第45話 ドラゴン
あの鰐は無事川に返されました。
「鰐…」
「元気だして?ソラ」
「つうか鰐を家まで連れて来たソラ兄が凄いチュー」
「…て、何してんのルゥ?」
「く…オレとしたことが…!!チーズに釣られて"ネズミ取り"に…っ!!」
「「ええ?!」」
急いで哀れなルゥを救出する二人。
「何故…何故チュー!?鼠のオレの思考回路はショート寸前なのかチュー?!」
「が、頑張ってルゥ!後二日メェー!!」
「そう言って紙とか食べないでエリア!?」
「は!私としたことが…!!」
落ち込むエリア。
「…て、ルゥ?!」
「くっそ…またかよ?!」
再びネズミ取りに掛るルゥ。
「あれ?アミュがいないメェー」
「アミュならさっき散歩に行ったぞ。」
「「「シオンいたの?!」」」
「失礼だな?!」
「珍しいメェー!!何も言わないで行っちゃうなんて!」
「何かあったのかワン?」
ルゥを助け出しながらソラが言った。
「…今日は"あの日"だからな。」
「あの日?」
ソラが聞き返す。
「何小説っぽく勿体ぶってるチュー?」
「はあ?!」
ガチョンっっっっ!!
「く…!!」
「ルゥ!!」
またもやネズミ取りに掛るルゥ。もう可哀想!
「…気になるなら墓に行ってみればいいだろ」
「「「?」」」
「多分そこにいるぞ。」
「ようし!姉御を追い掛けるチュー!!」
「うん解ったからもう動くな?ルゥ」
「…はい。」
まさにチーズを追おうとしていたルゥの尻尾をガッシリ掴むソラ。
街外れの墓地に着いた三人。そこで墓に花をお供えしているアミュを発見した。
「…何しに来たにゃ?」
「「「!」」」
ドッキリする三人。
「バレバレにゃ〜…つうか墓石に隠れるのは考えモノだにゃ?!」
姿を現す三人。
「お墓…誰のだメェー?」
「…昔話をしてあげるにゃ〜」
「「「?」」」
そう言ってその場に座るアミュ。…いやいや墓石に座るのは考えモノですよ?!
「むかあし昔、ルポ族の街にアミュレリスと言うそれはもうプリチィーな女の子がおりましたにゃ」
「そこらへん必要かチュー?」
「アミュはその日、街の皆に怒られてしまいましたにゃ」
ポカンッ
『痛ったーいにゃ〜!』
『あれ程店の物を盗るなって言ってるワン!!』
注)ソラではありません。
『いいじゃん!あんなにいっぱいあるんだし!!』
『駄目だメェー!!』
注)エリアではありません。
『窃盗は泥棒の始まりだチュー!!』
注)ルゥではありません。因みに窃盗は既に泥棒です。
『…にゃ〜…お姉ちゃんはいっっっっつもこうしてたにゃ〜!!』
"お姉ちゃん"と聞いて街の皆の顔色が厳しくなる。
『アミュ?お姉ちゃんの事は忘れるワン!!』
『ど、どうしてにゃん?!』
『アミュとは住む世界が違うチュー!!』
『そんな…!それでもあたしのお姉ちゃんだもん!』
『アミュ…解って欲しいメェ…アミュの両親を殺したのは…』
『煩いにゃ!!絶対そんなハズないにゃ!!!』
『アミュ!』
『いつもお姉ちゃんを悪く言って…挙句この街から追い出して…!もう皆大っ嫌いにゃ!!』
そう言って街の外へ走っていくアミュ。
『…アミュ。』
街の皆は悲しい表情をしていた。
大分走った。此処がどこだか分からなかった。ただ、独りになりたかった。
『ありゃ〜?かぁ〜わいぃ〜!にゃんこちゃんだぁ♪』
後ろから甘ったるい独特の声がした。
『…誰にゃ?』
『やぁ〜ん"にゃ"だってぇ〜!萌えぇ〜☆』
『…?』
振り向くアミュ。そこにはピンク色の制服を着た女性が立っていた。髪の毛は物凄いストレートで、頭の上の方で二つに縛っていて、残りはそのまま下に流してある黄緑色のショートヘアーだ。真っ直ぐな前髪が目の陰になっていて、目はよく見ることが出来なかった。
『具合悪いにゃ?顔色が悪いにゃ』
アミュが言う。
確かにこの女性は恐ろしい程顔が真っ青だ。
『しっ、失礼ねぇ〜!』
『…ごめんなさいにゃ』
『しししっ♪気に入ったよぉ!お友達になってよぉ!!』
『?…うにゃいいにゃ』
『ヤッタぁ!友情成立ぅ☆』
女性が飛び跳ねた。
『ドラは"ドラゴン"って言うのぉ!よろしくねぇ♪』
『アミュレリスにゃ』
『アミュちゃんかぁ♪じゃ友情記念に良いもの三つあげるねぇ♪』
『? マタタビにゃ?』
『ししっ♪そんなヘボいもんじゃないよぉ〜☆』
ドラゴンがアミュに近寄った。
『アミュちゃんが欲しいものはぁ〜…"力"と"孤独"と…"殺意"♪』
『?!』
不気味などす黒い緑色の光りがドラゴンの左手の人指し指に集まる。
そして
『プレゼントだよぉ〜☆』
『!!』
アミュの頭にその光りを突っ込む。
『ハイおしまいっ!』
『…なんにゃ?この気持ち…』
アミュを見て楽しそうに笑うドラゴン。
『それがぁアミュちゃんの"殺意"だよぉ〜♪』
『!?』
『殺意の使い方が分からないぃ?』
そう言ってアミュの腕を掴むドラゴン。
『殺意はねぇ…こうやってぇ…』
街にアミュの腕を向ける。嫌な予感がした。
『…める…ゃ』
『ししし♪』
『やめるにゃ…やめるにゃ!!』
『こぉするのぉ!!』
『やめろ――――っ!!』
どかぁぁぁぁぁぁぁぁんっ
『しししししししししっ♪アミュちゃん凄ぉい!!』
『っ!!』
街が吹き飛んだ。
『そ…そんな…!』
『? アミュちゃんが"街を壊したい"って思ったんじゃなぁい♪』
『そんな事―…』
『思ってないぃ?』
真っ赤な恐ろしい目を見開いてアミュを見つめるドラゴン。
『本当にそんな事思ってないぃ?』
『―っ!?』
『しししっ♪まぁいいよぉ〜♪』
そう言ってアミュから離れるドラゴン。
『もぉ五時だし帰らなきゃぁ☆』
『ま、待つにゃ!!』
『バイバイアミュちゃん?またいつか会いましょぉ〜?』
その瞬間、風に乗ってドラゴンは消えた。
「…じゃあこのお墓は…」
「…あたしが殺した人達だにゃ」
「そんな姉御は悪く―…」
「「っ!?」」
「うわっ!?」
「? どうしたにゃ?」
「ししし♪久しぶりぃアミュちゃん?」
甘ったるい聞き覚えがある声がした。
「!!」
振り向くアミュ。
「ドラゴン!!」
そこにはドラゴンが立っていた。
「何しに来たにゃ?!」
「暇潰しぃ〜♪」
「ふざけるな!!人殺し!!」
アミュが叫んだ。
「何言ってるのぉ?街の皆を殺したのはアミュちゃんじゃないぃ〜♪」
「…っ!!」
「感謝してよぉ?アミュちゃんに"力"と"孤独"と"殺意"をあげたんだからぁ!」
「そんなもの…いらないにゃ!!」
「ししし♪あの後孤独だったでしょぉ?街の皆から酷い言われようだったもんねぇ?」
「黙れっ!!」
「シオン君がいて良かったねぇ♪」
「エアリアルアイオロス!!」
「無駄だよぉ〜☆エアロぉ♪」
いとも簡単にアミュの最大魔法が掻き消されてしまった。
「っ!」
その時、
「青い……顔っっ!!」
震えあがるエリア。
「ん?ありゃ〜☆良いもんめっけぇ♪」
ニタっと笑うドラゴン。
「これは早速カメとトラに報告だぁ♪」
「!!」
膝をつくエリア。
「?! エリア?」
ソラが駆け寄る。
「しししししし♪報告報告ぅ〜☆じゃあねぇ〜アミュちゃんと+α☆」
「ま―…!」
風か吹いた次の瞬間、そこにドラゴンの姿はなかった。