022、餌が得られない場合……
「ううーむ」
俺はSNSなどを見て、うなってしまった。
ダークエルフのサイトでは、今日もダンジョンの動画が載っている。
ダンジョン内部で見つかるアイテムやモンスターの紹介。
最近ではでかいデブコウモリや幽霊の他に、大きなサソリ。
そいつらを色んな人間が狩るモンスター退治動画だ。
スライムは青なら仕掛けない何もしてこない。
赤いヤツは攻撃的だが、能力などは青とそう変わらないので、対処可能。
デブコウモリはスライムよりも複雑な動きはするが、鈍い。
ただし、超音波みたいな軽い衝撃波を放つことがあるようだ。
また、隙を見せると人間に噛みついてくる。
そうなるとなかなか離れてくれず、ボヤボヤしていると、
「血や精気を吸われるから注意してね~?」
と、煽るようにダークエルフは説明していた。
幽霊……ゴーストには、物理攻撃が聞かないの。
そこでハンターたちは、花火や懐中電灯、爆竹などで牽制し、追い払う。
爆竹はデブコウモリにも有効で、幽霊にしろコウモリにしろ、
「大きくて重い音が苦手だけど。面白い攻略方法だねー」
ということらしい。
動画を見る限り、ハンターたちはマスクだのゴーグルだので顔を隠している。
それは防護に加えて、顔から個人情報がバレるのを防ぐためだろう。
現在、国はダンジョンへの勝手な侵入を禁止して、取り締まっている。
しかし、ただでさえダンジョンの把握も管理もできていないのだ。
そこに侵入する連中まで、どうこうできるはずもない。
一応広報などでは、
「危険な生物が多数生息している」
などと注意を喚起している。
実際モンスターがウジャウジャいるわけだし、嘘ではないだろう。
だが、同時にポーションだの硬貨だの、場合によっては宝石さえ見つかる。
ゆえに。
一攫千金を目的とする連中は、ウカウカとダークエルフの誘いに乗るのだが。
「おそらくですが、あのダークエルフは契約して冒険者となったものを、近辺のダンジョンへ案内しているのでしょうね。自分のダンジョンだけではないはずです」
ライカも動画を見ながら意見を述べる。
「ざっと見ですが、それほど大したモンスターもアイテムもない。つまり、どのダンジョンもまだ成長途中で、あまり多数の冒険者を受け入れられないはずです」
「だから、あちこちに分散させている……と?」
「ええ。この国には大勢の人間がいますから。ダンジョンに入るのが一握りだとしても、全て受け入れられる巨大なものは、まだないでしょう」
「まだ?」
「廃棄物も膨大ですからね。それらが放り込まれればダンジョンは急成長します」
「うーむ……」
「ま、今日明日ということはないでしょうけど」
「ずっと餌……というかゴミが入らなかったら?」
「当然成長しませんが、その代わり……」
「……?」
何か言いにくそうなライカを見ながら、俺は何の気なしにテレビをつけた。
と。
<臨時速報をいたします! ただ今、銀座で……>
また何かあったのか、ダンジョンが出たところだったなと俺が見ていると――
画面に、青黒いブヨブヨとした、スライムに似ているがそれ以上に不気味なものが。




