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愛しい金の鳥を手に入れるために銀の令嬢は画策する。

「フェリカ、私は……」


「うふふ、ディーン様愛してます」


 私はにこりと笑ってディーン様のその唇にまたキスをしました。

 しかしその青い目にあるのはあら、後悔ですの? あらあらまだ諦めていませんのね。


「そうですわねぇ、私に似たら銀の髪ですわね」


「フェリカ……」


「いいんですのよ? 私はディーン様のものですもの」


 私はなんということをとディーン様は寝台で自分の顔を覆って、あら泣き出されましたわ。

 すまないと繰り返されていますが、私たちは婚約者同士、なぜ謝られますの?


「お食事はどうしましょう」


「私は、フェリカ、君は……」


「大丈夫です。私はディーン様のものですもの」


「私はなんということを!」


「ふう、しつこいですわよディーン様、私はいいと言っておりますの。さてお食事はどうしましょう。よろしければアリスさんの姿を見ながらお食事しましょう」


「フェリカ?」


 私は別になんとも思いません。

 少しだるいですが、動けます。婚姻の儀の後はと想像していたことでしたが、こんなものかという感じです。


「愛していますわディーン様。だから謝らないでくださいね?」


 私が笑いながら言うと、しかしと困ったような顔でこちらを見るディーン様。

 あれほどの熱情を持たれていたのが嘘のよう。


「ほら、作り置きしていたパン、シチューはあたため……」


 厨房にまでついてきたディーン様、同じ部屋の中ですから魔法は発動しません。

 私がシチューを温めていると、私は君にすまないことをしたとまた謝ります。


「謝るのはおやめください。怒りますわよ。私がいいと言っているのです」


「フェリカ」


「はい、シチューが温まりました。一緒に食べましょうね?」


 ああ、婚姻の儀の後は、一緒に過ごして、朝は私が作って差し上げたパンを一緒になんて夢がかないました。

 あはは、謝るディーン様なんて想像すらしていませんでしたわ。


 フェリカ愛しているよ。大丈夫かい? といって優しくキスをして私を抱きしめ、そっと私を抱きしめ、寝台でまどろんでいよう。君の顔をずっと見ていたいといわれるなんて想像していました。

 なんて乙女な想像ですの。


「ほら、出来ましたわよ」


「私は……」


「早くお食べになられませんの?」


「フェリカ!」


「食べてくださらないと冷めますわ」


 私が冷たくディーン様を見て小さく呟くと、椅子に座るディーン様。

 スプーンを手に持ちゆっくりとシチューを飲まれるディーン様、あら味なんて感じないというお顔ですわね。


「ほらアリスさんですわよ。お望みのものが見られますわよ?」


「フェリカ……これはいつのことだ?」


「さあ? あらあら、レイモンド様に愛を囁かれて、お顔が真っ赤ですわ」


 私が見ていると、そっと視線を映像に見せるディーン様。ちゃりんとスプーンを床に落とされましたわ。

 だって寝台に二人が座り、そっとアリスさんにキスをするレイモンド様なんて映し出されています。

 抱きしめあい、キスをしてあら、離れました。


『愛しているアリス君だけを……』


『私もです。愛していますレイモンド様だけを……』


 ここまでにはある道のりがありましたが、答えを先に見せたほうがいいかなと思ったのですが、あらお顔が真っ青です。

 ディーン様、白くなった後、青くなられて、あらまあ、口をあんぐりお開けになられました。

 間抜けすぎますわよ。


「ディーン様、シチュー冷めますわよ」


「アリス……」


 その瞬間、強い憎悪がディーン様の目に灯りました。レイモンド様達を食い入るように見るディーン様。

 まだまだ記録はありますから、ゆっくりと楽しめますわよ?

 

 私はまだまだありますけどと優しく笑いかけると、ディーン様は何も言わずじっと二人の姿を見ていました。







 

 

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