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金の鳥は囚人だった。捕らわれた鳥は外には出られない。

「フェリカ、フェリカ、フェリカ……」


「はい、ディーン様、お食事をおも……」


「フェリカ、フェリカ、フェリカ!」



「あら、私はここにおりますわよ」


 狂ったように私の名前を呼ぶディーン様。あらあら、汗でびっしょり、すごい臭いですわね。

 一応、半日しか経ってませんがと言ってみました。本当か? と尋ねられました。

 うふふ、さあ?

 真っ青な表情で、はあはあと息をしてフェリカ、お願いだここにいてくれと哀願するディーン様。


「はい、フェリカはディーン様のおそばにいますわよ」


「フェリカ、フェリカ、フェリ……」


「はいはい、綺麗綺麗にしましょうね」


 魔法で明かりをつけて、熱を遮断する魔法をまた再び発動させると、安心したように息を吐いて、フェリカと私に抱き着くディーン様。

 ぎゅうっと抱き着いたかと思うと、あらどこに隠し持ってましたの? フォークを私の首につきつけるディーン様。


 低い声で「私を解放しろ、でないとこれを」と囁きます。


「そのフォーク、試しに私にさしてみてくださいな」


「え?」


「ばかばかしい、私を傷つける行為をすればどうなるか説明しましたでしょう?」


 私がにっこりと笑うと、まさかと驚いたような顔でこちらを見ます。


「さあどうぞ」


 私が言うと、恐る恐るといったように首ではなく、私の腕に突き刺そうとするディーン様。

 甘いですわよね相変わらず。


「うわ、うわああああああ!」


「ほら申し上げましたでしょう。私を害そうとすればあなたには電撃の魔法がほら発動するようになってますの。鎖をだから外してもいいかななんて言ったのはそれです。しかし鎖は囚人の証、囚われの証はひつようですからつけているだけですの。ここから出ようなんて行動をしても同じ魔法が発動します」


 すっと私はディーン様から離れました、雷撃の魔法が発動し苦しみ絶叫する姿は美しいです。

 一応、気を使ってましたのよ。だから私を害さないように、あとはここから出せなどの発言も封じましたの。

 怒鳴るくらいならまだ発動しなかったのに哀れですわ。


 大丈夫です。傷は魔法で癒して差し上げます。

 クスクスと笑い、ディーン様を観察していると、呻き転がり、あら鎖があるからうまく転がらないようです。

 うふふふ、楽しいです。大丈夫傷は癒して差し上げます。


「この魔法は囚人に使用されているものです。一応犬で実験したようです。ある一定の線から出るたびにこの魔法を発動させる。幾度か繰り返すと、魔法が発動しなくてもその線から犬はでなくなるそうですわ。あはは、囚人もそうらしいですわね」


「フェリカ、フェリカ……」


「はい、魔法は一応止めましたわよ?」


 床に落ちたフォークを私は蹴り飛ばします。その瞬間、魔法は止まりました。

 私は鎖をとってあげましょうか? と優しく笑うと、もう話す気力もないのか、呻くディーン様。

 あらあら、白い肌に黒い火傷が、美しい肌を傷つけてはいけません。癒しましょう。


「癒しの魔法を……」


「フェリカ、そんなに君の絶望は深かったのか、私にこんなことを……するほど」


「あら違いますわよ。あなたの愛を再び手に入れるためだけです」


「え?」


 かすれた声で尋ねるディーン様、目には虚ろ、怒りも憎悪も見当たりません。

 さしあたっていうと絶望? ですか。


「私、ディーン様だけが欲しいんですの。ずっと二人きりでいれば、あなたは私をまた愛してくれますわ。そう信じてますの」


「フェリカ、私は君をあいして……いる」


「嘘ですわね。悪い子はお仕置きしますわよ?」


 ディーン様って嘘をつくときに少しだけ眉が上がりますの。今も少しだけ上がってます。

 私はうそつきと耳元で囁くと、フェリカすまないと泣き出すディーン様。


「男が泣くなんてだめだとか言ってませんでした?」


「私は……」


「傷は癒して差し上げます。お体も綺麗にしましょうね」


 癒しの魔法を発動させると、何も言わず身をゆだねるディーン様。

 白い光がディーン様を包み込み、傷をいやしていきます。

 あら、綺麗な肌、やはり美しい、そっとその手に触れると、フェリカと小さく囁くディーン様。


「愛していますわ。愛していますわ。愛していますわディーン様」


「フェリカ」


「ずっとずっとずっと私はあなただけを愛していますわ。ずっとずっと」


「フェリカ」


「だから私だけを瞳に映してくださいまし、私はずっとあなただけを見ていますわ。お願いです。誰もその瞳に映さないで、私たちはずっとずっと二人きりですわ」


「私は……」


「うふふふ、鎖を解いてあげましょう」


 私が笑うと、金の鎖がディーン様から外れました。私はディーン様に魔法をかけると、だまって身をゆだねるディーン様。すべてが綺麗になったとたん、私をぎゅうっとディーン様が抱きしめてきました。


「フェリカ、フェリカ、フェリカ……」


「はい、私はここにおりますわ」


「フェリカ」


 私を抱きしめ、寝台に押し倒すディーン様。

 はい、ここにおりますわよと私が優しく笑うと、私の唇にキスをしてきました。

 うふふ、そういえば人は絶望を感じると、人肌を求めるらしいです。

 いいですわよ。私はディーン様のものですもの。

 青い目をじっと見て、私は愛していますわと囁くと、そっと私に口づけてきました。


 優しい口づけ、そして私は……愛していますわとディーン様に囁いたのでした。

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