第32話 群青色カレー
清々しい朝
コンコン
「ソラ様〜?起きないんですか〜?朝ですよ〜」
ソラの部屋の扉をノックしながらフィーナが言った。
『…』
それからしばらくしてから
ガチャ
扉が開き、ソラが顔を出した。
「おはようございま―…ソラ様?!」
ソラの様子を見て、驚きの声をあげるフィーナ。
リビングにて
「しかし珍しいな…ソラが起きないなんて」
椅子に座ったシャーンが呟いた。
カチャ
「あ フィーナ兄どうだった?」
リビングにやって来たフィーナにルゥが尋ねると
「はい。お腹痛いって寝込んでました」
心配そうな顔をしながらフィーナが答えた。
「「ええ!?」」
それを聞いて驚くメンバー。
「そそっソラは大丈夫なの?!」
顔を青くして心配するエリア。
「食当たりか?」
小首を傾げながらシャーンが言った。
((・・・))
バッとシャーンを見るメンバー。
「…へ?」
未だ嘗てない注目に同様するシャーン。
「…イモ虫…入れたそうですね?」
そんなシャーンにフィーナが言った。
「………………はっ!!」
昨夜のことを思い出すシャーン。
「朝飯どーすんだよ!?」
頭を抱えながらルゥが叫んだ。
「にゃ〜ソラソラが心配にゃ〜!!看病してくるにゃ〜♪」
そう言ってソラの部屋に行こうとしたアミュを
「待ちなさい?」
殺意の篭った笑顔で止めるエリア。
「は…は〜い…」
怖じ気付くアミュ。
「では…私、薬草探して来ますね」
フィーナはそう言うと、家を出ていった。
・・・
「…にゃ!!フィーナって方向オンチじゃなかったかにゃ?!」
数秒の間を置いてアミュが言った。
「あ!そうだった!姉御!!!」
ルゥが気が付いたように玄関のドアを指しながらアミュに言うと
「合点承知にゃ!!」
そう言って、アミュが部屋から飛び出していった。
「…料理出来ねぇよ俺…」
シャーンが呟くと
「オレなんか包丁持ったことすら…エリ姉は?」
そう言って、ルゥがエリアに顔を向けた。
「…ごめんなさい…」
申し訳なさそうに顔を背けるエリア。
「きき」
溜め息をつくテトラ。
「「…」」
無言になるメンバー。
すると
ガチャ
「ただいま帰りました〜」
「「速っ!?」」
フィーナが帰ってきた。
「ありませんでした」
フィーナがケロリと報告すると
「「ちゃんと探した!?」」
透かさず突っ込むメンバー。
「…ってあれ?姉御は?」
その時、アミュがいないことに気が付くルゥ。
「アミュ様ですか?外には来てませんよ?」
小首を傾げて答えるフィーナ。
「何処行ってんだよあの猫…」
シャーンが溜め息をつきながら言うと
「…まさか」
すっと個人の部屋へと続く階段の方に目を向けるエリア。
すると
『あ、アミュ?!何やって―…』
『にゃは〜ん♪ソラソラを看病しに来たにゃ〜♪』
『うわあ?!何してんのアミュ!?』
二階からアミュの声とソラの叫び声が聞こえてきた。
「「…あンの猫…」」
溜め息をつくルゥとシャーン。
『病人はそっとしておかなくては駄目ですよアミュ様?』
すると、フィーナの声が二階から聞こえてきた。
「「!?」」
バッとメンバーが振り向くと、先程まで後ろにいたフィーナがいなくなっていた。
((瞬間移動した?!))
メンバーが衝撃を受けていると
「ふみゅう…」
「まったく!」
アミュを猫掴みしたフィーナが二階から降りてきた。
((こ…こやつ…出来る!))
とか思うメンバーでした。
「皆様、料理は?」
フィーナが尋ねると
「「作れません」」
「きき…」
声を揃えて答えるメンバー。
「…駄目ですね皆様」
やれやれと肩をすくめながらフィーナが言った。
「フィーナは作れるの?」
エリアが尋ねると
「作れません」
さらりと答えるフィーナ。
「「ええ!?」」
衝撃を受けるメンバー。
「ど…どうするにゃ〜?」
アミュが頭を抱えながら言うと
「…やれるだけやってみましょう」
フィーナが言った。
「そ…そうね!皆で力を合わせましょう!」
同意するエリア。
「じゃ…じゃあ何作る?」
シャーンが尋ねると
「「カレー」」
さらりと答えるエリアとアミュとフィーナ。
「いやいや…ソラ兄お腹痛いんだよ?」
右手を横に振りながらルゥが言うと
「では、早速作りましょう!」
「「おー!!」」
それを無視してメンバーはキッチンに移動した。
「…大丈夫…なのか…?」
嫌な予感を肌で感じとるルゥくんでした。
「カレーって何入れるにゃ?」
キッチンに立ったアミュが小首を傾げた。
「せめて作り方知ってる物をチョイスしようよ姉御」
静かに突っ込むルゥ。
「確か…ジャガイモとニンジンと…タマネギにお肉じゃなかったかしら?」
顎に手を当てながらエリアが言った。
「…恐らく正解だと思うよエリ姉」
ルゥが言うと
「それにリンゴと蜂蜜ですね!」
にこっと笑いながらフィーナが言った。
「あはは…成程…」
ルゥが言うと
「それに魚とキュウリにカタツムリだよな!!」
腕捲りしながらシャーンが言った。
「うん?!それはおかしいよシャーン?!」
透かさずルゥが突っ込むと
「「あそっか!!」」
ポンと手を叩くエリアとアミュとフィーナ。
「あそっか!!じゃないよ?!ってもう入れちゃった?!」
ルゥの突っ込みも虚しく、材料を鍋の中に入れるメンバー。
「そして最後にルゥを入れるにゃ〜♪」
すると、にこっと笑いながらアミュが言った。
「なんでっ!?…ってあ…ルゥね…カレールゥ―…」
ルゥが言ってる途中で
「行くにゃ〜♪」
ルゥを担ぐアミュ。
「ってうわ?!やっぱオレなんだ?!」
アミュに担がれてジタバタしながらルゥが突っ込むと
「てい!」
アミュがルゥを鍋に入れた。
「ちょっやめっ…ってあっつうううううううう?!」
直後、ルゥの絶叫がこだました。
「…何かなこれは?」
顔を引きつらせながらメンバーに尋ねるソラ。
「「カレー」」
声を揃えて答えるメンバー。
「…」
目を擦って再び目の前の皿に目を向けるソラ。
「…自信無いけど…食べてあげてソラ兄…?」
包帯だらけのルゥが恐る恐る言うと
「………………コレを?」
ソラが皿を指さした。
「う…………………うん」
今、ソラの目の前には、ご飯と群青色のなんかグツグツいってる液体が乗ったお皿ある。
野菜はまだ普通に火が通っているのだか、魚は口がまだパクパクしているし、肉なんかまだ血が付いている。
更に酷い事に、カタツムリが皿の上を這っていた。
「…」
そんな異物を黙って見下ろすソラ。
「もう何やってるにゃ?はいあ〜ン♪」
「うぐっ?!」
そんなソラに、アミュが無理矢理カレーを突っ込んだ。
・・・
数秒の間を置いて
バタ…
仰向けに倒れるソラ。
「きゃあ!?ソラ?!」
倒れたソラを見て顔を青くするエリア。
「ヤバイ!ソラ兄の顔色が青を通り越して白に!?」
頭を抱えながらルゥが言うと
「いや!!白も通り越して土気色に!?」
冷や汗を掻きながらシャーンが言った。
「返事がない。ただの屍のようだ…」
ナレーションするフィーナ。
「言ってる場合にゃ?!」
スパァンと突っ込むアミュ。
「「ソラー!!」」
「ソラ兄ー!!」
「ソラソラー!!」
「ソラ様ー?」
「まふー!!」
「キキキー!!」
…何がしたいんでしょうかこの人達…






