第43話 クリオル
周りが静まりかえった。
ピョロリーン。ピョロリーン。ピョロリーン。
気の抜ける音がした。同時にヴェルナがソラから離れた。
「―なぁに?クロレカ―…」
『ヴェルナちゃんヴェルナちゃん!!早く帰って来て〜!!見せたいものがあるのォ〜!!!!』
「…また何か作ったの?」
『すんごいの!!すんごいの!!』
「あー解った解ったわ!今行くわ…」
『うん!待ってるよ!!…つうか来ないと潰す。』
「…え?クロ?」
ブツッ
ツーツーツーツーツー…
「…」
「……」
「………」
「…………?」
「うふ♪やーぱり、炎クンには私の氷は効かないのね」
ヴェルナがソラ達に向き直る。
「「「「…は?!」」」」
「まーたく、駄目ね〜♪」
ヴェルナが続ける。
「ま、用事は済んだし…ホントはもっと遊びたかったけど…じゃあねん♪」
見ると、ヴェルナは黒の宝玉を持っていた。
「「「「!!」」」」
「ふふっ、ルヴニール♪」
そう言ってヴェルナは消えた。
「て…手癖悪ィな…」
「気付かなかった…」
「にゃ〜んっそれよりソラソラが無事で良かったにゃん♪」
「うわあ?!」
ソラに抱きつくアミュ。
「アミュー!!」
「ふにゃあ?!エリたん怖〜いっ」
「何してんだよ!離れろ猫娘!!」
「イオ!」
「イヤン♪そんなに見つめないでっ…歌…素敵だったよ!」
「! …歌…」
酷く赤面するソラ。
「ソラ兄っアンコール♪」
「もう…歌なんか歌うもんか…!!」
「じゃあ元気でNA!」
「うん。シドはその語尾直した方がいいよ」
「ソラくン!気を付けてネ!!」
「うん。レミはもっと周りを考えろ?」
「また会いましょうね!です!!」
「…」
「え?!なんでボクちんだけ何も言わないんですか?!」
「そうそウ、ソラくン!これ、プレゼントだヨ!!」
「?」
手渡されたモノを見るソラ。
「よおコラ」
「遠慮しとく。」
「な、なんデ〜?!可愛いいじゃン!?」
「つうか貰ってくれYO!ソイツは俺っち達のB―…」
「ばっか!何言ってんですか!!」
ファーがシドをどつく。
「?」
「いっ、いいノ!とりあえず貰ってヨ〜!!」
「…うん、解った ありがと!」
「うン♪」
「じゃあね!」
「「「バーイバーイ!!!!」」」
こうしてソラ達は村を後にした。
「…良かっTA」
「アイツは手に負えないもんネ…」
「そうですね…ボクちん達の…」
「「「番長…クリオル!!」」」
「ヒヨコ…?」
エリアが問う。
「…死んでるにゃ?」
アミュがつつく。
「よおよお気安く触ってンじゃねぇぞコラ?!」
「うわ?!喋った!?」
ルゥが驚く。
「どうしたにゃ?ソラソラ、このヒヨコ…?」
「…貰った?」
「なんで疑問形にゃ?!」
すると、ソラの掌からヒヨコが羽ばたいた。…あれ?ヒヨコって飛べるっけ?
「なンだなンだ〜?今度の子分はこの餓鬼共か〜コラ?」
「えっらそ〜なヒヨコ!ソラ兄〜今日唐揚げにしよ〜?」
「ああ?!お前この可愛いいヒヨコを喰おうってンのかコラ?!血も鼻毛も無ぇンじゃねぇ?!」
「いいよ〜」
「待ていコラ?!!!」
「ヒヨコって飛べるのね…!」
「おう?…嬢ちゃん、鳥を見た目で判断しちゃあいけねぇぞコラ?」
「何者にゃ〜?」
「おう申し遅れたなコラ!俺様の名は"クリオル"じゃコラ!」
目の細いヒヨコが羽ばたきながら自己紹介した。
「にゃ〜クリオルも風使いかにゃ〜♪」
「おう、よろしくな化け猫コラ!」
「ばっ、化け猫?!!」
「おう!それにチビ助にソラ坊にエリたんな!コラ」
「ああ?!」
ルゥが突っ込む。
「え…エリたん?」
エリアが驚く。
「にゃ〜"エリたん"は、あたしだけ使うにゃ〜!!」
「ざけンなコラ!エリたんは皆の共有物じゃコラ!!」
「チビ助だとこのヒヨコ!!!?」
「あっはっ!良いじゃん!ルゥにピッタリ♪ねぇソラ?」
「うん今日も可愛いいねイオ!」
「「「!」」」
「イヤン♪照れるじゃン♪」
「い、今…なんて?」
「そ…そんにゃ…」
「はんっ!ひざまづくがいい!!」
「「にゃにおう!?」」
「うひゃ?!」
恒例の女二人の蛇追いが始まった。
「罪な男だねぇソラ坊は…コラ」
「チビ助ってやめろやコラ」
「ああン?!チビなモンにチビ言うて何が悪いんじゃチビ助!!コラ」
「なにおう!!!?」
「ま、まふ〜」
「きききっ」
「「脇役は黙ってろコラ!!」」
「「!!」」
「まっふ〜〜!!!!」
「ぎきゃーー!!!!」
「うわ?!ガブとテトラがキレた?!!!」
「ちょっ…ま、待ていコラっ!!」
「まふ〜まふまふ〜!!」
「きききききぎゃー!!」
「痛ったあ?!」
「痛い痛い痛いっ!ま、待ていっ俺様が悪かった!」
「良いよね、爬虫類って…♪」
ドタバタしているメンバーを気にせず、そこら辺にいたトカゲを捕まえてウットリしているソラ。
メンバーの旅は、まだまだ続く。