♥ 馬車の中 2
気持ち良く眠っていたのに、ゴトンッ──って、大きな音と揺れで目が覚めた。
もぉお〜〜〜何だよ……。
ベアリーチェ
「 ……セフィ、どうしたんだ? 」
セフィ:セフィロート
「 ベリィ、起きましたか。
マチルフォント領の関所は通過しましたよ 」
ベアリーチェ
「 えっ?!
マチルフォント領に入ったんだ!
じゃあ、クルチェにもう直ぐ会えるんだな! 」
セフィ:セフィロート
「 無事に着ければですね 」
ベアリーチェ
「 どういう事だ? 」
セフィ:セフィロート
「 マチルフォント領地の地面から魔素が噴き出してます。
濃度も濃いですし、厄介です 」
ベアリーチェ
「 えぇっ?!
魔素が地面から噴き出してるのか?
何処何処、見たいよ!! 」
セフィ:セフィロート
「 ベリィ、落ち着いてください。
マチルフォント領には専属の〈 セレネイ 〉が居る筈です。
〈 セレネイ 〉が居るにも変わらず、魔素の濃度が弱まっていないのは異常です 」
ベアリーチェ
「 〈 セレネイ 〉が魔素の濃度を弱めるのをサボってるとか、ボイコットしてるとか? 」
セフィ:セフィロート
「 さぁ…そこまでは 」
ベアリーチェ
「 妖精さんにスパイさせてたなら分かるんじゃないのかよ? 」
セフィ:セフィロート
「 〈 セレネイ 〉の監視はさせてません。
魔素が噴き出している場所を避けて移動する必要があります。
到着には時間が掛かりそうです 」
ベアリーチェ
「 えぇ〜〜〜。
マジかよ〜〜。
魔物が出たりはするのか? 」
セフィ:セフィロート
「 この程度の濃度なら未だ大丈夫でしょう。
最優先は魔素の濃度を弱める事ですけど、〈 セレネイ 〉を見付けなければ話になりません 」
ベアリーチェ
「 セフィ……。
精霊の力で何とか出来ないのか?
妖精さんでも魔素を一時的に弱めたり出来ないのか? 」
セフィ:セフィロート
「 精霊も妖精も魔素の影響は受けません。
魔素をどうこうする方法は無いです 」
ベアリーチェ
「 な、無いの??
聖属性とか光属性とか魔法があるだろ?
何とか出来ないのか? 」
セフィ:セフィロート
「 精霊も妖精も魔素に対しては何も出来ません。
魔素を浄化する事が出来るのは、異世界から召喚された聖女だけですし、魔素の濃度を弱める事が出来るのは〈 セレネイ 〉だけです。
精霊と妖精が横槍を入れる事は出来ません 」
ベアリーチェ
「 えぇっ…?!
そうなの……。
何にも出来ないなんて…。
──そう言えば、マチルフォント領の騎士隊は周りに居るのか? 」
セフィ:セフィロート
「 居ませんよ。
騎士が道案内に1人乗車してくれてます 」
ベアリーチェ
「 何で?
マチルフォント領に入ったらマチルフォント邸まで騎士隊が護衛をしてくれるんじゃなかったのか? 」
セフィ:セフィロート
「 マチルフォント領内に出現する怪物を退治して回っているそうです。
マチルフォント領には騎士団が500名程居ますけど、人数が足りないそうです。
深刻ですね 」
ベアリーチェ
「 騎士団の人達は〈 セレネイ 〉の事を知らないのか? 」
セフィ:セフィロート
「 どうでしょうね… 」
ベアリーチェ
「 何だよ〜〜。
何で知らないんだよ〜〜。
セフィは精霊だろう! 」
セフィ:セフィロート
「 ベリィ、精霊が何でも知っていると思わないでください。
興味のない事は知りません 」
ベアリーチェ
「 …………セフィ…御免な…。
精霊と妖精は人間には干渉しないんだったよな…。
オレ……忘れてた…。
セフィが何時もオレの為に色々としてくれるから……御免な… 」
セフィ:セフィロート
「 ベリィ…。
ベリィが気になるならマチルフォント領地の〈 セレネイ 〉についても調べましょう 」
ベアリーチェ
「 有り難な、セフィ(////)」
セフィ:セフィロート
「 どう致しまして 」
馬車は慎重に進んでいるみたいだ。
馬車の窓から黒い靄みたいなのが見える。
確かに地面から噴き出してるように見える。
あの黒い靄が魔素なんだ…。
あの魔素がシュケルハン領地にも出現してるんだ。
危険は身近にあるんだな…。
クルチェはこんなに危険な状況の中を馬車に乗って、6時30分 〜 7時間も掛けて移動して、オレの誕生日パーティーに出席してくれたんだ…。
クルチェの為に何か出来ないのかな?
大人がどうにも出来ない事を無力な子供のオレがどうにか出来るなんて思いやしないけど……、それでもさオレの友達になってくれたクルチェの為に何かしたいよ…。
今のオレに出来る事って言えば…、セフィに泣き付いてお願いするって事だ……。
1人じゃ何も出来ないオレって役立たずだな…。
そんなオレだけど、クルチェは会えたら喜んでくれるのかな?
何か急にドキドキして来た(////)
早くクルチェに会いたいな。
クルチェの笑顔が見たい!
馬車の窓から外を見ていると、お屋敷が見えて来た。
あの立派な屋敷がマチルフォント邸なんだ。
シュケルハン邸よりも大きくて立派なお屋敷なのが離れた位置からでも分かる。
公爵家って凄いんだなぁ……。
ベアリーチェ
「 セフィ、クルチェの屋敷って立派だな。
4人家族で暮らしてるのか? 」
セフィ:セフィロート
「 いえ、4世代です。
18名の大家族で屋敷に暮らしてます 」
ベアリーチェ
「 えぇと……凄いな… 」
まさかの大家族とは……。
ものスッゴく家族構成が気になるぅ〜〜。
セフィ:セフィロート
「 ベリィ、もう直ぐマチルフォント邸へ到着しますよ 」
ベアリーチェ
「 う、うん…。
ドキドキが止まらないよ(////)」
セフィ:セフィロート
「 ふふふ。
ベリィ、可愛いです(////)」
ベアリーチェ
「 もう…笑うなよ〜〜(////)」
オレは両手で自分の両頬をパチンと叩いて、気合いを入れた。
よしっ!!
もう、大丈夫だと思う。
馬車がマチルフォント邸の門を通った。
門の奥には綺麗な中庭が広がっている。
手入れが行き届いている綺麗な中庭を抜けると、巨大な噴水がある。
噴水の周りを走って、馬車が停まった。
マチルフォント邸の玄関の前に停まった馬車のドアが開く。
馭者がドアを開けてくれたんだ。
先にセフィが馬車から降りて、オレが降り易いように手を差し出してくれる。
セフィの手を取って、オレは馬車から降りた。
──*──*──*── 馬車の外
どデカくて立派な屋敷が目の前に聳え建っている。
馬車に乗ってマチルフォント邸まで道案内してくれた騎士が、マチルフォント邸の玄関のドアを開けてくれた。
◎ 訂正します。
マルチフォント ─→ マチルフォント




