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シルベ=テルミチのチートナシ異世界ライフの物語  作者: なめなめ
第七章 二年前の彼
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城戸 進4

 廃集落に建つとある家にて。オレと春野さんは、これ以上の探索は無駄だと判断して立ち去ろうとしていた。しかし、いざ立ち去ろうしたその時、何者かがオレ達が出ていこうとする玄関の扉を外から開けようとしていた!!


「き、城戸さん!」

「下がってろ! キミのことは絶対に守るから!!」


 オレは急いで春野さんを後ろへ下がらせて身構える。


「さぁ誰が現れるのか知らないが、来るならこい! この城戸 進が相手になってやる!!」


 正直、扉を開けようとしてるヤツがここの住人なのか、それ以外の人物なのかは定かではない……ただ、もし相手に悪意があった場合は判断する時間が惜しい。

 ということでオレは、この際何者であろうとその姿を捉えた地点で躊躇(ちゅうちょ)なく行動を起こすことを決断。そして、その行動を実行する機会は数秒後に訪れる!


 ギギィィィ……


 徐々に開かれていく扉。隙間から青い服を着た男の姿が見えた瞬間!


「せやっ!」


 小学生時代から続けた空手で培った前蹴りが、最速最短の軌道を描いて相手の鳩尾(みぞおち)へめり込む!


「がはっ!」


 肺からありったけ空気を吐き出す青い服の男。彼はか細い呻き声を漏らしてそのまま前のめりへ倒れた。そして……


「いくよ、春野さん!」


 オレは彼女の手を引いて開けっ放しになっている扉か外へ脱出し、直ぐ様にその場から離れた!


「くそっ、案の定まずいことになってきたぞ!」


 集団でいたはずの連中が一人だけで行動していたとは到底思えない。となれば、近くには仲間がいる可能性が十分に考えられる!


 そんな危機的状況に頭を悩ませていると、突然一緒に行動する春野さんの足が止まる!


「ちょ、春野さん何をやって……」

「城戸さん、あそこに!」

「え?」


 指差された方向に視線を向けると、目を覆いたくなる光景が!


「……う、嘘だろ?」


 何と驚くべきことに、そこには青い服の集団へ向かって発砲していたあの警官がうつ伏せになって地面に倒れていたのだった!


「あ、あの人、どうしてあんなところに……」

「わからない。とにかく、まずは安否を確めよう!」


 すぐに倒れた警官の側へ駆け寄り、声をかけようとする。しかし……


「ダメだ。この人はもう息をしてない」

「“息”……それって?」


 おそるおそる訊ねる春野さんに、オレは首を左右に振って答える。


「死んでるってことだ」

「し、死んで……そ、そんなっ!」


 告げられた事実に愕然として膝をつく彼女。だが、当然今はそんなことをさせてる余裕はない。


「立つんだ春野さん!」


 仕方なく身体を持ち上げて立たせると、手を引っ張って急いでその場から離れる。


「早く……早く安全な場所へ向かわないと……」


 焦りつつも慎重に建物の陰に隠れて移動するオレ達。だが、そんなに警戒していたはずなのに運悪く……


「きゃあ!!」

「ど、どうした!?」


 慌てて彼女の方へ振り向くと、そこには先程に出会った者とはまた別の青い服の男が立っていた!


「くそっ、まさかこんなところで出くわすとは!」


 オレは咄嗟に春野さんを背中に隠して身構える……が、相手は何故かすぐに襲いかかることはせず、怪訝そうに訊ねる。


「その妙な格好……貴様達はアイツの仲間なのか?」


 質問の意味がわからずに困惑してるとさらに……


「我々の仲間を殺した、あの妙な武器を使うヤツの仲間かと訊いてるんだが?」

「妙な武器を使う……もしかして、あの警官のことを言っているのか? だとしたら、オレ達は彼とは何の関係もないぞ」


 嘘は言ってない。事実、あの警官とは同じ現場にいた以上の接点はない。だが、それを知らない相手の反応は?


「惚けるな。貴様達はあの者と一緒にあの現場へ現れたんじゃないのか?」

「一緒にだと? 確かにそうかもだが、それでもオレ達は……なっ!?」


 “それでもオレ達は関係ない!”と訴える間もなく剣を抜いた! 


「フッ、一緒に行動しておいて『関係ない』とは無理があるんじゃないのか?」


 まるで揚げ足でも取るような言い様。どうやら何が何でも、オレ達二人をあの警官の仲間だということにしたいらしいので……


「ほぅ……丸腰でやる気か?」

「ああ、アンタがこっちの言い分を聞かない以上はこうするしかないだろ?」


 話し合いを無意味と判断し、両腕を顔の高さにまで上げて身構える。


「ふぅ、こうするしかないか……ならば戦う前に言っておくが、我々に投降する気はないのか?」

「投降だと?」


 意外な提案に一考する。


「投降か……今の状況なら、かえってそれもアリかもだけど……春野さんはどう思う?」


 オレは彼女に意見を求めるため、無意識に視線を……


「城戸さん、前!!」

「え?」


 ブン!


 突然の鼻先を掠める感覚。春野さんの一声がなかったら完全に終わって……いや、そんなことよりもだ!


「お、お前……何を考えているんだ!?」

「何を考えているだと? 自分の友を殺した者の仲間に投降させるなんて間抜けな提案を本気でや、る訳がないだろ!」

「な、なんだと!」


 こ、この男……さては最初から!?


 オレは相手の卑劣な思惑を知り、改めて戦闘体勢を整える!!

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