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そして、イエリ城内の食事の間にて。
「おいしい……!」
思わず何度目かの声を漏らしながら、コトネはスプーンを口へ運ぶ。
フェリカから聞いていた通り、食卓に並ぶ料理はどれも素晴らしい味だった。
スパイスで煮込まれた豆と野菜のスープに、ひき肉とトマトのソースを包んだ焼き物。
焼きたての薄いパンに、香草を使った小皿料理。
食後の紅茶が運ばれてきた頃には、コトネはひとつ残さず平らげていた。
「本日の食事、お口に合いましたでしょうか」
皿を下げに来た食事係が、恭しく頭を下げる。
「ええ、とてもおいしかったわ」
「うん! どれもすごくおいしかった。特にあのスープ、すごく好き」
ぱっと表情を明るくするコトネに、食事係もほっとしたように微笑んだ。
「それは何よりでございます。フェリカ様から、皇貴様は温かい煮込み料理をお好みだと伺っておりましたので」
「え?」
思わずコトネがフェリカを見る。
フェリカは少しだけ困った顔で紅茶を口に運びながら、
「長旅の後だもの。温かいものの方が落ち着くでしょう? ──でも、消化に良いようにおいしく仕上げてくれたのは、あなたたち食事係よ、ありがとう」
「とんでもございません」
うれしそうに微笑む食事係を見て、コトネもわずかに口を開く。
それに気付いたフェリカが、視線をコトネに移すのを見て、食事係もコトネに向き直る。
「あ……」
「どうしたの、コトネ」
柔らかな笑顔でフェリカに促され、
「……あの、食事、すごくおいしかった……ありがとう」
「……! とんでもないことです、皇貴様。お喜びいただけて何よりです」
「それから、フェリカも、──ありがとう」
「ふふっ、コトネが喜んでくれたのなら、私もうれしいわ」
二人から笑顔を向けられ、僅かに顔を赤くするコトネ。
う、うん、と頷くと、注がれた紅茶にそっと手を伸ばした。




