第62話 フレンドリィ★
遠くに人影が五つ現れた。
「…やっと来たわ」
ヴェルナが言った。
「先手必勝!」
カーフェイからゴム鉄砲が発射された。
キュンッッ
「え!?」
ルゥが頭を右にずらした。するとルゥの後方で
ドカ――――――――ン
「「「「!?」」」」
岩が砕け散った。
「輪ゴムね」
ジャンヌが輪ゴムを拾い上げた。
「輪ゴム!?」
「輪ゴムで岩が砕けるにゃ〜?」
「普通は砕けないと思うわ…?!」
「輪ゴムを撃ってくるって事は…敵だよ皆!」
ルゥが言った。
「大正解!ルゥくん凄〜い!」
「だろ?…ってわ!」
ルゥが横に跳んだ。その瞬間クロレカの巨斧が振り下ろされた。
「反応も凄いね!」
「なんだぁ!?デカ過ぎじゃね!?」
「えへへ♪ありがとう!でも攻撃するよ!」
「褒めてないし?!」
「危ないにゃ〜!!」
「うふ♪仔猫ちゃんのが危ないわよぉ」
「にゃ?!」
ヴェルナの二丁の銃が発砲される。
「にゃ…!!」
なんとか避けたアミュ。
「アミュ大丈夫!?」
「心配してる場合か?」
「っ!」
ガンッ
エリアがセルシオの暗剣を防ぐ。
「…なかなかやるね」
「…どうもっ!アクア!」
素早く避けるセルシオ。
「へー!凄いね!こうやってゴム鉄砲って作るんだ!」
ソラが言った。
「そうそう。そして小指を離すと…」
カーフェイが言った。
キュンッッ
「わ!凄い凄い!」
「こうなるんだ♪」
カーフェイが言った。
「「「「「「戦えよ?!」」」」」」
突っ込まれる二人。
「遊んでる場合じゃないわよぉ?」
「…馬鹿が」
「ロックブレイク!!」
クロレカが魔法を唱えた。
「「「「わあ!?」」」」
突然地面から出てきた岩にメンバーが吹っ飛ばされる。
「えへへ♪効いてる効いてる!」
「アイスエイジ♪」
びゅわっっっっっっっっ
吹っ飛んでいるメンバーを極寒の風がを襲う。
「レイ!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
カーフェイの手から真っ白の光線がメンバーに乱射する。
「ダークネス」
ドコォっっ
セルシオが言うと黒い球がメンバーを襲う。
「い…一方的…」
「強いにゃ〜…!!」
「ど、どうしよう…?」
「ウチに任せなさい!!」
「パー子!?」
見ると、ジャンヌだけが無傷で立っていた。
「あんたらのレヴェル的に今は勝てないわ!!」
ジャンヌが言った。
「じゃ…どうすれば?」
ソラが聞いた。
「戦わなければいいの」
「「「「ええ?!」」」」
メンバーが突っ込む。
「あらあら?駄目よ逃がさないわ♪」
「…雑魚が」
「えへへ♪鬼ごっこなら負けないよ!」
「ってかこっちは基本飛び道具だし」
四人が言った。
「あら。今は逃げないわよ?」
ジャンヌが応える。
「まずは戦えないようにするわ!!」
そう言うとジャンヌは右手を挙げた。
そこに光が集まってくる。そして
「ディメンジョンブッシュ!!」
ジャンヌが叫ぶと物凄い勢いで地面から生け垣が現れた。そしてガンガン高くなる。
「わっ!?」
「きゃ!」
「うわ!!」
「にゃ?!」
メンバーのそれぞれの手首に太い蔓が絡み付いた。
「ったたた…痛いにゃ〜…」
「まったく…なんなのよ?」
アミュとヴェルナが起き上がった。二人以外は誰もいない。
「にゃにゃ?!団子!!」
「あら仔猫ちゃんじゃない」
ビンッ
「にゃ?!」
アミュが離れようとした時
「何この蔓?」
ヴェルナの左手とアミュの右手が太い蔓で繋がれていた。
「取れないにゃ〜!!」
「やだ!得物がないわ!?」
拳銃を"得物"と呼ぶヴェルナ。
「どうなってるにゃ〜?魔法も使えないにゃ〜!!」
『ゲヘヘヘヘ♪気分はどう?皆の衆!!』
拡声器っぽいところからジャンヌの声が聞こえた。
「メガネ!?」
『今あんたらはウチの魔法にかかってるわ!!』
ジャンヌが言った。
『さあモヤシに大根にチビッコに毛玉!今の内に逃げるわよ!!』
「…え?仔猫ちゃんも捕まってるじゃない?」
「メガネ!?どういう事にゃ?!」
『え?』
アミュの声が聞こえたのかジャンヌが言った。
『……いっけね☆巻き込んじった!!(小声)』
「馬鹿――――――っ!」
『さ…さぁレヴェルアップするのよ!!モヤシに大根にチビッコに毛玉!!』
「都合良く言い変えた?!」
『さあ皆の衆!!ゴールを目指して突き進め☆』
「…どういう事?」
ヴェルナが言った。
『ルールは簡単!双六よ!!看板に従わないと先に進めないから頑張ってね!!じゃね!!』
ブツッ
「「…は?」」
にょっ
「!」
目の前にデカいサイコロが現れた。
「…双六するのにゃ?!」
「面倒臭いわぁ…」
そう言いながらサイコロを持つヴェルナ。
「やる気にゃ?!」
「仔猫ちゃんといると臭くなりそうだからね」
「にゃにおう?!」
「だって猫って臭いじゃない」
妙な偏見はやめましょうヴェルナさん。
「わーい!双六だあ♪」
クロレカが言った。
「ねぇねぇソラくん!わたしがサイコロやっていい!?」
目を輝かせて自分の右手に左手を繋がれているソラを見上げた。
「う、うん…良いよ?」
「わーい♪ソラくん優しー♪」
楽しそうにサイコロを持つクロレカ。
(…この子…さっきまで僕達に向かって巨斧振り回してたよな…?)
クロレカの豹変ぶりに戸惑うソラ。
「えいっ!」
サイコロが転がる。
「わ!見て!ソラくん!!6だよ!6!!」
「う…うん!やったね!」
「6マス進めるよ!!」
楽しそうに手を引くクロレカ。
(…まあ…いいか…)
「…んでこんな事オレが…パー子め…」
「はははいいじゃないか!楽しそうで!」
カーフェイが言った。
「…しかもなんでコイツだよ?」
「君もなかなか美少年だね♪」
「何の話?!」
「ははは!セルシオにそっくりだね」
「は?あの仮面野郎か?」
「うん!それー♪」
カーフェイがサイコロを転がした。
「…1かよ」
「あ、あれぇ?」
「まあ良いや…行くぞ」
「うん♪」
1マス進むルゥとカーフェイ。
「…一回…回れ?」
ルゥが看板を読んだ。
「条件?」
「そうみたい。よし回れおっちゃん!」
「おっちゃん?!言ったなこのチビー!それー!!」
「いひひひひ♪」
楽しそうに回る二人。仲のよろしい様で。
「…」
「…」
「…」
「あ、あの…」
「何だ」
「前…見えてる?」
「煩い黙れ」
「は、はい!ごめんなさいっ!」
(〜っ!ソラ〜助けて〜っ!!)
一番絡みにくいセルシオとペアになってしまったエリア。
「サイコロ…投げる?」
「勝手にしろ」
「う…うん」
ビクビクしながらサイコロを転がすエリア。
「…5だって」
「行くぞ」
「う…うん…」
5マス進むエリアとセルシオ。
「…これを…読め?」
エリアが看板を見た。
「…」
(な、何この漢字?!読めないわ!?)
そこには"西洋松露"と書かれていた。
恐る恐るセルシオを見るエリア。
「…」
「…」
「…」
「…解らないのか?」
「う…うん…ごめんなさい…」
「"トリュフ"だ」
(嘘!?)
ピンポーン
(嘘?!)
驚くエリア。
「常識だ」
「べ…勉強になりました…」
再びサイコロを転がすエリア。
"西洋薄雪草"
「…」
「…」
「…」
「"エーデルワイス"だ」
(嘘!?)
ピンポーン
(嘘?!)
博学なセルシオ君でした。
「わー?!ソラくんまた"魔物を倒せ"だって!!」
「またぁ!?」
「ごめんなさい〜!!」
『グルルル…』
魔物が現れた。
「なんでこの子達…わたしの言う事聞かないの〜?」
「危ないっ!とう!」
クロレカを引っ張りながら魔物に回し蹴りをお見舞いした。
『きゃうんっ』
「わあ!ソラくん強ーい!!」
「大丈夫?」
「うん♪それー!!」
サイコロを転がすクロレカ。
そしてまた6マス進むソラとクロレカ。
「スタートに戻れ…」
「…クロレカ?」
「わーん!ごめんなさーい!!」
スタートに戻って行く二人。
「ねぇ!今度はソラくんが投げてみて!!」
クロレカが言った。
「え?」
「はい!」
「あ、うん…それ」
サイコロが転がる。そして
「8!?」
「わーい!凄いソラくん!!」
「いやいや8はおかしいでしょ!?」
「きっとソラくんは双六の神様なんだね!!」
「ええ?!」
8マス進むソラとクロレカ。
「…魔物を倒せ」
「またぁ!?」
「にゃ〜…疲れたにゃ〜」
「しっかりなさい?それ」
ヴェルナがサイコロを転がす。
「4ね…」
4マス進むアミュとヴェルナ。
「…一回休み」
「にゃ?!一回ってあたし達以外みあたらないにゃ?!」
「どういう事?!」
「…」
そこに座るアミュ。
「?」
「休むにゃ〜」
「…そうね」
隣に座るヴェルナ。
「…団子はどうしてセイクリッドにいるにゃ〜?」
「…何?急に」
「暇にゃ」
「…そうね。…なんで私がセイクリッドにいるかって言うと…」
ヴェルナが口を開いた。
「…て危な!なんでこんな事仔猫ちゃんに言わなきゃなんないのよ!」
「にゃ〜?いいじゃんか〜」
「サイコロ投げるわよ?」
「にゃ〜い」
「…3」
「微妙にゃ〜…」
3マス進むアミュ達。
「…よかった…何もないマスよ」
「にゃ〜速く進むにゃ〜」
「はいはい」
「おっちゃん…」
「何?ルゥ」
「…さっきから1しか出てないよ」
「あ、あれぇ?おかしいなぁ…」
「貸せい!!」
カーフェイからサイコロを取り上げるルゥ。
サイコロが転がる。
「どうだ!?」
ルゥが言った。
「って0!?」
「有り得ない!?」
「マジかよ?!0ってどんだけ!?」
「最悪じゃんルゥ!やっぱ私がやる!」
「お、おう!任せた!」
有り得ない目が出てしまったルゥは素直にカーフェイにサイコロを渡した。
「…十万払え」
カーフェイが看板を読んだ。
「高っ!?」
「余裕♪」
「ええ?!」
なんの躊躇いもなく十万を払うルゥ。
「さ、行くよ?」
「う、うん…」
(…感じ悪いなコイツ…)
「…」
「…」
エリアとセルシオは看板の前に立っていた。看板にはこう書いてあった。
"相手を笑わせろ"
「…」
「…」
「…」
「…笑え」
「は…ははは?」
ブー
ハズレブザーが鳴る。
「…」
「…」
「…」
「ふ、布団が吹っ飛んだぁ…」
エリアが言った。
「…」
「…」
「…」
「あ、アルミ缶の上にある蜜柑…」
エリアが言った。
「…」
「…」
「…」
「…」
「つまらん」
「…おっしゃるとおりです」
「…」
「…」
その時、セルシオの目にある物が止まった。
「…おいお前これ食え」
セルシオが生えていたキノコをよこした。
「?」
「さっさとしろ」
「は、はい!」
パクッ
「…」
「…」
「…ふっ」
エリアが吹き出した。
ピンポーン
「ふふふっうふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
笑いが止まらないエリア。
「…」
セルシオがサイコロを転がす。
「…6か…行くぞ」
「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ!」
大爆笑しながら6マス進むエリア。
"相手を泣かせろ"
「チッ…面倒だな」
「うふふふふふふふふ?」
するとまたまた目に止まる。
「これ食え」
「うふふふふふ?!」
「早くしろ」
「うふふ!うふふふふふ?!」
「…」
「もがっ!?」
エリアの口にセルシオがショッキングピンクのキノコを押し込んだ。
すると
ドバーっ
「うふふ?!」
エリアは笑いながな大泣きし始めた。
「うふふ!うふふふふふ!!」
「行くぞ」
「うふふ?!」
「5マス…」
黙々と進むセルシオ。その後を泣き笑いながらエリアが追っかけた。
"相手を怒らせろ"
「…もう怒ってるだろ」
ピンポーン
『おーとぉ?!毛玉たちがお楽しみマスに止まった〜!!入れ替えのチャンス!!さあ誰になるかなー♪』
この情報を誰よりも喜んだのは…
(や…やったわ!!)
エリアちゃん。
(これで無口くんともおさらばね!!)
心から喜ぶエリアちゃん。
『さぁ!願ってみて?誰とあーたは繋がれたい?!』
(…え?)
顔を赤くするエリア。
『じゃーシャッフル開始〜♪』
ぐわんっ
「きゃ?!」
空間がねじ曲がった。
ぐわんっ
ぐわんっ
ぐわんっ
ぐわんっ
ぐわんっ
『さあ!誰と誰が繋がれたカナ〜!?』
ノリノリで実況するジャンヌでした。