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恋の忘れ方

 そばにいられたらいい……。本気でそう思っていた。


「お前のこと、そういうふうに見れないんだよ」


 以前から仲が良かった同僚を、男性だと意識し始め、ひょっとしたら彼も私のことをそういうふうに見てくれているかもと勘違いをし、思い切って告白したら、そう言って断られた。


 それでも諦めたくなくて、どんな繋がりでもいいから欲しくて、彼にすがりついた。


「好きにはなれない。それでもいいの?」


「それでもいい。そばにいさせて」


 泣いてすぎる私に根負けしたのか、彼は大きなため息を吐いた。


 それから、幾度となく肌を重ね、その瞬間だけは愛されているような錯覚に酔いしれ、終わった後に「やはり違うのだ」と実感し、一人で泣いても、それでも彼への想いは消えず、心は悲鳴を上げているのに、少しの希望にしがみついた。


 彼の目が誰に向かっているかに気付いてからは、胸が苦しいのに、少しでも彼をつなぎ止めていたくて、一瞬でも私を見て欲しくて、彼との行為に酔いしれた。


「あのさ、そろそろこんなこと終わりにしないか?」


 ついにこの日が来た……。グラグラと揺れ出しそうな足に力を込める。


「お前だって辛いだろ? 不毛だよ、こんな関係」


 不毛でもいい! そう叫びたいのに、口は乾き、喉には言葉だけが張り付いたような感覚だけが残り、声が出ない。


「お前さ、いい女なんだから、俺じゃない、他の誰かに行けよ」


 どうして彼は私じゃダメなのだろう?


 どうして私は彼じゃなきゃダメなのだろう?


 彼が去った部屋で一人泣き崩れた。


 もしかしたら戻ってきてくれるかも……そんな期待は朝日が打ち砕いた。


 会社に行ってももう目も合わないのに、それでも彼だけを求めてしまう。


 誰か、この恋の忘れ方を教えて……。

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