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3話 いきなり騎士登場!

 「さあ、ゲーム二日目!ログイン二日目!

 昨日はわけが分からないまま色々やったけど、今日は計画的に行きたいよね!私の完璧な【お姫様】っぷりを発揮しちゃうよ!」

 

 ログインして早々に意気込む【ドロップ】であったが、ログインした場所は城の【お姫様】専用の個室なのでその独り言を聞く者はいなかった。

 なので、正真正銘独り言である。


 「じゃあさっそく昨日開催したイベントがどうなったか確認しちゃおう!」


 と、【ドロップ】が発言したまさにその時に無機質な声のアナウンスが鳴り響き始めた。


 【ワールドアナウンス】


 【イベント【わがまま姫様のスライム収穫祭】が終了しました】


 【スキル【プリンセスドミネイト】の効果が終了しました】


 【ランキング照会】


 【一位 ペンネドラゴ 討伐数1523匹】


 【二位 ∽漆黒堕天使∽ 討伐数1425匹】


 【三位 アイリス 討伐数1320匹】


 【四位 武器子@配信者 討伐数750匹】


 【五位 マエストローグ 討伐数749匹】


 【以下順位のプレイヤーは公式ホームページにて公開しておりますのでご確認ください】


 【報酬はプレゼントボックスに送られます、ご確認ください】




 「ほほ~、こんな風にランキングが出るイベントだったんだね!こういうランキングって見るだけでもなんとなく面白いよね~

 色々なプレイヤーの名前とか、倒したスライム数を見れるから参加者ならモチベーション上がるし!……でも私は参加できなかったんだけどね!開催者だからね!」


 バトルフィールドに繰り出てスライムを倒しているプレイヤーたちを幻視しながら【ドロップ】は悔しんでいる。

 自身が出したイベントなのにも関わらず、参加すら出来なかったことが悔しいのであろう。

 

 だが、その気持ちを整理する前に新たなアナウンスが【ドロップ】へと襲いかかってきた。


 【個人アナウンス】


 【イベント報酬にてランキング一位のプレイヤー【ペンネドラゴ】に称号【わがまま姫様のスライム騎士】を【ドロップ】名義で付与しました】


 【【ペンネドラゴ】にジョブ【騎士】を付与しました】


 【【ペンネドラゴ】が【ドロップ】の騎士として国に認められました】


 


 「私の名前で称号付与したの!?たしかに私が開催したイベントだけど!?」



 と、混乱した頭を整理しながら今までのアナウンスのログや、イベントランキングなどを意味もなく開いたり閉じたりすること一時間。

 ゲームをまともに開始できておらず、当初の予定のように完璧な【お姫様】プレイが既に崩壊していることに気づいていない。

 そのタイミングで何やら城門付近から騒がしい声がするようになってきた。

 【ドロップ】はそこから五分後に声に気付き、窓から外を眺めて見ると……




 「あっ、【ドロップ】姫様~!!会いに来たぞ~!!騎士になった【ペンネドラゴ】だ!

 ……NPCだからここからだと反応してくれないのか?

 それなら……」


 金属の鎧を着た金髪の青年と目が合ったようで、その青年……【ペンネドラゴ】が【ドロップ】に向かって手を振りながら話しかけてきたようだ。


 「あわわわ……話しかけられちゃったよ!?あの人って私のことプレイヤーじゃなくてNPCか何かだと思ってるよね多分……?

 公式イベントを出す【お姫様】がプレイヤーなんて誰も思わないもんね……私だってNPCって思っちゃうもん!

 こういう時ってどうやって反応したらいいんだろう……プレイヤーとして接する方がいいのかな?でも、ここの城の人たちって私がここで暮らしていた【お姫様】っていう設定のまま接してるからプレイヤーってことを明かすと不味いよね!?

 やっぱりNPCの【お姫様】として振る舞うしかないかぁ~なんでこんなことになっちゃったかな~!!」


 自暴自棄になりつつも、おそらくこの部屋に来ようとしている【ペンネドラゴ】を待ち受けるべく部屋のセッティングを素早くしていく【ドロップ】。

 混乱していても手際がいいのは火事場の馬鹿力のようなものであろうか。








 「【ドロップ】姫様!俺は【ペンネドラゴ】と言います!【ドロップ】姫様からもらった称号とジョブありがとうございます!

 そして、【ドロップ】姫様の騎士として冒険者に混じり戦果を上げることが俺の使命とのことですが、精一杯頑張ります!」


 (この人ハキハキ喋るね!?敬語が若干不自由だけど、私が言えたことじゃないからあえてツッコまないようにしようかな。金髪イケメン騎士が私の騎士になってくれるのは嬉しいけど、一緒に冒険に出るわけじゃないからあんまり関係ないよね……)


 「この度のスタンピードでのスライム討伐の働きには目を見張るものがありましたわ!昨今の冒険者の中でも群を抜いた成果でしたので、ワタクシの騎士として叙勲を認めましたのよ?

 これからもワタクシの騎士として、そしてこの……ファートス王国のためにその身を余すことなく使い奉仕するのですわ!」


 (うわっ、危ない危ない……この国の名前忘れかけてたから一瞬言葉が止まっちゃったよ!?なんとか思い出せたから良かったけど、違和感とか無かったかな?

 あと、一人称をワタクシにしてみたよ!昨日よりも【お姫様】っぽいかな?)


 「その言葉に、その期待に添えるように忠義を尽くしますよ!」


 「それでは、ワタクシの騎士として証明するためにこれを【ペンネドラゴ】……あなたに授けましょう!」


 【ドロップ】はそう言うと机の上に置いてあった剣の鞘を両手で持って金髪の青年【ペンネドラゴ】に手渡した。

 剣の鞘は黄金で作られており、このファートス王国の王家の家紋が刻み込まれている。


 (私は剣なんて持ってないからね!何故か部屋にあった鞘だけど、持ってても意味ないからこの人にあげちゃおう!ちょうどこの人剣を使うプレイヤーみたいだし、あげたら喜ぶかな?)


 【ペンネドラゴ】は【ドロップ】から鞘を受け取ると、驚いたように目をパチパチさせながらしばらく硬直すると、静かに立ち上がり鞘をすぐに腰に提げたようだ。

  

 「ありがとうございます!これで俺はもっと強くなって【ドロップ】姫様に力を貸すことができますよ!

 それでは、さっそく戦果をあげてきます!」


 (テンション高い人だったな~!私も何が出来るか分からないけど、あの人に負けないように頑張らなくちゃ!)











ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 【個人アナウンス】


 【イベント報酬にてランキング一位のプレイヤー【ペンネドラゴ】に称号【わがまま姫様のスライム騎士】を【ドロップ】から付与されました】


 【【ペンネドラゴ】はジョブ【騎士】を付与されました】


 【【ペンネドラゴ】が【ドロップ】の騎士として国に認められました】



 「おっ、幸先いいな!騎士なんてジョブになったやつなんて他に聞いてないし、先行実装したやつだろうな!

 それに、国の【お姫様】の騎士になれるやつなんて滅多にいないだろうからな!」


 俺は【ペンネドラゴ】、体育科大学二年生のスポーツ男子ってやつだ。

 そんな俺の密かな楽しみはVRゲームだ!

 この新作ゲームをやるために昨日は打ち上げを早退してきたんだが、スライム討伐イベントが急に始まったから徹夜でひたすらスライムを討伐していたんだ。

 そうしたら見事一位!報酬もレアジョブみたいで、頑張った甲斐があった!


 「せっかくだし、その【ドロップ】って姫様に会いに行ってみるか!

 イベントの名前的にわがまま姫様って呼ばれてるらしいし、どんなじゃじゃ馬か分からないが、【お姫様】NPCならきっと可愛いだろ!」










  「あっ、【ドロップ】姫様~!!会いに来たぞ~!!騎士になった【ペンネドラゴ】だ!」


 とりあえず姫様のいると思われる城に来たが、しばらく歩いてもそれっぽいNPCは見つからなかった。

 それで大声を出したりして探していたら、上の方にある部屋にいたNPCと目が合った。

 あれが【お姫様】っぽいな、遠目だけどめっちゃ可愛い見た目してるし!

 最近のNPCは反応もいいのか?

 だけど、こっちを見ただけで俺の声に対して返答はしてくれない。


 「……NPCだからここからだと反応してくれないのか?

 それなら……」


 【お姫様】の場所が分かったし、俺は直接部屋まで乗り込むことにした。









  「【ドロップ】姫様!俺は【ペンネドラゴ】と言います!【ドロップ】姫様からもらった称号とジョブありがとうございます!

 そして、【ドロップ】姫様の騎士として冒険者に混じり戦果を上げることが俺の使命とのことですが、精一杯頑張ります!」


 このゲームのNPCがどれだけこっちの言葉に的確に反応するか分からないし、とりあえず部活の先輩にするようにハキハキとお礼を言うことにした。

 こういうときって、上下関係は大切だからな!


 というか、この【お姫様】可愛いな!?

 ピンク髪でサイドテール、低い身長に……これでもかというほど盛られた巨乳にドレス姿!二次元にしかいないような俺好みの理想的な見た目だ!

 くぅ~、この姫様の騎士になれてよかった!

 後で掲示板で自慢しとくか!……スクショも撮っとこ。



  「この度のスタンピードでのスライム討伐の働きには目を見張るものがありましたわ!昨今の冒険者の中でも群を抜いた成果でしたので、ワタクシの騎士として叙勲を認めましたのよ?

 これからもワタクシの騎士として、そしてこの……ファートス王国のためにその身を余すことなく使い奉仕するのですわ!」


 そういう設定で俺が騎士になったんだな。そういうことなら、これから騎士になるプレイヤーはどんどん増える可能性はありそうだが、一番乗りとして今は優越感に浸らせてもらうぞ!

 この可愛い【お姫様】のためならもっとプレイ時間を増やすのも苦じゃないしな!


 それと、「この……」のところで一旦間を開けていたのが俺への期待の気持ちが伝わってきて嬉しいな。

 言葉が詰まるくらい俺に期待してるってことだろうし!

 ロリ巨乳の【お姫様】なんて姿を公開したら他のプレイヤーたちが気軽に会えないのを悔しがるぞ~


  「その言葉に、その期待に添えるように忠義を尽くしますよ!」


 「それでは、ワタクシの騎士として証明するためにこれを【ペンネドラゴ】……あなたに授けましょう!」


 おっ、何かくれるらしい。

 これは……黄金の鞘!?


 ちょっと【お姫様】の前で失礼かもしれないが、鑑定をしてみる。


ーーーーーーーーー


聖鞘ファートス

武器種ー片手剣(成長武具)

●防御+10

●器用+10


使用者のレベルに応じて上昇するステータスが変化する剣の鞘。

成長を続けていくと特殊な効果がつくこともある。



聖剣と聖鞘は別離した。

切り開くモノが剣であるのならば、その刃から守り抜くモノが鞘である。

国名であるファートスの名が刻まれている意味を、重責を果たすが良い。



ーーーーーーーーー


なんか凄そうなものもらったぞ!?もらっていいやつなのか不安になる説明書きなんだが……国宝とかじゃないのかこれ?

このイベント太っ腹だな!?



 「ありがとうございます!これで俺はもっと強くなって【ドロップ】姫様に力を貸すことができますよ!

 それでは、さっそく戦果をあげてきます!」


 とりあえず、性能も試してみたいし、さっそくモンスター狩りだ!

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― 新着の感想 ―
[一言] わがまま姫に相応しいから、姫に成った気がしてきた。
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