LV359 似た者同士
「ここは俺の出番のようだ……」
そう名乗り出たのは、どこか同じ空気を醸し出す男イレイザ。
「俺は炎煉のイレイザ、お前の相手は俺だ!」
※イレイザは格好良さそうなポーズを決めた。
「なかなか良い構えだ……よかろう」
※リザイダは格好良さそうなポーズを決めた。
「阿呆だ……」
「阿呆だのぅ」
フミヤ達は、状況を静観する。
両者が同時に前へ出ると互いの剣がぶつかり大きな金属音が響いた。この初撃をきっかけに、剣と剣とが幾度となくぶつかり合う。
「このイレイザの剣技についてこれるとは、なかなかの手練れ……さすがは魔王」
「主こそ、子の魔王の攻撃を受け止めるとは……やりおる」
盾を持たないイレイザの攻撃頻度を80とすると、その攻撃を剣と盾とで受け止め40の頻度で攻撃を繰り出すリザイダ。互いに決め手に欠ける攻防が、しばらく続く。
「あいつブリズエラより弱そうなのに、なんでブリズエラより下層の魔王なんだ?」
「ブリズエラは、魔界にいた時よりも強くなっておる。多分、今なら十層以上の魔王にも勝てるのではないかのぅ」
「でも、魔王の実力なら、イレイザには手には負えない敵じゃない? 結構いい勝負のように見えるんだけど」
「だから阿呆なのじゃ」
「だよね。どうみても、あまり上手くない剣術。手の鋭い爪で攻撃した方が早い気がするんだけどなー」
「そうじゃ、しかも腕から生える三つの角。あれも剣より相当な強度じゃぞぅ。何より盾なんかなくても、イレイザの攻撃など屁でもないわ」
「手を抜いてるって事?」
リザイダは、自身本来の戦闘スタイルを封印したままイレイザと戦っている。それは決して手を抜いているからではなく単に「格好がいい」からだ。
リザイダは人間に憧れを持っていた。
リザイダは過去一層に住んでいた事がある。その一層で、偶然魔界へ迷い込んだ冒険者と会話をする機会があり、剣術の基礎を学んだ。それ以来、リザイダは独学で剣術を修練する。—―が、所詮は我流。神界で剣術の特訓を受けたフミヤにも見透かされるほどの粗末な剣術であった。
「あの二人、似た者同士だな……」
「そう、阿呆が二人じゃ」
「よし、行こうか」
「うぬぅ!」
「ちょっと、イレイザはどうするの?」
「放っておこう……」
「うむぅ」
そう言い、フミヤとベレッタは歩き出す。
「まてーーーいっ!」
イレイザとリザイダは声を揃えてフミヤとベレッタを引き留めた。
まさに似た者同士である。




