023、怪物ショゴスはゴミを運ぶ
それは、青黒い粘液質の身体を持っていた。
スライムと違い、全体の透明度は低い。
さらに、無数の目玉みたいなものがあちこちにあり、ついでに無数の触手。
時折、口みたいなものまで複数パカパカと開いていた。
ものすごく不気味な怪物である。
「な、何じゃ、アレは…………」
俺は画面に釘付けになり、全身に寒気が走った。
「ああ。やっぱり……」
横のライカは顔に手を当て、ふうとため息。
「あれもダンジョンのモンスター?」
思わず尋ねる俺だが、それは言うまでもないことだろう。
何しろ画面内の怪物は、ダンジョンを出たり入ったりしている。
その折に何かをダンジョンに運び込んでいるようだ。
「あれは、ショゴスです。ダンジョンが餌を得られない場合発生するモンスターです」
と、ライカの説明。
「餌って、つまり……?」
ゴミか? と思いか画面を見直すと――
ショゴスたちが運んでいるのは、ゴミ袋だったり、ポリバケツだったり。
ようするにゴミばかりのようで。
「基本的に、ダンジョンに餌を運ぶ役目のモンスターですね。あまり手出しはしない方が良い存在ですが」
警官たちが大勢駆けつけているようだが、基本野次馬に対処しているだけ。
ショゴスには極力近づかないようにしている。
まあ、下手に刺激して暴れ出す危険性を考えれば賢明なのか。
何しろショゴスはスライムよりもでかい。
スライムは大きくても1メートルくらいのものだ。
しかし、ショゴスはでかいのになると牛くらいある。
おまけに目もあり、口もあり、触手もある。
スライムよりも数倍グロいのだった。
「ま、もっともな対応でしょうね。誰も触りたくはないでしょうし……」
と、ライカはうなずく。
「きっと現場はひどい臭いでしょう」
「え?」
「ショゴスは全身から悪臭を放つのです。そのせいで大抵の生き物は近づかない」
言われてもう一度見てみると、警官はみんなマスクをしている。
野次馬たちも顔をしかめて、そのまま逃げだす者も多い。
「あの匂いを長く嗅いでいると体調を崩したり失神します。嗅覚の鋭い生き物は最初から逃げ出して近づくことはないです。ドラゴンでさえ敬遠しますね」
「うわあ……」
「唯一の救いは、そう臭いは長続きしないことですか」
「ふーむ……」
「ショゴスがダンジョンに戻れば、臭いは消えるでしょうが……」
そこで、ライカはポリポリと鼻を掻く。
「ただ、都会はショゴスの餌が多いですからね。餌もしばらく得てないですし……」
「当分引っ込まないと?」
「ええ。もっともすぐに引っ込ませる方法もありますよ」
「それは?」
「ダンジョンにどんどん餌を放り込むことですね」
「ああ~~……」
やっぱり、それか、と俺は頭を叩いた。
そこでネットの反応はどうなっているかと気になり、スマホを手に取ってみる。




