団にスカウトしたい」
「………はぃ?」
「聞こえなかったか? 私は君をスカウトしに来た。昨日は諸事情で間に合わなかったが今日来れたんでな。さぁ、来るか来ないかは君には決めさせない! 私は君を連れて帰ると決めている。行くぞ」
「はい?」
手首を掴まれて強制的に連れていかれた場所は校長室。確か………スカウトされた人は校長室で手続きをするって聞いたけど………私なんかをスカウトしてどうしたいの? 全く意味がわからないんだけど!
「スフェン校長! こいつをくれ!」
校長室に豪快に入り一言目がくれっておかしくない? 私は物じゃないし! ってか、私は絶対に行かない! 私だって選ぶ権利があるんだから
「………ハァ、貴方は変わりませんね。閃光のバーニア」
「………えっ? この人が閃光のバーニアさん?」
「貴方は名乗ってもいないのにクロエを連れてきたのですか?」
「ハッハハ! 細かいことは気にするなって言うだろ!」
閃光のバーニアさんって勇者の称号を持つ一人で闇の魔物との戦いで大きく武勲を上げ続けている騎士団を纏め上げてる伝説の人だ。そんな人が私をスカウトってなに考えてるの?
「その細かいことが大事なんです。エミリアの苦労が見えます」
「ハッハハ! よく死ねって言われてる! 本当に面白いよな!」
「なら、その性格を直しなさい」
「無理だ!! ハッハハ」
豪快に笑ってるこの人が伝説の勇者の一人なんて信じられないと言うか私をスカウトしたいなんて信じられない。何が起きたって言うの?
「クロエ、バーニアはリブロイが貴方をスカウトして欲しいとお願いしていたのです。リブロイに感謝するのですよ」
「………リブロイ様が」
そこで私はまた涙を流して崩れてしまった。私はリブロイ様にどれだけ救われないと駄目なんだろう。こんな大恩、生涯をかけても返しきれないよ
「泣くな! 笑って恩を返せ! それにスカウトするかどうかは私が決めるって話だった! 私はおまえが気に入ったからスカウトすると決めた。リブロイなど関係あるか」
頭にポンと手を置かれて髪をグシャグシャと撫でられた。そんなバーニアさんは本当に心優しそうな笑みを見せてる。でも、何で私を気に入ったんだろう
「バーニア、クロエをスカウトする理由は?」
「おいおい、成績からして優秀だろうが! 近接戦闘、魔法戦闘、全ての学問に置いて平均を大きく超えてる。特に飛び出てるのが使える魔法の種類だ。どんだけ努力すればこれだけの魔法が使えるのか訪ねたいぐらいだ! 攻撃、回復、サポートと、どれを見ても一級品。特に回復とサポートは直ぐにでも全線で使いたいレベルだ! 称号がなくてもあってもスカウトしな勿体無いだろ! 逆に残っていたことが私の日頃の行いの成果だな! 私のところに来る運命だったんだ! 絶対に連れて帰るぞ」
スフェン校長の机を叩き抗議するバーニアさんは私を褒め称えた。褒めてくれるのは嬉しいけど私はそんなに凄くない。だって………
「ハァ、落ち着きなさい。クロエの成績は私も存じています。ですが、戦闘訓練の成績を見た上で言ってますか?」
「知ってる! どうやら相当本番に弱いな。本番となると結果はボロボロ。使いもんにならんな! アッハッハッハッ!」
豪快に笑われてしまったけどその通りで私は実戦となると結果を出せたことがない。だからこそ余計に馬鹿にされるしイジメの対象となってた。そんな私を欲しいなんてどうかしてるとしか思えないよ
「それでも欲しいと?」
「あぁ、それがどうした?」
「ハァ、エミリアの苦労がよく見えます」
「ハッハハ! 気にするだけ無駄だろ!」
「だから、直して苦労を少しでも減らして上げなさい」
「無理だ!」
また豪快に笑ってるけどこの人が団長の騎士団はみんな苦労しそうだ………しそうだけど、なんか楽しそうに思えてしまった。みんな笑顔が耐えない、そんな騎士団のように見えてしまうのは私の気のせいなのかな?
「ですが、私だけの判断では決めれません。クロエの気持ちが大事なのですから」
「よしっ! 決定だな! クロエ、ここの書類にサインしてくれ!」
「えっ、えぇ! なんかやだ」
「ほらほら、さっさとしろって! サインしないなら毎日のように押し掛けて粘るからな!」
どんな嫌がらせなの? こんなぐいぐいを毎日のようにやられたら私が本気で困る。本当に諦めそうにないし………でも、私を必要としてくれるならそれでもいいかな?
「よしっ! これでクロエは私の騎士団所属だ! 三日後に迎えに来るから準備を整えておけよ!」
「えぇ? は、速くないですか?」
「善は急げと言うだろ? 本当は今すぐ持ち帰りたいんだがエミリアが手続きがあるし本人の準備もあるから時間の猶予を与えろってうるさいんだ。すぐに連れて帰ると説教が長いしな」
そう言ってバーニアさんは校長室から出ていった。スフェン校長は終始頭が痛かったのかずっと頭を押さえてる。そんな私は校長室で学校の卒業認証を貰う手続きと騎士団に向かう準備を整えるのだった
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