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残り12ヶ月、未性別の皇貴は誰を選ぶ━━三国の王子と王女の国取り婚姻譚  作者: ぬこ@nuko_nuko


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***


 そして、イエリ城内の食事の間にて。


 「おいしい……!」


 思わず何度目かの声を漏らしながら、コトネはスプーンを口へ運ぶ。

 フェリカから聞いていた通り、食卓に並ぶ料理はどれも素晴らしい味だった。

 

 スパイスで煮込まれた豆と野菜のスープに、ひき肉とトマトのソースを包んだ焼き物。

 焼きたての薄いパンに、香草を使った小皿料理。


 食後の紅茶が運ばれてきた頃には、コトネはひとつ残さず平らげていた。


 「本日の食事、お口に合いましたでしょうか」


 皿を下げに来た食事係が、恭しく頭を下げる。


「ええ、とてもおいしかったわ」

「うん! どれもすごくおいしかった。特にあのスープ、すごく好き」


 ぱっと表情を明るくするコトネに、食事係もほっとしたように微笑んだ。


「それは何よりでございます。フェリカ様から、皇貴様は温かい煮込み料理をお好みだと伺っておりましたので」

「え?」


 思わずコトネがフェリカを見る。

 フェリカは少しだけ困った顔で紅茶を口に運びながら、


「長旅の後だもの。温かいものの方が落ち着くでしょう? ──でも、消化に良いようにおいしく仕上げてくれたのは、あなたたち食事係よ、ありがとう」

「とんでもございません」


 うれしそうに微笑む食事係を見て、コトネもわずかに口を開く。

 それに気付いたフェリカが、視線をコトネに移すのを見て、食事係もコトネに向き直る。


「あ……」

「どうしたの、コトネ」


 柔らかな笑顔でフェリカに促され、


「……あの、食事、すごくおいしかった……ありがとう」

「……! とんでもないことです、皇貴様。お喜びいただけて何よりです」

「それから、フェリカも、──ありがとう」

「ふふっ、コトネが喜んでくれたのなら、私もうれしいわ」


 二人から笑顔を向けられ、僅かに顔を赤くするコトネ。

 う、うん、と頷くと、注がれた紅茶にそっと手を伸ばした。

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