全力で帰宅(新千歳空港~草薙)
経路
新千歳空港~羽田空港(某航空会社)
羽田空港国内線ターミナル~京急川崎
(京急線 エアポート急行)
京急川崎~横浜(京急線 快特)
横浜~藤沢(東海道本線)
藤沢~小田原(東海道本線 快速湘南ライナー)
小田原~熱海(東海道本線)
熱海~草薙(東海道本線)
新千歳からは飛行機で羽田に戻ります。結局今まで土産とか、クラスの鉄道友達以外には何にも買っていなかったので、ここでさっさと買ってしまわねばなりません。一応北海道と言えば、という定番商品で良いだろうという事で大急ぎで「白い恋人」「バターサンド」「じゃがポックル」を買い上げました。基本は家族と部活仲間用です。
時間が心配でしたが案外と余裕で、手荷物検査所を通ってからもまだ搭乗が開始していませんでした。
元々は羽田に着いてから新宿まで出て185系「ホームライナー小田原」に乗って帰ろうかと思っていたのですが、流石に荷物も多くて大変だったので諦めました。その代わり、羽田から最速で家に帰ろうという事に、自分の中ではなりました。それでも、どうしても帰宅は午後10時くらいにはなってしまいそうだったのでローソンで夕食としておにぎりを購入。次の日も一応学校があるので早めに家に着いておきたたかったのです。
搭乗が始まったので早めに搭乗口に向かい、機内に入ります。またもやシートは三列の真ん中だったので、ぽいぽいと荷物を棚に放り込んでさっさと着席しました。機内は間も無く乗客でいっぱいになりガヤガヤとうるさくなってきました。また暫くしてキイィィーンとエンジン音が鳴り響き、ゆっくりと動き出しました。一昨日も乗ったのですが、まぁ、何だかワクワクしちゃいますね。キョロキョロと窓の外を見ていました。再び「G」がかかるのを感じて飛行機は飛び立ちます。あと一時間半弱で羽田空港です。
機内は西からの斜陽でオレンジ色に照らされています。機内では本を読んだり時刻表とにらめっこしたりして、時間を潰します。というか、一番早く家に着く為にはめちゃくちゃ乗り換えをしなければならないという事が判明して、少し気が引けました。都合6回。ダルい……。しかもどうやら東京の天気は雨らしいのです。という事は、ただでさえ人の多い帰宅ラッシュ時にいつもより多く人が乗っているという事ですね。うわぁん。
なんて事を考えている内に、飛行機は降下し、雲の中へと入っていきます。十数分すると、飛行機の外には暗闇が広がります。降下を続けると、漸く眼下にはピカピカ光る滑走路が見えだし、ガガーッと言って着陸します。遂に、本州に帰ってきました。
そして、ここからが勝負です。
羽田空港の到着口から出て、すぐに京急線ホームに向かいます。まずはここから横浜まで向かいます。羽田空港国内線ターミナルから乗ったのはエアポート急行新逗子行きです。座席は一気に埋まってしまいました。それでも立ち客は少なかったので、これなら大丈夫かなと思って立っていたら、全然そんなことはありません。穴守稲荷、大鳥居で一気に帰宅と見られる乗客があり、京急蒲田で大量の乗客入れ替えもありました。この時点で殆ど辛かったのですが、泣き言も言ってられず、京急川崎で吐き出されます。
ここからは快特に乗り換えです。普段京急川崎に行ったら、大体いつもパタパタ変わる発車標を見るのですが、そんな暇もホーム上のスペースもなく、ただその場で次の列車を待っていました。っていうかホーム狭すぎないですか京急さん。JRの方の川崎駅はホーム広くなりましたよ。こっちもどうにかなりませんか。とか何とかと思っていると、向かいのホームに普通列車の浦賀行きがやって来ました。ちらと見ると、何と引退寸前の800形だったんですね。半ば興奮して、これに乗っても良いのでは……と思ったのですが、一応、家に最速で着くのが目標でしたし、普通では当然抜かれまくるのでその間のロスがよぎったので止めました。今考えたら、何だかすごく惜しいことをした気分です。
そうしている間に快特三崎口行きが入線します。で、エア急より圧倒的に混んでるんですがそれは。ギュウギュウ押し込み押し込まれ乗車します。
列車の次の停車駅は横浜。横浜では東海道線に乗り換えます。川崎で乗り換えても良かったのですが、大量の荷物を持って歩くのが面倒でした。
列車は京急鶴見を出たところまでは快調に飛ばしていたのですが、途中から前が詰まっているのか低速運行に。どこだったか覚えていませんが(子安くらいか……?)遂に停止してしまいました。しばらくして発車しましたが、大分ノロかったです。神奈川新町で先のエア急を追い抜き、二、三分遅れで横浜に到着です。
横浜では蒲田や川崎よりも大量に人が降り、ホームは大混乱です。人の波に揉まれるってこんな感じなんだなと思いながら、必死に階段を下り、JRの改札へ。
18きっぷを見せました。一応「札幌駅」という印字がなされているのでどういう反応するのかなと思いましたが、そもそもスタンプが薄すぎて全然見えないので反応も薄かったですはい。
急いで東海道線ホームへ。東海道線ホームには大量の人、人、人。さすがに日本一の人口を誇る横浜市の中心駅です。札幌駅も凄かったですが、その遥か上を行っています。つまり静岡何なの。まぁとにかく人が多い。
横浜駅6番線に入線してきたのは普通平塚行き。まずはこれに乗って藤沢に向かいます。ドアが開くと、まずは大量の乗客が降りてきます。これによって一時的に車内に空きが生じます。続いてそれを埋め尽くすように待ち構えていた利用者がドバッと流れ込みます。もちろん自分も押し込まれます。
車内は凄惨な状況でした。誰も彼もが誰も彼もに押され潰され、立っているだけで精一杯。というか意識しなくても誰かによって押されているので立っていられるという謎の様相を呈していました。
ここで、自分は車内での迷惑ランキング的なのを思い出しました。最近は、車内でリュックをそのまま背負っているのが迷惑行為に認定されることが多くなっているらしいですね。何だかリュックで人の入れるスペースを占有してしまっているとか。で、自分が今まさにそれなんですけど、という感じでした。いやだって、乗り込むときに押されてそのままだったし、人多すぎて背負い直せないし、網棚遠すぎてお土産も手に持ったままだし……。東京怖い……。
自分史上最も過酷な列車乗車でした。地方の人間がノコノコ都会に出てきたのが間違いでした。もう静岡で充分。
藤沢で降ります。藤沢は小田急と江ノ電も乗り入れるターミナル。降車客も結構多いです。ですが、ここから乗るのは小田急でも江ノ電でもありません。
階段を上って、JR1·2番線ホームへ向かいます。普段あまり使われていない藤沢駅1·2番線ホーム。これは設置されているのが東海道線の旅客線ではなく、貨物線だからです。貨物線──つまり貨物列車が通る為の線路です。しかし、そんな東海道貨物線にも、旅客列車はあります。それが、朝晩のみ走る「湘南ライナー」「ホームライナー新宿」「ホームライナー小田原」です。この列車たちの一部は、小田原~武蔵小杉(品川)を東海道貨物線(横須賀線)経由で走行します。これには通勤帰宅時間に増発されている普通列車に影響されることなく、高速で列車を運行させる事が出来るという利点があります。ライナー券またはグリーン券が必要ですが、車両は特急型車両(一部は通勤列車とも取れる形式だが)なので、快適に乗ることができるのです。しかも下り列車に関しては、藤沢(大船)以西から乗車する場合はライナー券が不要。つまり普通の快速列車として乗車可能です。という訳で、藤沢19:18発「湘南ライナー1号」に乗って小田原まで向かいます。しかも、これに乗ってしまえば先ほどの平塚行きや、その後すぐ出た小田原行きよりも先に小田原駅に到着することが出来るのです。しかも、小田原では都合よく19:44発の熱海行きに接続しているので、何としてでもこれに乗る必要があったのです。
しばらく2番線で列車を待っていると、発車標に遅れ3分の表示が……。おいおい、これで熱海行き乗り遅れたらここで乗り換えた意味無くなるんですけど……? 不安になりつつ、列車を待ちます。
五分くらい(体感十分)待って、漸く185系が到着です。藤沢で降りる人もまぁまぁいたので、普通車は割りと空いていました。迷いなくモーター車に乗り込みます。
185系はMT54の爆音をとどろかせ、夜の湘南を駆け抜けます。185系は国鉄時代に製造された直流特急型車両ですが、現在では廃車も進み、いよいよ「踊り子」の運用もE257系に置き換わる事が発表されました。元々、特急以外での運用(例えばこの「湘南ライナー」や普通列車)も想定して製造されたので、当時の新型特急としてはいささか近郊型普通列車の色が表れた車両であったようです。ただ、そのお陰でこのように低料金で良い車両に乗車出来る訳ですから国鉄さまさまです。しかし、この「湘南ライナー」も185系や251系が置き換えられてからは通勤特急列車として運行されるようですから、今までのようには使えませんね。
185系は恐らくJR東日本の特急電車としては、183系や485系と並んで最古参と言えるでしょう。車内にも、国鉄──昭和を感じる仕様がたくさんあります。定期運行されているのはこれだけですから、今の内に昭和の匂いを感じる国鉄車両に乗るのも良いかと思います。
さて、二席を占領してリクライニングを倒して沈み込みます。こうやってゆっくりと爆音モーターを聞けるのもあと少しなのでしょう。MT54はどんどんその数を減らしているので、残念です。東海にももうちょっと頑張って残して欲しかった。
列車は茅ヶ崎を出発すると、次は小田原です。遅れているという事もあってか、相当なスピードを出してくれました。185系の最高速度は110km/h。最近の特急列車と比べれば若干劣りますが、それでもここまで速く走ってくれるのはありがたいです。
列車は爆走を続けて、いよいよ小田原駅に到着です。遅れは、恐らく1分くらいに縮まったでしょうか。ただ、ゆっくりもしていられません。熱海行きの発車時刻は過ぎています。向かいのホームでこの列車の到着を待ってくれていたようですが、すぐに発車してしまうでしょう。
停車して、ドアが開きます。小走りを始めます。
そして、それと同時に向かいのホームの発車メロディが鳴らされます。早ぇよ……と思いつつ、向かいのE231だかE233に飛び乗ります。間も無くしてドアがしまり、すぐに発車します。車内にはそれなりに人がいましたが、真鶴や湯河原で降りる人も多かったです。
程無くして熱海駅に到着。
またここで乗り換えです。乗ったのは211系ですが、本当に久々に見た気がします。
211系も国鉄時代に0番台から3000番台が製造され、JR東海では新たに5000番台と6000番台を製造しました。かなりのモデルチェンジがありましたが、それでも設計は国鉄の時のを踏襲しています。313系との混結というのは、よく考えてみれば結構特殊だと思いました。
211系のMT61を聞きつつ、いつの間にか清水まで来ていました。あと数分で草薙です。
荷物を支度して、降りる準備を完了させます。
草薙の街明かりが見えてきて、列車は停車します。
ホームに降り立ち、帰ってきたんだなぁと実感します。
静岡から北海道まで色々鉄道に乗りましたが、やはりそれだけでなく、地域の様子を少しでも見る事が出来て良かったと思います。結局、鉄道というのは利用者のためにある訳ですから、その利用者がどういう風なのか、またどういう訳で利用するのかという事も一つ、考えるべき事かとも思いました。
一人で行ったものだと、最長距離、最長期間の旅でしたから、楽しかった反面終わってしまって残念という気にもなりました。
でも、これからもいくらでも鉄道の旅行は出来る訳ですから、どんどん計画を立てて、妄想して、実行したいと思います。
完読ありがとうございました。
皆さんも、気が向いたら鉄道の旅をお楽しみ下さい。旅好きなら、きっと楽しいはずです。




