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9.ついにご対面ですわ

今週もお疲れ様です。

台風が近づいてきていますね。お気を付けください。


1000PV突破しました。

全然微々たる数字なのかもしれませんが、当初0もあり得ると思っていたので

すごく嬉しいです。


ありがとうございます。

 こんにちは、セリーヌ=マクラインです。

 そろそろ自分の名前にも慣れてきました。もう目覚めてから5日経ちましたから。


 そんな私が今、かなり緊張状態に陥っています。紅茶を持つ手も震えようってものです。

 なぜなら、もうすぐ私の婚約者様が到着なさる予定の時間が訪れようとしているからです。

 だって、5日ですよ、私が目覚めてから。私が馬から落ちてからだと7日経過しています。その間毎日忙しいにも関わらず、お父様もお母様も、弟様……もといロバートもお見舞いに来てくれたのですが、婚約者様は影も形も無かったのです。


 これは仲が悪いに違いありません。きっと将来婚約破棄されるのです!


 なんて思っている時期もありました(30分ほど前ですが)。


「セリーーーーヌーーーーー!!」

 銀髪(やはり銀髪でしたわ!)のヨレヨレのイケメン様が、私を見た瞬間顔をぐしゃぐしゃにして泣き崩れ、ほぼタックル状態で抱きしめてきました。

 サラ=アン、後ろから支えてくれてありがとう。なんだか慣れているわ。もしかして毎回こんな感じなのかしら?

「父上について領土視察していたところに、セリーヌが馬から落ちたと連絡が来て、すぐに駆け付けたんだ。ああ、無事に目が覚めてくれて良かった」

 またぎゅうぎゅう抱きついてきます。

 あら、ラブラブですわ。

 聞くと、私が今滞在しているマクライン家領土と私の婚約者様、お名前はタレンツィオ=ラジヴィオラ様とおっしゃるそうです、の領土とは結構離れているそうですの。王都を挟んで北と南だとか。

 早馬で送った手紙が向こうに着くまで5日。馬車ではなく馬で来たとしてプラス4日。馬車だと10日ほどかかるそうです。

 私が馬から落ちたのが7日前。

 あら、計算が合いませんわ。

 タレンツィオ様に伺うと、馬を乗り変えつつ睡眠を削って来てくださったとのこと。

 服がヨレヨレの理由もよく分かりました。よく見ると目の下にクマもあり、手足も震えています。サラ=アンに砂糖を多めに入れた温かい紅茶を淹れてもらいましょう。

 すごくすごく私を心配して会いに来てくれたのが分かります。


 この世界、魔法が発達しているのに、手紙は人の手によって配達されているんですね。

 風魔法の応用でもっと早く届けられそうだけれど。とそこまで考えてある可能性に思い当たりました。

 もしや、これは作者が仕掛けた乙女のアイデアにより飛躍的に発展を遂げるポイントでは??

 その瞬間を目の当たりにし「ほら、やっぱり!」となる日が楽しみです。


 なんて考えていたら、タレンツィオ様の眉間の皺が一層深くなってしまいました。

「セリーヌ、まだどこか痛むかい?」

 いけない。ますます心配されてしまいました。

「大丈夫ですわ、タレンツィオ様」

 元気だと見せようと、飛び切りの笑顔で答えたのですが……、

 突然タレンツィオ様が真っ青な顔をされました。私何か変なことを言いましたでしょうか?

「セリーヌ、なぜ今日はレンとあだ名で呼んでくれないんだい? もしかしてもう僕のことを嫌いになったの?」

 あら、タレンツィオ様は今の私の状況をご存じない?

 そうでした。馬から落ちたと連絡を貰い、そのまま来てくださったのです。我が家に着いてからも一直線でこちらにお越しになられた模様。知る暇は無かったですね。

 あ、今我が家の侍従たちが部屋にやってきました。迎えに行った者たちを追い越して来てしまったみたいですわね。

 どうしたものかと目を泳がせていると、サラ=アンがすっと前に出てきました。

「タレンツィオ様、横から失礼いたします。実は……」

 サラ=アンが的確に私の状況を説明してくれました。

 なんだか有能秘書のようです。サラ=アンにスーツ着せたいですわ。

 でもサラ=アン、あなたが手に持っているものはお砂糖じゃありませんよ。

 キャンディの入った瓶をそっとサラ=アンから取り上げ、砂糖瓶を持たせてあげました。紅茶にキャンディを入れてもそこそこ美味しそうですが、砂糖の方が良く溶けると思いますの。

 ドジっ子有能秘書……なんだか矛盾していますが、悪くありませんわ。

「そんな……」

 またタレンツィオ様から涙が溢れてきました。

 なんだかこの方可愛いですわ。私は持っていたハンカチで彼の涙を拭いてあげました。

 その時、ふと懐かしい感覚にとらわれました。

「もしかして、前にも涙を拭いてあげた事ありましたか?」

 タレンツィオ様が目をキラキラさせてこちらを見ます。涙で膜が張られそこに光が当たり、本当にキラッキラです。涙膜の下のアクアマリン色の瞳が揺らめいて、湖面を眺めているようです。

「そうだよ。泣き虫な僕が泣くたびにさっきのように涙を拭いてくれたんだよ。思い出したんだね」

「思い出したというほどでは……」

「お……お嬢様が記憶を取り戻しましたーー!!」

 あら、なんかデジャブ。サラ=アンが廊下に駆けていきました。サラ=アンが扉を開いた瞬間に「きゃー!」という悲鳴と食器が割れる音が廊下中に響いています。

 扉を開ける時は外を確認しましょうね。

 複数の足音が近づいたと思ったら、

「セリーヌ、記憶が戻ったのか!」

「ああっ! セリーヌちゃん」

「お姉さま!」

 またまたデジャブです。

 なんとなく「あったかなあ」と感じただけとは言いづらくなってしまいました。

 

 取り合えず笑っておきましょうか。

お読みくださりありがとうございました。

気に入ってくださいましたら、評価よろしくお願いいたします。


また明日もよろしくお願いします。

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セリーヌが生まれる前のサラ=アンの物語を不定期で連載しています。こちらもどうぞ!

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