LV361 昆虫の巣窟
「メロ……ずっと起きないね」
「うん、前から眠る時間が増えてたけど、今回は長いよね」
「その鞄の中が気に入っているのであろう。そのうち目を覚ます」
そんな話をしながら、フミヤ達は現在13層まで辿り着いていた。
「おい、ちょっと休もうぜ。ここの魔物は容赦なく襲ってくるから体力がもたない」
「そうなの?」
フミヤ達は意外そうな顔でイレイザを見る。
「お前らの体力が底なしすぎんだよ!」
13層は、獰猛な昆虫が数多く巣くうエリア。昆虫がゆえに知力に乏しく、他の魔物と違い強者に対しても区別なく襲ってくる。
初めて嗅ぐ人間の匂いは、肉食昆虫にとってえも言われぬ美味な香りを漂わせ、本能を刺激する。目をつけられたフミヤ達は幾度となく、魔界の昆虫に襲われていたのである。
「もうすぐ次の階層に着きそうだと言うのに、貧弱だのぅー」
イレイザに駄々をこねられ、皆が休息していると遠くの方から巨大な何かが、森の木々を押しのけこちらへ突き進んでくる。
「なんだアレ?」
「おっきな昆虫……」
「たぶん魔王だのぅ」
現れた生物は全長30m程の巨大なカブトムシであった。
ヴィオラはすっと立ち上がる。
「ここは、私に任せて!」
ヴィオラは剣を抜き、構える。
「エアースレイブ!」
刹那、迫りくる巨大カブトムシの大きな角が切断され、宙に舞う。切り落とされた角は大きな音と振動を起こし地面に突き刺さった。それでも、巨大カブトムシは止まらない。
ヴィオラは剣を横向きに両手が構え、突進してきたカブトムシの頭突きを受け止める。ヴィオラと巨大カブトムシはフミヤ達の横を猛速度ですり抜けていく。
ヴィオラは巨大カブトムシの突進を受け止めながら、魔法「ライトニング」を数発放った。「魔界の雷は気性が荒い」それは、ヴィオラの放つ魔法にも影響するようで、上空にある大きな魔界の雲より放たれた雷魔法は、地上では考えられない威力を発揮した。
巨大なカブトムシの背中を「ライトニング」が貫通し、鉄よりも固い外皮達を突き破り内膜をむき出しにする。さらに、ヴィオラが間髪いれずに放った雷系中級魔法サンディスが凄まじかった。むき出しになった内膜より侵入した電流が巨大カブトムシの全身へと流れ体液を沸騰。巨大カブトムシを焼け焦がしたのであった。
「ヴィオラ……また強くなってる」
「うぬぅ!」
「化け物か……」
フミヤ達の元へヴィオラは駆け戻る。
「倒したよーー」
「ヴィオラ、お帰りーー」
フミヤはヴィオラをぎゅっと抱きしめた。
「フミヤ……」
※フミヤからメキメキと激しい音が聞こえる。
※フミヤはピクピクしている。
「フミヤ――‼」
ヴィオラは、自分がとてつもなく強くなっている事に気付いていなかった。




