026、エルフとお役人の対話
どうやら、国もダンジョンやそれに伴う他種族に気づいてはいたらしい。
ネットを堂々と使ってはいるから当然なのだが。
しかし、どうやら調査は進んでいないらしい。
エルフやらドワーフやらアンデットのリッチやら。
彼女らはいわば不法入国者だが……。
うまく魔法で書類をごまかしていたり、そうでない場合も――
「魔法に知識のないヒト族をどうにかするなど、子供でもできますね」
と、ライカはあっさり言っていた。
そんな時に、自分から国家権力に、偶然だろうか接触してきたエルフがいる。
役人たちはやりづらそうにしつつも、対話を続けていた。
「あなたはどうやって、この日本に来られたのですか?」
「ダンジョンにある高跳びのゲートをくぐってきた」
「それは現在も使用可能ですか?」
「確かめてはいないが、期待はせぬほうが良い。ああいうものは一方通行だったり、一度使うと消えてしまうことがほとんどだ」
「それでは、あなたは帰れないのでは?」
「ずっと旅暮らしだからな。元々これという故郷はない」
「……そうですか。では、あなたが日本に来られた目的は?」
「偶然だ。どこにつながるか確認しなかったからな」
「それは危険では」
「多少はな。だが慣れている」
「では、私たちに接触された理由は? 何かありますか?」
「少し話を聞きたかっただけだ。だいぶ大仰になったようだが」
と、セキハクは部屋を見回す。
「それに衆人に見られているようだ」
これに役人はゴホンと咳払い。
「あなたがたのことを聞かせてほしいのですが」
「それはエルフ族について?」
「ええ。そのエルフです。私たちの常識では、そのいわゆる実在しないというか」
「おとぎ話か何かか?」
「まあ、そんなようなものです」
そして交わされた会話の内容は、以前ライカから聞いたものと似通っていた。
ただ、彼女はずっと旅暮らしだったらしく、そのへんで差異はあったが。
エルフヘイムのあるスメール山に行ったことがあるようだった。
やがて話は、ダークエルフのことになる。
「なるほど。ダークエルフか」
「ええ、現在日本中に発生しているダンジョンなどにも関わっているらしいのです」
「つまり、そのダークエルフを何とかすればダンジョンも消えると?」
そう言ってから、セキハクは無情に首を振った。
「無意味だな」
「……と、言いますと?」
「仮にそうだとしても、ヒト族のお前たちでダークエルフにどう対処する。現在、我らを見ている相手がどこにいるのか、わかっているのか? いないだろう?」
「それは……」
「もし私をあてにするつもりなら、それも無駄だ。私一人が加担したところでダークエルフの魔法に対抗する手段はない。子猫とライオンの戦いに等しい」
「その、ダークエルフというのはそれほどの存在なのですか」
役人の言葉には、若干懐疑的なものがあった。
まあ、映像を見る限り奇異な容姿を除けば女の子なのである。
「疑うなら、宣戦布告でも何でもするがいい。お前たちも技術でどうにかできるか、思う存分試してみるのだな」




