表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/94

Chapter.86

 家まで送ってくれるという由上さんに、もう遅いから悪いですって断ろうとしたら、もう遅いから送って行くんだよって返された。あぁ、そうか。そうだよねって納得して、家の前まで送ってもらった。

 誰かの“彼女”になるのが初めてだから、どう対応していいものかわからなくて、しばらく戸惑ってしまいそうだなって思う。

 玄関のドアを閉めて、ただいまの挨拶もそこそこに自室に戻って窓の外を見ると、由上さんが来た道を一人で戻る姿が見えた。

 由上さんが、私の、カレシ……。

 口の中で小さく言って、嬉しさを噛みしめる。

 あふれる想いを書き留めておきたくて、ルーズリーフを取り出したところで、部屋のドアがノックされた。

「みーなぁ、お風呂あいたよ~」

 室外からのおねーちゃんの声に慌ててルーズリーフを元に戻して、

「はぁい、入ります~」

 返事をした。


 湯船につかって、今日のことを思い返す。朝家を出るときはこんな気持ちで帰宅するなんて思ってもみなかった。

 由上さんの『文化祭が終わるまで』っていうのは、こういうことだったんだってわかって、やっと安心もできた。そ、それにしても大胆だなぁ。けど、変な風に噂として広がるよりはありがたかったかも。

 もっと二人でこっそり気持ちを確かめ合うってシチュエーションにも憧れたりしてたけど、それ以上にすごいことしてもらったんじゃない? って時間差でキャ~! って浮足立ってる。

 さっきまでのことを思い返したりこの先のことを想像したりしてたら、思っていたより時間が経ってたみたいで、ちょっとのぼせた。

 それでもつい考えてしまう。由上さん、いまなにしてるかな、おうち着いたかな、私と同じように、キャ~ってなってるかな……。

 いままでもいまなにしてるかなって考えたことあるけど、今日からはその先に思うことが少し違ってきそう。

 文化祭が始まる前までの私に教えてあげたい。頑張って耐えたから、ご褒美もらえたよ! って。まぁ、学校サボっちゃったけど……あれがなかったらまた違う未来になってたんだろうな。

 ニマニマしながら髪や身体を洗ってお風呂を出る。部屋に戻ったらスマホにメッセが届いていた。


sowa{帰宅しました〕

sowa{今日はありがとう〕

sowa{これからもよろしくね〕


 そんな報告が嬉しくて、スキンケアもそこそこに返事を打つ。少しのやりとりをして、お互いに切りがなさそうなことに気づいて、おやすみなさいって送りあって終わらせた。

 大丈夫、私たちには明日も明後日も、そのあともずっと、一緒にいられる時間がある。だから今日は、おやすみなさい。


 嬉しい気持ちのまま眠ったら、夢の中でも嬉しい出来事があった。

 起きたときに内容は忘れてしまったけど、昨日からの幸福感はいまも続いていた。でもちょっと実感がなくて不安になって、メッセの画面を開いたら昨日の夜のやりとりが残っていて、またあらためて安心した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ