冬休み
「はぁ~。」
紅葉がリビングでため息をついている。
「おいおい、深いため息だな。2学期末のテストの採点も終わって、
ゆっくりできる時期だろ。」
一人掛けのソファーに座って、タブレットを操作していた信幸が
顔を上げて問いかける。
「いやー。3年生の3人がね~。」
「何悩んでるのよ。がっつりこちら側に引き込んでおいて。」
六花が足で台所のふすまを開けながら、熱い紅茶と雪見だいふくを
お盆に乗せて入って来た。
「まあ、そこはいいのよ。ちゃんと高校に行って、青春を謳歌してほしいわけ。」
そう言って、六花は長いソファーに横になって、
雪見だいふくを一つパクリと食べる。
「ちべた。」
「フフフ。一応、教師をしているのね。」
六花は熱々の紅茶をすすりながら、相槌を打つ。
「それはね~。それにここで腐ってほしくはないわけよ。」
「あいつらならそんなことはないだろう。」
一人こたつに入って座椅子に座りながら、PS〇をプレーしていた流治が
顔を上げて、そういう。
「あんたは腐って失敗したじゃない。」
「それを今蒸し返す?俺は結局、システムやシナリオってやつに
反抗したかったんだよ。一般の高校生はそんな考えはないだろうよ。」
「それに逆らってなにを得たの?」
「一応得たものはあったぜ。未来も過去も結局なに一つ変わることが
ないってこと。だから、悩むだけ無駄。過程を楽しむのが一番。」
「そういうってことは、未来を見たの?流治。」
六花が雪見だいふくをつまようじにさして口に持ってきながら
流治の方に向きながら聞く。
「まあな。俺らと一緒に仕事をしていたし、うちの道場の手伝いもしていたぜ。」
「そう。それは朗報ね。じゃあ。ちゃんと向き合ってあげないとね。」
「いい決意ね。」
「ま、当分彼らには向こうの世界で活躍してもらわないとならないけどな。」
ーふー。ー
「ところで、俺の紅茶と雪見だいふくは?」
「ここまで取りに来なさい。」
「冷たい。」
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「ところで、ユグラドシアの人員は足りてる?」
流治がふいに六花に問いかける。
「今はとりあえず、ね。美幸も手伝ってくれるし、
フレイやエンデたちも回してくれる。
後人も育ってる。でも、戦士や兵士がねー。」




