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EP5. 瞳

目が覚めると、星空とそびえたつ山が見えた。

俺は見知らぬ草原に立っていた。



何が起きたか、思い出せない。



――しばらくして、脳内に禍々しい声が流れ込んできた。


『―—死んだか。』


「誰だ!

てか、ここ、どこだよ!?」


『私の世界だ。』


「私の世界...?お前は、あの化け物か...?

やっぱり、俺は食われて死んでここは化け物の腹の中ってことか...!?」


『俗物と一緒にするな。私は真神(まがみ)

お前は死んだ。」


――やはり、死んだらしい。一発逆転なんてなかったわけだ。


「...神ってことは、これは地獄行きか天国行きかの面接か何かなのか?」


『違う。』


星空に、天の川ほどの大きさの、金色の瞳が開く。

あまりに圧倒的な「存在」に空気が揺れる。

――動けない。




『契約だ。』


「...契約?」


『私はお前を生かす。

私の力を貸す。

その代償に――。』


『―—お前は力を借りるごとに(わたし)に近づく。』





「断ったら――?」


『完全な死だ。

天国も地獄もない。虚無だ。』


――救いはない。

何気ない日常のはずだったのに。

何もかも現実離れ。

「日常に戻るための方法」、それすら現実離れした選択肢を提示する星空の金色の瞳。

だが、現実離れした状況の連続にもはや慣れつつあった今の俺には、その選択肢を選ばない考えはなかった。



「...わかった。契約だ。ついでに一つ質問いいか。」


『...何だ。』


「これ、お前に得あるのか。」


少し間が空いて、獣の瞳は答える。

『ある。』


そして、獣の瞳がほんの少し細くなる。

『お前が生きていることだ。』


「はぁ?」


まさしく神のいたずらのようなのらりくらりとした答えに困惑している俺に、獣の瞳はお構いなしに続けて言った。

『―—契約成立だ。』


その瞬間、世界は引き延ばされるように歪んだ――。

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