✒ 【 帝都、最後の日 】 商店街 / 最後のショッピング 3
下品な男達の悲鳴だけじゃなくて、雑貨屋に買い物へ来ていた男性客や女性客,店員達の悲鳴も聞こえて来た。
店内が噴き出した真っ赤な血で汚れている。
あぁっ……折角の店内が迷惑な男達の汚ない血で汚れちゃったよぉ!!
もう店内には迷惑な4名の男達の姿は無く、今度は店内の外から悲鳴や叫び声が響いている。
雑貨屋を出てみると《 商店街 》に沢山居た人達の姿は減っていて、残っている殆んどの人達はとある場所を見ている。
其処にはまるで洗濯物を干しているかのように、真っ裸で両肩から先のない4名の男達が逆さ吊りにされていた。
両足首は縄で縛られていて上の縄に結ばれている。
両肩から血を垂れ流しながら全裸で吊るされている名前も素性も知らない4名の男達は、大事な部分を隠せもしない状態で晒し者となっていて、更には抵抗が出来ないのを良い事に烏達から容赦なく身体を嘴でつつかれていて悲惨な状態となっていた。
まさに “ ざまぁ! ” な光景だった。
ベアリーチェ
「 …………妖精さん達大分張り切っちゃったんだな… 」
セフィ:セフィーロ
「 彼等が持っていた銃は妖精達が回収してくれましたよ。
マーナを込めて撃つマーナ銃とは違い、魔法力を弾丸へ圧縮変換させて撃てる代物のようです。
名前は魔弾銃だとか 」
ベアリーチェ
「 へぇ…じゃあ、魔法力を持ってる魔法使い専用って事かな?
魔法使いが拳銃を使うって、なんか変な感じだな? 」
セフィ:セフィーロ
「 魔法使いもピンからキリまで居ますからね。
キリ以下の魔法使いに魔法力を込めさせて使わせるのでしょうね。
込めた魔法力を圧縮し、弾丸へ変換させる事で鉛,鉄,火薬…等を節約する事が出来ます。
この魔弾銃には属性変更機能は付いてませんけど、中々高性能で優れていますね 」
ベアリーチェ
「 セフィ、こんな物騒な銃が≪ 帝都 ≫で製造されてるって事かな?
こんなのが戦争の時に使われたら…… 」
セフィ:セフィーロ
「 飛び道具ですから、多少は有利になるでしょうね。
上手く使えれば応用も出来ます 」
ベアリーチェ
「 応用? 」
セフィ:セフィーロ
「 睡眠魔法を弾丸へ変換させたり、毒魔法を弾丸へ変換させたり、麻痺魔法を弾丸へ変換させたり出来れば便利ですし、火魔法を弾丸へ変換すれば火傷を負わせれますし、氷魔法を弾丸へ変換すれば凍傷させる事も出来ます。
雷魔法を弾丸へ変換すれば感電させる事も出来ますね。
これは魔法力を1回込めれば弾丸を6発程作れるように出来ています 」
ベアリーチェ
「 ………………これって完成品なのかな? 」
セフィ:セフィーロ
「 いえ、どうやら試作品のようです。
彼等がどの様な手を使い入手したのか分かりませんけど、使い方次第では脅威になる事は間違いないでしょうね 」
ベアリーチェ
「 そんな……。
じゃあ≪ アブカニズダ帝国 ≫は戦争を諦めてないって事? 」
セフィ:セフィーロ
「 そうでしょうね。
ベリィ、どうしますか? 」
ベアリーチェ
「 えっ?
どうするって……?? 」
セフィ:セフィーロ
「 魔弾銃ですよ。
妖精達に存在する魔弾銃を全て回収させますか。
2度と製造する事が出来ないように魔弾銃に関わる関係者も始末しましょう。
設計図の類いも全て回収しますよ 」
ベアリーチェ
「 …………で、出来るの? 」
セフィ:セフィーロ
「 ベリィが望むなら 」
ベアリーチェ
「 …………魔弾銃を2度と製造が出来ないように魔弾銃と設計図を全部回収するのは是非ともお願いしたいけど……関係者を始末するのは…やり過ぎかも? 」
セフィ:セフィーロ
「 関わった人間が生きていれば、誰かが造りますよ 」
ベアリーチェ
「 ………………それは…困るんだけど……。
──そうだ!
妖精さん達に憑依してもらったらどうかな?
魔弾銃と設計図の類いが突然消えちゃうと騒ぎになっちゃうかも知れないからさ、関係者達をランダムに廃人へしていくんだ。
そんで、何かしらの事件なのか新手の病気なのかで帝国内を混乱させるんだよ!
帝国民が原因不明でバタバタと廃人が増える事件に注目している隙に、魔弾銃や設計図の類いを拝借して、製造工場を全部消し飛ばしちゃうだよ!
……ど、どうかな? 」
セフィ:セフィーロ
「 ………………成る程、やるには徹底的に──という事ですか。
流石ワタシのベリィですね。
予め別の事件を起こしてカモフラージュに使うとは考えましたね。
手間は掛かりますけど、それでしてみましょうか 」
マジかよ……本当にする気なのかよ…。
手が込んでるから却下されると思ってたのにな……。
セフィーロが大量に生み出した新しい妖精さん達は、セフィーロの命を受けて帝国中へ飛び散って行った。
もう止められないヤツだ。
≪ アブガニズダ帝国 ≫が極秘で製造させている魔弾銃は1ヵ月以内に帝国内から姿を消す事になるだろう。
オレの所為で魔弾銃製造の関係者達はセフィーロの生み出した妖精さん達に憑依されてから数日後には廃人になるんだ……。
名前も知らない大勢の帝国民達が──、排泄物と涎と鼻水と涙を垂れ流して息するだけの廃人と化しちゃうんだ。
そして魔弾銃の製造工場の類いも跡形もなく消し飛ぶ事に…………。
戦争になって、魔弾銃に撃たれて死ぬかも知れない兵士達の数に比べたら少ないかも知れないけど……。
1万人の死者を出さない為に、100人を犠牲にする──ってヤツか?
オレ……酷い事を言っちゃったな…。
だけど……1度でも口に出してしまった言葉は何をどうしたって消せやしない。
セフィーロは殺る気満々だし、大量の妖精さん達も嬉しそうに飛んで行ってしまった。
これから起こるだろう惨劇は誰にも止められない。
言い出しっぺのオレですら無理なんだ。
ベアリーチェ
「 ………………セフィ、悪いのは烏につつかれてる彼奴等だと思うんだよ。
彼奴等が魔弾銃なんか持って雑貨屋に襲撃なんてしなければ、抑こんな事態にはならなかったと思うんだよ 」
セフィ:セフィーロ
「 見事な責任転嫁ですね、ベリィ 」
ベアリーチェ
「 …………オレは極悪人だな。
セフィの大事な妖精さん達に酷い事をさせて……、大勢の帝国民を死なせちゃうんだからさ…… 」
セフィ:セフィーロ
「 ベリィ、廃人は死にませんよ。
廃人にはなりますけど、天寿を全うします。
ベリィは人殺しにはなりません。
それに魔弾銃は危険な代物です。
魔弾銃が完成し、普及すれば歴史は大きく変動します。
多少の犠牲者は出ますけど、歴史の変動を防ぐ事は出来ます。
ベリィは気にしなくて良いです 」
ベアリーチェ
「 セフィ…… 」
セフィ:セフィーロ
「 せめて雑貨屋の店内を綺麗にしてあげましょう。
血塗れの店内で買い物なんて出来ませんからね 」
ベアリーチェ
「 あっ、続けるつもりなんだ? 」
セフィ:セフィーロ
「 最後の買い物になりますし、ベリィも未だ店内を見終わっていないでしょう? 」
ベアリーチェ
「 う、うん… 」
そんなわけで、セフィーロは雑貨屋の店内を魔法で綺麗にしてくれた。
元通りになった雑貨屋へ再度入店したオレは、セフィーロと一緒に何事も無かったかのように店内を見て回った。
飛び散った血や妖精さん達に引き千切られて床に落ちていた腕が消えている事に店員もお客達も戸惑ったり不思議そうにしてはいるけど、買い物を再開したようだ。
因みに4名の腕は妖精さん達が美味しくいただいたそうだ。
雑貨屋で気になった商品をセフィーロに買ってもらったら店内を出た。
逆さ吊りされている男達は未だ救出されていない。
烏って本当に容赦ないよな。
雑貨屋襲撃犯達が不憫に思えて来たけど、コイツ等が馬鹿な真似をしなければ、オレはセフィーロと楽しいショッピングを続けていられたし、あんな事を言わずに済んだんだ。
同情はしないし、助ける気なんて微塵もない!!
セフィ:セフィーロ
「 ベリィ、次の店へ行きましょう 」
ベアリーチェ
「 うん。
次はどんな店に入ろっか? 」
セフィーロとオレの買い物は未々続いたりする。
◎ 訂正しました。
アブガニズダ帝国 ─→ アブカニズダ帝国




