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シルベ=テルミチのチートナシ異世界ライフの物語  作者: なめなめ
第四章 騎士団
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ネイの帰還

 ネイさん帰還の報告を聞きつけたオレとバーバラさん。それにポールさんの三人は彼女が居るとされる一階フロアへ急いだ!


「お姉さん!!」

「ネイ!!」

「シルベ! バーバラ!」


 こちらの呼びかけ応じる彼女の無事な姿を確認したオレ達は、歓喜(かんき)して駆け寄る。


「よ、良かった……またこうして会えて……うう……」


 涙ぐんでいると、ネイさんはそっと頭に手を置いて撫でてくれる。


「心配かけてごめんねシルベ。でも、もう大丈夫だから」


 やさしく慰められていると、今度はバーバラさんが我慢出来ないとネイさんへ切り抱きつく!


「まったく、どこにいってたんだいこのバカは!」

「ごめん。バーバラにも心配かけたわね」

「ああ! 心配したよ本当にね!!」


 三人で共に再会を喜び合っていると、背後から声をかけられる。


「ネイ殿、少々よろしいですかブゥ?」


 ポールさんだ。どうやら騎士団団長としての話があるようで……


「ええ、わかってるわポール。アタシもあなた達には伝えたいことがあるから」


 ネイさんもこれに理解を示し、簡単な別れを済ませて二人でどこかに移動する。


「何でしょうか? ネイさんは帰って来たばかりだというのに……」

「おそらくは普通に事情聴取でしょうね。いくら無事に帰れたとはいえ、黒いフードの連中と一緒にいたんだから情報が欲しいんでしょ」


 バーバラさんは淡々と話してるが、表情はどこか複雑そうだった。


「ふぅ……まぁ、取り敢えずはネイが無事で安心したわ」

「ええ、本当に……」


 オレも彼女も心から安堵している。


「それじゃあ彼女の無事も確認できたことたし、私達は少し休みましょうか? 朝からずっとバタバタしてさすがに疲れたからね」

「ですね。オレはそこの長椅子で仮眠でもしてますよ」

「へぇ、いいわねそれ。私もそれやろうかしら?」


 こうして、オレ達がしばしの休息をとった頃……


『オイ、聞いたか? 十五分後に作戦室で会議が始まるだとよ』

『そうか。なら、あんまりのんびりはしてられないな』


 周囲の騎士達から漏れ聞こえる声によると、どうやら十五分後に会議が始まるらしい。


「バーバラさん。今の話を聞きました?」


 オレは隣の長椅子に寝転がる彼女へ訊ねる。


「聞いたわ。たぶん、ネイについてだと思うけど……一応参加してみる?」

「できるんですか?」

「まあね。元騎士団団長のコネを使えば簡単よ♪」


 ――――十五分後。二階にある大部屋の作戦室。部屋には二、三人用の長机の席が三列縦隊で七つづつ並列して設置されており、五〇人近くの騎士達が神妙(しんみょう)面持(おもも)ちでこれから行われる会議を待ちかねていた。


 ちなみにオレとバーバラさんは、彼女のコネとやらのおかげで、邪魔にならない一番後ろにある席からの参加を許可されている。


「……では、これより会議を始めるブゥ!!」


 定刻にのため、騎士団団長であるポールさんの言葉により開会。


「まずは今朝方(けさがた)に起きた錬金術師ネイ=サンが黒いフードの手によって連れ拐われた件についてだが……周知の通り、彼女の帰還という形で一応の決着をみているブゥ。

 ……っが、今回は初めて一般人に被害が及んだとする事実は極めて重大になるブゥ。よって、これからはさらなる多角的方面から黒いフードを警戒する必要が……ん?」


 ポールさんは発言を止めて、一点を見つめる。


「何だ?」


 気になる視線をたどってると、そこには長い髪を後ろに結んだ若い男の騎士が右手を高く挙げてる姿があった。


「どうしたゲルト? 発言があるならば、あとで機会を設け……」


 ポールさんが彼の行動を(なだ)めようとするが、本人はかまわずに発言する。


「質問があります。ネイ=サンは本当に黒いフードに拐われたんですか?」


 あいつ……何を言ってるんだ?


 ゲルトの突拍子もない発言に周囲の騎士達が困惑するなか、彼の隣に座る同年代らしき短髪男が口を開いた。


「なぁゲルト。今は団長さんが話してるんだから大人しくしとけって……な?」

「ワイマン……そうは言うけど、今回の事件は明らかにおかしくないかい?」

「はぁ、気持ちはわかるけどよ。とにかく今は大人しくしとこうぜ。団長さんだって、あとで機会を設けるって言ってんだからよ……なぁ? そうだろ団長さん?」


 ポールさんは黙って頷く。


「ほらな? だから大人しくしとこうぜ?」

「う、うん……」


 渋々ながら納得して手を下げるゲルト。その後、会議は順調に進んでいくかと思いきや?


「では次に、今回の被害者であるネイ=サンから皆への謝罪の意を伝える」

「え?」


 突然の事態に驚きながらも前方を見ると……


「ど、どうも……ネイ=サンです。この度は私が騎士団の皆様に多大なる迷惑をかけたことを心より謝罪します。誠に申し訳ありませんでした」


 そこには汐らしい態度で頭を下げるネイさんの姿があった。


「なっ、謝罪だと? 本来なら、拐われた傷を癒してやることが先決じゃないのか!?」


 オレは騎士団が彼女の心情を軽視したことに怒りを覚えた!


「ネイ殿。もうその辺でけっこうですブゥ……」

「ええ、ありがとうポール」


 やらなくてもいい謝罪をすましたネイさんは、重々しい足取りで退場する……っが?


「待ってくださいポール団長。彼女へ質問する機会をいただきたいのですが?」


 ゲルトだ。どうやら彼は、ネイさんを大人しく帰す気がないらしいのでオレは……


「アイツ……一回ぶん殴ってやる!」


 席から立ち上がって彼の元へ歩みよろう試みる……っが、それをしようときた時、ゲルトの隣に座るワイマンが刺すような視線でオレを睨みつけた。


「何だあの男……やる気なのか?」


 受けて立つぞといわんばかりに睨み返してやると、ワイマンは席から立ち上がってこちらへ向かって来る!


「くっ、本当にやる気か!?」


 すかさず前へ……いくよりも早く、バーバラさんが彼との間に立ちはだかった!


「へぇ、これはこれは……かつては赤鬼と呼ばれたバーバラ=るど……ぎゃあ!?」


 ワイマンが彼女のフルネームを言い切るよりも早く、彼女の強烈な右ストレートが容赦なく顔面へヒット!


「こ、この……話が……ちが……ぎゃあ!」


 さらに追加の左フックが炸裂させると、ワイマンは糸の切れた操り人形の如くその場に崩れ落ちた。


「フン、私に喧嘩を売るなんて百年早いんだよ!」


 いや、彼はオレに喧嘩を売ってと思いますけど?


 思わぬ肩透かしを食らって戸惑っていると、バーバラさんが次なるターゲットを見つけたとばかりにゲルトを視界に捉える。


「ねぇゲルト? さっきのアンタの態度……あれは私の親友を疑ってると解釈してもいいってことかしら?」

「い、いえ、そんなことは。ただ……」

「ただぁ~?」


 ガン決まりするバーバラさん。だが、ゲルトは臆することなく自身の意見を述べる。


「ただボクは一人の騎士として、今回の事件があまりにも不自然であることを彼女を介して指摘したかっただけです!」


 これはもう一波乱ある……なんて不穏な空気が流れかけるが、バーバラさんは意外にも彼の横を素通りする。


「ネイ、帰ろう」


 そして、親友を連れて帰ろうと手を伸ばすが……


「申し訳ありませんがバーバラ殿()。アナタにはこのままお引き取りを願いたいですブゥ」


 ポールさんが“待った”をかけてその行動を阻止する。


「ポール……アンタ……?」

「お引き取りを!」


 まったく怯まないポールさん。その男気に押されたのか、バーバラさんは差し出した手を仕方なく引っ込める。


「ふぅ、わかったわ。現騎士団団長のアンタがそう言うんなら従うしかないね」

「……恐縮ですブゥ」


 相手の立場を考慮して引き下がるバーバラさんは、ネイさんを諦めてオレとこの場をあとにしようする。


「いくよテルミチ。今日はここまでだよ」


 しかし、ここで再び!


「待ってくださいブゥ! 彼の身柄は騎士団が預かりますブゥ」

「それ……被害者の身内だから警護けいごしたいってこと?」

「左様ですブゥ」

「……そうかい」


 やむを得ず納得するバーバラさん。すると彼女は、ポールさんの両肩に手を置いて力強く告げる。


「二人を頼むわ!」


 そして、この言葉を聞いたポールさんは彼女の目をジっと見つめると……


「かしこ参りましたブゥ!」


 胸を張り、堂々と(うけたまわ)るのであった。

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