第一話 9
「くっ…クソ!!目が…」
鶴田は、拳をほどき目をこする。その隙に、蓮は落ちている右腕を拾う。拾った右腕を欠損部に当てると欠損部と右腕が結合しはじめる。再生には時間がかかりそうだが、くっつきそうだ。
蓮が、右腕の、再生作業をしていると、二人の前に、井萩という髪の長い糸目の剣士が現れる。
(!!コイツいつの間に……)
蓮が、訝しげに井萩を見つめていると、何か考えているようだった井萩が口を開いた。
「ふむ。君は吸血鬼かい?」
蓮は答えない。井萩は構わず続ける。
「いやね。君が何の闇の眷属なのか、考えていたんだよ。人狼…とは違うし、鬼…とも違う。かと言って只の人外とも違うようだし。後は、吸血鬼しかいないワケよ。それで、他に思い当たる特徴が無かったから、吸血鬼だと思ったんだよね。……それでも疑問があるんだなぁ」
よく、喋る奴だと思いながら、蓮は井萩を見ている。しかし、蓮には、答えを問い詰めるつもりがないのか、井萩は喋り続ける。
「吸血鬼にしちゃ、なんかアレだよね君。弱いし、再生能力も低いし。吸血鬼には、“固有能力”があるって話だけど、見た限り使えないみたいだしね。極めつけは、それ。それなんだよ。再生方法が人狼そっくりなんだなぁ…吸血鬼なのに、妙な話だけど。…もう一度確認したいんだけど君は吸血鬼かい?」
「…それに答えたら、見逃してくれたりするのかよ?」
皮肉混じりに、笑いながら蓮は言う。
「ん?いやいや‥吸血鬼なら吸血鬼で、対応の仕方が変わるのよ。吸血鬼が相手ならそれ相応の始末の仕方があるし、鶴田クンみたいに、力で始末する方法だと時間がかかって仕方ないし。いや?別に、批判はしていないですよ?鶴田クン」
そう言って、鶴田に目薬を投げ渡し、目薬を受け取り、それを差しながら井萩に答える。




