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魔王転生(1)

深夜テンションで書いた小説なのでなんか色々仏ぶっ飛んでます。最後まで読んでくれるとうれしいです。

第1章「通り魔」

狭い道路の脇、一人の男が歩いている。「ふわぁぁ(あくび)、今日も疲れた。」彼の名前は斎藤 壱。どこにでも居るしがない高校生だ。「帰ったらなにすっかなぁ・・・」と考えていると、前から一人の男性が向かってくる。そいつはジーパンに灰色Tシャツ、茶色のジャケットを着ていて、顔にはマスクにサングラス、頭には黒いニット帽を被っていた。そして手にはしっかりと包丁を握っていた。「ちょ、」そういった時、グサッ。鈍い音がした。自分の腹部に目をやる。白いシャツは赤く染まり、血がポタポタと落ちる。ああ、なんでこうなるんだよ。段々と意識が遠くなる。体が地面に叩きつけられる。犯人は多分逃げていったのだろう。「おい!こそこ若い兄ちゃん?!大丈夫か?!」知らないおじさんの声がする。ただそこで意識が途切れた。

第2章「転生」

少し立って、体が動かせることに気づく。あのおじちゃんに助けられたのか?ならお礼を言わないと。そう思い目を開けるとそこは、病院でもついさっきの狭い道路の脇でもなかった。“この場所”は薄暗くてひんやりしている。そして水がポタポタと垂れる音が反響している。洞窟だろうか?だとしたらなぜ?体にも違和感を覚える。立ち上がって水たまりを覗く。そこに写ったのは黄緑色の肌を持つ角の生えた人間に似てはいるが、全く違う...魔人とでも言おうか。その魔人が写っていた。「うわ!」周りを見渡す。何も居ない。頭に手をやる。角がしっかりある。手も緑だ。もしかしてと思い、手のひらに力を入れてみた。すると思った通り火が灯った。「これは・・・」そして気づく。声がいつもより若干高い。まるで子供みたいに・・・水たまりに移った魔人も子供だった。やはりこれは・・・「もしかしてだけど、これって・・・」ここでやっと自分がいる世界が元の世界と違うことに気づく。

第3章「友達」

ついさっきから視線を感じる。ものすごく多くの視線が自分に向かっている気がする。気のせいだろうか?そう考えていると1匹のスライムがひょっこり出てきた。「あの・・・」急に出てきて喋る!何だこのスライムは・・・そもそもスライムって空想上の生き物だよな。そもそも洞窟内で視線を感じるのもおかしいと思ったんだ。「どうしたんですか?そんなに驚いた表情をして、あ!申し遅れました。私はスライムです。」ふと疑問に思う。「名前はないのか?」そう聞くとスライムは「なま・・え?」と不思議そうに聞き返してくる。「そう。名前だ。」スライムは、不思議そうに「名前というのはなんなのですか?」と聞いてくる。説明がめんどうだ。「名前ってのはだな・・・いわば自分だけの呼び名だな。」少しだが、スライムの顔(?)が何言ってるかわかんないですって顔になる。「まあ、とにかく自分だけのものっていうことだ。」その説明を聞き、スライムはなるほど!という顔(?)をした。そして、「自分も欲しいです!名前。」と名前をせがんできた。急に言われても困る。そもそもネーミングセンスのない俺にいい名前が思いつくわけがない。スライムだろ?んで、「性別は?」そう聞くと、「自分の種族には性別はないです。」とだけ答えた。ますますむずい。うーん・・・と悩んでいると、「さーて、今日もレベル上げ頑張りますか!♪」という声が聞こえる。「なんだ?」レベル上げって・・・そこで俺は理解した。この姿だと狩られる!「まずい!隠れろ!」スライムはきょとんとしている。「なぜですか・・・?」そのスライムの眼の前で光る球が別のスライムに当たる。そのスライムは爆散し、消えた。黄色い光がその光が飛んできた方向へと向かう。その先に居たのは・・・ 

第4章「狩り」

魔法使いだ。しかも相当手練れの。これはまずいぞと思った瞬間、「お?なんか見覚えのない人形モンスター発見!」風の刃が頬をかすめる。このままだと、確実に・・・死ぬ!「逃げるぞ!スライム!」俺は思いっきりスライムを掴んだ。「え?!」スライムは驚いた様子で言葉もあまり出てこないようだ。「こらー!逃げるなー!私の経験値!」あの魔法使い、意外と足が速い。けど今の自分は人外。ちょっと試してみるか。思いっきり足に力を入れる。すると、一気にスピードが上がった。これなら逃げ切れ・・・ちょっと早すぎやしませんか?きっと今は時速60キロは出てるとおもう。ただ、もう疲れてきた。魔法使いは・・・まだいる。杖に乗って飛んできてる!「まーてー!」もうだめだ!咄嗟に手を魔法使いの方へ向ける。手から炎が吹き出る。自分でもびっくりするぐらい大きな炎が魔法使いを包み込む。「キャァァァ!!!!!」魔法使いは黒焦げになった。魔法使いは涙目になり、「くぅぅ!おぼえときなさいよ!」といって洞窟から姿を消した。なんとか、なった。俺は膝から崩れ落ちた。スライムは「またあの人ですか。」とすこし呆れたように言った。「あの様子だと何回も来てるっぽいな。」俺が言うとそうですね。「今から2年前から・・・」え?「2年前?!」大声にびっくりしたのかスライムは少し縮んだ。「はい。2年前からスライム族やキラーコウモリ族などを狩って皮やゲルを集めたり、なにやら経験値というものを集めているそうです。」なるほど。つまりは冒険者ってことだな。俺もゲームでモンスターを狩りまくってたけど、実際狩られる側になるとこんなにも恐ろしものなんだと思った。

第5章「種族」

さて、そろそろ太陽が恋しくなってきた。「なあ、お前は外に出たりしたことはあるのか?」するとスライムは自信なさげに「それが・・・一回もないんです。外に出ていったものから話は聞いているんですけど、実際に自分ではたしかめれていないというか・・・」なるほど。「なら、出てみるか?」そういうとスライムは驚いたようにこちらを見上げた。それから、「はい!外の世界を見てみたいです!」と答えた。「あの魔法使いはこっちの方に行ったから・・・」とその方へ行くと、光だ。でも太陽の温かみは感じない・・・人口の光だ。「まずい...!」俺は反対方向に走ろうとしたが、こけてしまった。クソ!子供の体だと走りづらい!男の手が迫る。はやく、はやく逃げないと・・・!「大丈夫かい?」その言葉にまず疑問を持った。なんでだ?モンスターに大丈夫なんて言う冒険家が居るだろうか。「お前は・・?なんでモンスターである俺を助けようとする。」男はそれを聞くとにっこりして「ボクはロン。普通の冒険家とは違う。ボクはモンスターを手助けしているんだ。」なんでそんなことを?「攻撃されるかもしれないんだぞ?」そうきくと男、ロンは「そう。今まで攻撃されてきた。でも何度も来るうちにモンスターたちもボクは敵じゃないって思ってくれた。」こいつ、どれだけ体張ってんだよ。「で?手助けってことは俺達のことも手助けしてくれるってことか?」ロンはなんだか嬉しそうな顔をして「もちろんさ。ボクが手伝えることは何でもする。あと君はまだ戦い方を知らなさそうだからボクが教えてあげるよ。」本当に信じて良いのだろうか。「じゃあまず手始めに、俺の種族が分かるか?」ロンは少し不思議そうにしてから「君の種族はきっと亜人だね。でも普通の亜人とは違うみたいだ。」普通と違う?どういうことだ?「普通と、違う?」ロンは静かに頷いて「角が生えてる。いままで角の生えた亜人なんて見たこと無い。それに、他の種族だったとしても人形は現在亜人と人間しか存在しない。」なるほど。なら魔人というのは間違いだったみたいだな。「ちょっとまってね?鑑定スキル発動」手が青く光る。なんだこれ?鑑定ということは俺の種族を探っているということか。「なんと・・・なるほどね。どうやら君は、ボクが探し求めていた存在のようだ。」鑑定結果を覗く。そこに写っていた種族を見て俺は息を呑んだ。「魔王・・・」

第6章「地上」

俺が魔王?まさか、そんな。「さあ、地上に行こうか。」ロンはさっきよりも生き生きとしていた。「でも君は魔王。つまり亜人と耐性は同じ。太陽が天的なんだ。」え?じゃあ出れなくない?「じゃあ・・・」「でも、君は特別だ。きっと太陽も克服できるだろう。」そう言っているが、もし太陽の光で焼け死んだらどうするんだと思った。しばらく歩くと光が見えた。「さあ、もう少しで地上だよ。」すこし肌がヒリヒリする。焼けてるんだろうか。「ここをぬければ太陽の下、地上だよ。」やっと、やっと出れる。ただ焼けて死ぬのも怖い。俺は一歩踏み出す。熱い。最初に思ったことはそれだ。そして、痛い。体中が火傷のように痛く、沸騰した熱湯のように熱い。駄目だ、痛い!誰か、助けて・・・!「パニックになるな、落ち着け。君の体をよく見てみろ。どこも焼けていない。焦げてもない。君は太陽を克服したんだ。」痛みが引いた。よかった。ここで死ななくてよかった。そしてスライムに目をやる。スライムは初めての太陽が眩しくて目が開けられないようだ。「ま、まぶしい・・・」それから数時間が立つ。「やっと太陽に慣れました。時間をかけてしまいすみません。」ほんと時間かけ過ぎだぞ。「まあ、とにかくどこか村とか探そうぜ。」ロンは不思議そうに俺に訪ねた。「村を知っている?君、何者なんだい?魔王であっても地上に出ていない以上、村を知ることはないはず。」あ、しまった。「もしかして・・・君、」転生したなんて言ってもなんかなぁ・・・「よっぽど地上に出たかったんだね!」へ?ま、まあそういうことにしておこう。「う、うん。」なんとなくだけど元人間っていうのはこいつに言うのはやめておいたほうが良さそうだ。

第7章「名付け」

「さて、ボクの小屋に案内するよ。村はそう簡単に行ける場所じゃないからね。スライムくんは形を変えればなんとかなるけど魔王の君は魔法を使わない限り人間に化けることは無理だろうね。特にその角は絶対隠さなきゃだよ。」そうだった。このまま村とかに行ってもただ敵対されるだけだ。「思ったんだけど、なんでモンスターを手助けしてるんだ?人間を手助けしたほうが良いんじゃないか?」ロンは少し黙ってから「君はモンスターなのに人間のことを考えているんだね。面白い。ボクには昔、家族が居た。一緒にいるだけで幸せだった。ところがある日、遠くの町の兵士の軍がこちらにやって来てね。まっすぐボクの家へと向かってきたんだ。なんだろうと思って家から出ると、ボクは兵士に囲まれた。」そこから少し表情を暗くして、「ボクの父は亜人だった。それが国にバレたんだよ。だから家族が殺された。モンスターと生活しているということはいつ襲ってきてもおかしくないと断言したんだろうね。父と母はボクと姉だけを逃がした。今はボクと姉だけで暮らしてる。」こいつ、モンスターと人間のハーフってことか?!「ここがボクの小屋だ。小さいけどごめんね。」ドアが開く。「ロン、客人?」女性が出てきた。きっとロンの姉だろう。「うん。探し求めていたモンスターがいたよ。」ロンの姉は少し驚いたような顔をして、俺を見た。「こんなちっちゃくて可愛い亜人が?」ちっちゃくて悪かったな。「そう。この亜人が魔王だよ。」ロンの姉は俺の前にしゃがんで、「私はナギ。よろしくね♪」完全子供扱いの喋り方だ。「言っておくけど子供じゃないからな。」ナギは少し驚いて、「強がっちゃって、かわいい!」そのかわいいってのやめてくれないかな?「この子は名前がないんだ。それとこっちのスライムも。この2匹に名前をつけてあげようよ。」ナギは目を輝かせて、「いいね!じゃあ私考えて良い?・・・うーん・・・チビスケ...」「却下」俺は咄嗟に否定した。「なんでよ!」ロンが間に入りナギをなだめる。「まあまあ、」そして俺に向かってこういった。「姉ちゃんはネーミングセンスが無いんだ。」納得。「俺は後で良い。俺よりもこのスライムに名前つけてやってくれ。」スライムはまってましたと言わんばかりにぴょんぴょんとはね始めた。「じゃあ、君はアクリアでどうかな?」ロンが提案をする。「ありがとうございます!」その瞬間スライムのアクリアの体が光り始める。「なんだ?!」俺は驚きを隠せなかった。「モンスターは名前を授かると進化する。さて、アクリアはどんなスライムになるのかな?」光がどんどん収まっていく。そこにいたのは・・・なんの変哲もない、ただのスライムだった。「何もかわってなくないか?」俺が呆れた顔で言うと、「見た目は、ね。スライムみたいに原型がないモンスターは能力だけが変わるんだ。」なるほど。「アクリア、何ができるようになったんだ?」アクリアは少し待ってほしいというジェスチャーをした。次の瞬間、アクリアが人形になった。「体の形を人形とスライム型のどちらかに変更できるようになったみたいです。」そこに立っていたのは俺よりも背は12cmぐらい高い女性だった。「変身系になったみたいだね。アクリアはもう人目を気にせず外を出歩ける。じゃあ次は君だけど、どうしようか?」どうしようと聞かれても自分でも思いつかない。「うーん・・・」ナギも一生懸命考えている。「そうだ!ティルってのはどうかな?」ロンが提案する。悪くないかもしれない。「まあ、良いんじゃないかな。」その瞬間俺の体が光る。さて、俺はどんなふうになるのか、自分でも想像がつかない。

第8章「進化」

光が収まっていく。さて、自分はどう変化したのか。体を見下ろしてみる・・・体つきは変わらず、角も変わらない。ただ、尻尾が生えた。太いリザードマンのような尻尾だ。「ほう。魔王はそんなふうに進化するのか。」できれば大人になってほしかった。子供の体はどうも動きづらくてしかたがない。「尻尾・・・なぁ。尻尾が生えたとて何に使う・・・」そこで違和感に気づく。背中にも何かが生えている。まさかと思いその部分に力を加える。翼がバッと広がる。「進化で翼が生えるか。これは初めて見た。」ロンが少し驚いた様子で言った。「それじゃあティル、今日から戦闘やいろんな魔法を教えていくよ。」ここから俺達の新生活が始まった。

第9章「戦闘」

小屋の裏のカカシの前に立つ。「さて、まずは基本攻撃から。一回そのカカシを殴ってみよう。」殴れば良いんだな?俺は思いっきり力を入れて腕を前へ突き出す。と同時にカカシの上半分が吹っ飛んだ。「すごいね。でももうすこし力加減もできるようになろう。そんなのを連発してたらすぐ疲れちゃうだろ?」たしかに。いまのは全力ではないものの連発したらキツイ。「それじゃあ今度は魔法を打ってみよう。魔法を使ったことは?」そう聞かれたが、一回しかない。「洞窟で一回きり。」ロンは少し驚いた表情を見せ、「よっぽど平和だったんだね。」と微笑みかけた。数時間後・・・「よし、じゃあ練習はここまでだね。部屋に戻って腹ごしらえでも・・・」その時、大きな爆発音がした。「な、なんの音?!」これにはロンも戸惑って、「こんなの、初めてだ。」と困惑していた。アクリアに関しては怯えて家の中に逃げていった。爆発の合った方向へ目をやると・・・「これは厄介な敵が来た。」ロンがそう言って戦闘態勢に入る。「ティル、ここからは実践だよ。」俺も咄嗟に戦闘態勢に入る「OK!」煙の中から姿を表したのは、小屋なんて比にならないくらいのドラゴンだった。ロンが思いっきり飛び上がる。俺は走って接近する。次の瞬間、眼の前に炎が迫っていた。いつのまに・・・!咄嗟に避けることに成功。「っぶねぇ!」それに気付いたロンが、「気をつけろよ。相手はドラゴン。下手したら一瞬で黒焦げだぞ。」ロンはそれだけ言うとドラゴンの方へ突っ込んでいった。ロンがドラゴンに手のひらを向ける。「サラウンド...」そこから黄色の4本の光が放たれる。4弾全て命中し、大爆発が起こる。その隙に俺がドラゴンの足元に潜り込み、下から思いっきりアッパーを食らわす。しかし、硬い!こっちの拳が砕けそうだ。だがしかし「クリスタルライズ!」クリスタルライズとは、腕を結晶化させて殴りかかる技であり、硬いドラゴンには最適な技。ドラゴンの腹部の皮膚に拳がめり込む。ロンがすかさず新たな魔法を打ち込む「エーテル・マシンガン...!」手のひらから無数の魔力球が飛び出る。こいつ、やっぱり只者じゃない。さらに、「グラビティ・ナックル!」ロンはドラゴンの頭上から勢いよく殴った。周りの地面が削れ、ドラゴンの頭の角が折れる。「ふう。かたずいた・・・」と言い終わる前にドラゴンが最後の力を振り絞ってロンに向かってブレスを吐いた。「ロン!」しかしロンはすかさずバリアを生成し、トドメの一撃を放った。「アドラフレイム」炎の圧縮された細い光線がドラゴンの頭を貫く。「間一髪だったね。」ロンはすこし困り顔で「今までドラゴンはここらへんに来なかったはずなんだけどな。何かあったのか?まあいいか。今日はドラゴンの肉でも食べよう。見た目や表面の硬さの割には柔らかくて美味しいぞ?」ドラゴンって食べれるんだ。柔らかくて美味しい・・・思わずよだれが出てしまう。「おーい、姉ちゃん!ちょっと解体を手伝ってくれ!」しかし返事はない。「姉ちゃん?」ロンは家の中に入っていった。それから少し間があり、「姉ちゃん!」という大きな声が聞こえた。俺も家の中に飛び込む。そこにあった光景は・・・最悪な光景だった。

第10章「騎士団」

ナギが死んでいたんだ。机に突っ伏して、血を吐いていた。「なん・・・で、姉ちゃん?姉ちゃん!返事してよ!」俺はアクリアを呼ぶ。「おい!アクリア?何があった?」すると机の下においてあったバスケットがかすかに揺れた。そこか。「おい、何があった?」アクリアは涙目だった。ロンは、「誰が姉ちゃんを殺したんだ?なんのために?!」と叫んだ。アクリアが、「変な鎧を着た人たちが勝手に入ってきて、ようやく見つけた。って言ってナギさんに紫色のものを無理矢理飲ませて出ていったの。そしたらナギさんは血を吐き始めて・・・私は怖くなってここに隠れてました。」俺とロンは顔を見合わせる。騎士団だ。「きっとボクと姉ちゃんが亜人を親に持った子供だってことがバレたんだ。だから亜人の父さんと母さんみたいに姉ちゃんも殺した。」ロンの目には人間のものではないなにかが見えた。きっと亜人の血を引き継いでいるからだろうか。「これは・・・」俺もひどいと思う。この世界の騎士団というのはこんなにも極悪非道なのかと、初めて思った。ロンが人間を恨むのも当然だ。「もうこの小屋は危ない。ティル、アクリア・・・行こう。」そうだな。と答えたかったけど、自分もショックで言葉が出なかった。「止まって。」ロンが急に止まった。「どうしたんだ・・」言い終わる前に口を塞がれた。そこで俺も気づいた。囲まれている。「しまっ・・・」そう言い終わる前に茂みから騎士団の一人が斧を振りかざして飛び出してくる。すかさずロンが「エーテル・キャノン」大半をふっとばした。俺も負けじと、「スターダスト・インパイル!」地面に拳を振り上げ、前方の騎士団をふっとばす。「なんだぁ?!こいつら!」騎士団の一人がすこし怯えた声で叫んだ。「こんなのが討伐対象だなんて狂ってる!倒す前にこっちが全滅する・・・」と言い終わる前に俺のクリスタライズが直撃する。「うわぁぁぁ!」と叫びながら吹っ飛んでいった。「実践でもやるねぇ、ティル君は。」「でもこいつらはただの下っ端にすぎないんだよな。」俺が言うと、「ああ。まさにその通り。幹部や総統なんかもいる。」俺は思った。ならこちらも勢力を上げて攻め込めばいいじゃないか。「なあ、ここらへんで魔物の村とかってあるか?」そう聞くと、ロンは不思議そうに「なんだい?いきなり。」

第11章「魔物の村」

俺とロンとアクリアは森を歩いていた。「こっちの方向で間違いないな?」俺が聞くと「ああ。こっちで間違いない。もう少しで見えてくるはずだよ。」「噂をすれば・・・」森を抜けた。その先にあったのは、あまり整備されていないが、雰囲気的には良さそうなゴブリンの村だ。「そういえばお前は大丈夫なのか?人間だけど。」ロンは自信ありげに「ボクはこの村に何度も来て交流を深めてるのさ。だから村長とも仲良しさ!」などと話し始めて、後ろから近づいてきている村長に気づいていなかった。「ほれ、ロンや。自慢話はそこまでにしておきなされ。」ロンはビクッと体を震わせて後ろを向く。「村長・・・いつからそこに?」「ついさっきからじゃ。ところでナギ殿はおらんのか?」それを聞いてロンは、「ナギは、騎士団に殺されました。」と答えた。村長は驚き、「そうか・・・それは残念じゃったのぉ。」と悲しげに言った。「そんなことよりさ、早速紹介するよ。こちらが、魔王のティル。んで、こっちが・・・」と言い終わる前に村長が、「ま、魔王?!」と大声を上げた。「ま、まさか・・・魔王様がこの村を訪れてくださるとは・・・!このわし、感激ですぞぉぉ!」ロンは呆れた様子で、「わりぃな2人共。このじいちゃんすこし感情移入しすぎる事があるんだ。」対応のムズそうなやつだな。そう思った。「ところでティルと言ったか。お主には名前があるんじゃな。」そういえば...と思い、「じいちゃんにはあるのか?」と聞くと、「無いのじゃよ。ロンに頼むもできるのじゃが、この村には身分が下の物に名前をつけられてはならないという掟があるのじゃ。じゃからわしはロンに名前をつけてくれと頼めなかったのじゃ。」なるほどな〜と思ってロンを見ると、へ?っていう顔をしている。知らなかったんだな。「そして今、魔王であるおぬしが来てくれたというわけじゃ。」「つまり、俺に名前を考えてくれ...と。」村長は無言で頷いた。「そんな無茶ぶりな・・・」アクリアは少し戸惑っている。「いいだろう。じゃあお前は今日から・・・」何にしよう。どうする?ゴブ太・・・というほど若くないし、ゴブ蔵・・・なんかピンとこない・・・うーん、難しい。村長は歳寄りとは思えないほど子供と様なキラキラした眼差しで見てくる。さらにプレッシャーがかかるじゃねぇか。「お前は・・・ゴルバとかでいいんじゃないか?」ゴルバと名付けたゴブリンは顔を明るくした。そして体が光り始める。光が消えてそこに立っていたのは・・・ついさっきの老人の面影がない、ムキムキなゴブリンだった。

第12章「戴冠」

俺とロンとアクリアは唖然とした。「ありがとうございます!魔王殿!なんだか力がみなぎってきます!」俺等が呆気にとられて黙っていると、「どうしたんですか?そんな大型モンスターが突然目の前に現れたような顔をして。」お前だよ。お前が急に筋肉マッチョになるからだよ。てか服着ろ!服!上裸だと筋肉が鬱陶しい!「あ、ああ。体格すごい良くなったな。」「す、すごい。」とりあえず村を案内してもらうことにした。第12章「長」「ここが村の中心部です。毎日市場が開かれます。」ロンが話しかけてくる。「どう思う?」「ちょっと守りが弱いかな。だって土壁に木の柱、わらの屋根、木の柵とどれも丈夫で安心とは言い難いな。」だからこそ、俺が現世で学んだ知識をすべて叩き込む。「俺ならこの村、もっとよくできるかもしれないぜ。」村長が頷いて、「皆、あつまれ!」周りがざわついた。〈誰?あの筋肉マッチョは。〉〈まて?あの持ってる杖って村長のやつじゃないか?〉〈村長よりも偉い人がいたって事?〉「よく集まってくれました。皆は見てわからないかもしれませんが、私は村長です。この魔王様にゴルバという名前をたった今授かりました。今からこの村の戴冠式を初めます。」戴冠式?!おい待て?俺がこの村の長になるってことなのか?!「ではティルどの、前へ。」なんで俺が。アクリアは拍手してるだけだし、ロンに関してはついさっきから頭が追いつけてなくてフリーズしてるし。ついさっきまで村長が持っていた杖が眼の前に出される。それを俺が取る。「新たな長、ティル様だ!」わぁぁぁぁ!と歓声が上がり、俺はみんなに担がれ空高く胴上げされた。こっちの世界でも胴上げはあるんだね・・・結局俺は長になり、この国を発展することを決意した。「なあ、まずは家をもう少し頑丈にしないか?例えば・・・」あたりを見回す。岩がゴロゴロと置いてある場所がある。「あそこの岩とか使って」しかしその言葉を聞くと住民たちは困った表情をして、「あそこには巨大なゴーレムが住んでいるんです。行くだけ危険です。」ゴーレム。そう聞くとなんだかワクワクする。「じゃあちょっと行ってくるよ。」住民は止めようとしたが俺は止まらなかった。とうとう岩山まで来て、「おーい!ゴーレムさんよぉ!」と呼ぶと、「グガァァァ!」という唸り声とともに俺の2〜3倍はあるゴーレムが“4体”出てきたのだ。「へ?」

第13章「発展」

俺は逃げるしかなかった。「ちょっと!複数体なんて聞いてないぞ!」追いかけられている間に気づいた。話しかけてみよう。「あの〜・・・」「住処を荒らしに来たんだろ!帰れ!」「荒そうなんて思ってない!ただ岩をちょっくらいただこうと思って・・・」まてよ?岩持ってくって住処荒らしてるのと同じじゃね?やべー...終わったかも・・・と思ったその時だった。ゴーレムがいきなり走るのをやめ、「・・・なーんだ。そういうことだったのかぁ。」となんだか抜けた感じで離し始めた。あれぇ?なんか想像と違うしあとめっちゃ話し方やんわりだな。「いやぁごめんなさいね。てっきり住処を破壊しに来たものかと・・・」はあ・・・「ちなみにどちら様?」そういえば「俺はティル。一応これでも魔王だ。」ゴーレムはへぇ〜という顔からえぇ?という顔になり、最終的にはえぇ?!という顔になった。「どうかこの無礼をお許しください!!!」なんか面倒なことになった・・・「いや、そういうの良いから・・・」「よく有りません!このことに関して、本当に申し訳有りません!!!」あの〜・・・「だから・・・」「いえ!そ...」「だから!俺はそういう上下関係嫌なんだよ!」ゴーレムはポカンとして俺を見る。「どいつもこいつも魔王だなんだって、同じモンスターに変わりはないんだからさ。」ゴーレムはでも・・・という顔をした。「もしそれでもお前らが俺を敬うなら俺からの命令だ。」ゴーレムはいつの間にか星座座りになっていた。「俺への尊敬を捨てろ。」「はい・・・?」ゴーレムはなんだか思ってたのと違うという顔をした。「だから、他のモンスターと同じように接してほしいんだ。」「・・・分かった。」ボスらしきゴーレムが言った。「俺も堅苦しいのは嫌いだ。」お、分かるじゃねぇか。「それとお願いなんだけど・・・」数分後。「おい!ゴーレムがこっちに向かってくるぞ!」「怒らせちまったんだ!」と大騒ぎになった。そこに俺が、「おーい、みんな逃げなくても大丈夫だぞ〜!」と叫ぶとロンが出てきて「どういうことだ?」と聞いてくる。「こいつらは住処を壊されると思って家を守ってただけなんだ。だからコイツラにも悪気はない。」ゴーレムが頭を下げて「理由も聞かずに追い返してしまいすまなかった。」そこにゴルバが出てきて、「ところで何をしに?」それは俺が言う。「この大量の岩を運びに。この村って石削ったりできるか?」ゴブリンたちは顔を見合わせて一斉に一匹のゴブリンを見た。「ん?なんかみんなの視線がオイラに向いてる??なんで?」こいつが?「なあ、お前石の加工とかできるか?」それを聞くとそのゴブリンの顔が、おぉ!という顔になった。「それなら得意だぜ?」頼もしいな。「名前は?」「俺はべリム。こう見えて石を加工し続けて10年だ。」10年?じゃあこいつ何歳から石を加工してたんだ?「こいつは5歳の時から石の加工を都会で習ってたんです。」町?「魔物の街があるのか?」「いえ、べリムは名前をロンに授かってから人に返信できるようになったんです。」ゴルバ説明ナイス。「じゃあよろしく頼む。これぐらいの大きさの長方形にしてくれ。」べリムはすぐに仕事に取り掛かった。なんて手際が良いんだ。「べリムー!私も手伝おうか?」向こうから歩いてきたのは・・・人間の女性だった。「人間?!」ロン以外にいたのか?「あ、ごめんなさい。変身解くの忘れてました。」変身を解いたあとにそこに居たのはゴブリンの女性だった。歳はべリムと同じくらいだろうか。いや、もう少し年上だろうか。「姉ちゃん非力だから無理だろ。」なるほど。姉か。姉のゴブリンは少し怒った表情でべリムの頭をぽかっと殴る。「いてっ!なにすんだよ!」「非力なんて言うからよ!」なんだか微笑ましいな。そういや梨花はどうしてるかな・・・

第14話「繋がり」

俺には妹が居た。梨花という妹だ。梨花は俺のことが大好きでいつも腕に抱きついて離れなかった。俺はそんな妹を一人残して死んじまったんだ。今は何してるんだろうな。その時眼の前が真っ暗になった。そして眼の前が明るくなると・・・ここは、俺の家だ。生き返れた!そう思ったが違う。体が浮いているし声も出ない。クソが。そう思った時、どこからか鳴き声が聞こえてくる。その方向へ行くと・・・梨花だ。大声を上げて泣いている。「どうして!なんで死んじゃうの!」梨花はまだ小学生だ。「まだたくさん遊びたいよ!起きてよ!返事して!」梨花は俺の顔写真の置かれた壇の前で大声を上げながら泣いていた。ごめん、梨花。あの時刺されず無事に帰れていれば、梨花はこんなに泣くこともなかったのだろうか。視点が暗くなる。ごめん。俺はそう思い、魔物の村へと戻った。その思いは梨花に伝わった。〈ごめん〉「お兄ちゃん・・・?」梨花は少し泣き止んだが、「ごめんじゃないよ。なんで梨花をおいていくの・・・」と今度は静かに、泣いた。

第15章「襲撃」

俺は村に戻ってきた。梨花、ごめんな。でも、こうなってしまった限り元の世界に戻ることも出来ない。「さて、石の加工は終わったか?」俺はべリムの元へ行く。「ああ。頼まれた量全て終わったぜ。」流石だ。「よし!じゃあこれを道に敷き詰めるんだ。」ゴブリンたちは少し謎に思っているようだ。「土だとたまに凸凹して歩きづらいだろ?だから道を舗装するんだ。そうすれば歩きやすくなる。」なるほど!という声が上がり、みんなで道に石レンガを敷き詰め始めた。そしてしばらく立ち、道の舗装が完璧に終わった。「思った以上に上出来だ。」そう思ったときに後ろから「大変です!」と一人のゴブリンが走ってきた。「どうした?」「村のすぐ近くで、鬼人と思われる人たちが!」鬼人?ロンを見る。知らなさそうだな。初めてあったときも亜人と亜人亜種しか知らないと言っていた。鬼人か・・・意外と強そうだな。と思ったその時、眼の前のゴブリンの背中から血が吹き出る。「ここが噂の村か。」リーダーの刀を持った鬼人が前に出る。「ロンとかいうやつを出せ。」ロンを探してるだと?「お前ら、何が目的だ?」刀を持った鬼人の横に居た美少女鬼人が、「あなたには関係ない。」と俺を払い除けた。「ボクがロンだが、なにか?」ロンが名乗り出ると刀を持った鬼人と太刀を持った鬼人と大きなハンマーを持ったゴツい鬼人と美少女鬼人が一斉に襲いかかる。ロンはすかさずガードしたがさすがに5人の総攻撃は防ぎようがない。そこに俺が横から「バレットパンチ!」刀を持った鬼人に拳を振り上げる。そこにロンがエーテルショットを打ちこむ。太刀を持った鬼人が吹っ飛ぶ。さらにゴツい男に「クリスタルライズ!」腹にめ拳がり込む。ごつい男も吹っ飛ぶ。しかし後ろから太刀を持った鬼人がせまっていた。ギリギリでかわし、反撃をする。「スラッシュ・バーニング!」炎の刃を作り相手に斬りつける。少しよろけたがすぐに突進してくる。すると、グサッ。ということが聞こえた。自分の腹部を見る。刀が背中から刺さっている。クソ。いつの間に!俺はそいつを振りほどき、刀を抜いた。痛い。ただ、相手の武器を奪うことが出来た。この刀を使わせてもらおう。

第16話「逆転」

俺は今まで使えなかった技を放った。「ギガントスラッシュ!」刀が光をまとい、巨大化した。それで斬りつける。さらに、「ウルフブースト・・・」刀が黒いモヤをまとう。武器にバフを掛けたのだ。まず太刀の攻撃を弾き、ハンマーすらも受け止めた。「なんだコイツ・・・」刀を持っていた鬼人が言う。しかし、俺は思った。一人居ない!俺は裏に気配を感じた。振り返り、防御態勢に入る。しかし来たのは攻撃ではなかった。俺は思いっきり抱きしめられた。なんだ?何が目的だ?自爆でもするのか?!しかし自爆もしなかった。その代わり体が重くなった気がする。デバフか。厄介な・・・俺はそいつを振りほどいて切りつけた。そこにロンが、「これでトドメだ。」と範囲魔法を発動する。終わった。「何だお前は。そんな小さな体でなぜそんな魔力を・・・」「俺は魔王だ。」それを聞いた鬼人はフッっと笑い、「それは勝てないわけだ。しかしこんなにも近くに魔王が居るとはな。」「それで、なんでロンを襲おうと思った。」鬼人は「魔王の居場所を吐かせたかった。」なら聞けばいいじゃないか。「なんで戦おうと思った。素直に聞けば居じゃないか。」鬼人はすこしムカついた表情をして、「魔王だぞ?そんな簡単に言うと思うか?」「そもそもすぐ近くにいるし、隠す必要なくないか?」視線を他の鬼人にずらす。美少女鬼人はなぜか顔が火照っている。ハンマーを持った鬼人は真顔、太刀を持った鬼人はなんだか不機嫌そうだ。「それでだ。魔王、お願いがある。」どうせあれだろ?「名前をつけてほしい。」やっぱりだ。「分かってるよ。俺に頼むとなるとみんなそうなんだよな。じゃあ、並んで。」まずは刀を持った鬼人だ。「お前は・・・黒霧でどうだ?」黒霧と名付けた鬼人の体が光る。光が収まるとそこには、肌の色が緑色に近い色から薄橙色に近くなっている。それと角が2本になっていた。「それとそっちは・・・」俺は順調に名前をつけていった。しかし、最後の一人に名前をつけ終わったところで意識が朦朧とし始める。なんだ?これ。「魔力を使いすぎたようだね。」ロンが説明する。「名前をつけるときには多少の魔力が居る。鬼人や魔王などに関しては更に魔力が必要になる。」じゃあ俺に名をつけたロンって・・・どれだけの魔力を持ってるんだ?そう思ったところで意識が途切れた。

第17章「仲間」

俺は目を覚ます。頭の下になにか柔らかいものがある。そして眼の前には謎の膨らみが・・・俺はすかさず飛び起きた。膝枕をされていたのだ。「あ、起きましたか。」俺を膝枕していたやつが言う。誰だ?「おはようございます、ティル様。」ん?黒霧か。つまり、「なんかすごい変わったなおまえら。」黒霧は進化した所見たけど他のやつらは見てないしそんあら名前も覚えてない。「俺、なんて名付けたっけ・・・?」まず太刀を持った(俺を膝枕していた)鬼人が「私は刹那せつなという名を頂きました。」次はあのゴツい鬼人が、「オデは雷牙って名付けられただ。」そして美少女鬼人「私は咲良こはると名付けられました。」咲良の頬が少し赤くなる。うん、黒霧はイケメン、刹那は美女、雷牙は優しそうなおっちゃん、咲良はさらに美少女になったわけだ。「それじゃあ改めて、よろしくな!」「「「「はい!」」」」翌日。で、なんでこうなるの?「ティル様は私のです。」「いいえ?私のです!」あんま引っ張らないで〜ちぎれる。「黒霧、タスケテ。」黒霧はすみませんという顔をして逃げた。あいつ・・・。雷牙なら・・・そうだ。雷牙は今機を刈りに行ってるんだった。くそぉ!てかなんで?まあ美女と美少女に取り合いされるのは男として良いんだけど、なんかなぁ...理由が・・・

第18章「怒り」

そうやり取りをしていると・・・[きゃぁぁ!][うわぁぁぁ!]といった悲鳴が聞こえた。「なんだ?」俺は外を見る。窓から見覚えのあるエンブレムが見えた。騎士団だ。「まずい、みんな隠れて!」俺が叫ぶ。ロンは・・・!ロンがやられてる。行かなきゃ。俺が走り出す。俺は音速を超え、光の速さで走った。そして騎士団に殴りをかます。「ぐはぁ!」「ロンから、離れろぉ!」その隙にすかさずロンがタクティカルアッパーを繰り出す。すると後ろに気配が・・・回り込まれた!しかし後ろから来た影は俺を飛び越え騎士団の方へ・・・騎士団を切り刻み、ふっとばした。刹那と咲良だ。「ティル様をお守りします!」「私もです!」おいおい、女性に守られる男性が居て良いのかよ。しかし騎士団は数が多い。流石に鬼人2人でもこの良を一気に相手にするのは無理だろう。そう思った時、刹那が太刀をブンッと一振する。騎士団の大半が吹っ飛ぶ。咲良が手を顔の前で合わせる。眼の前にビームを放ち、またもや大半をふっとばした。えぇ〜?強すぎないですか?そこに大将らしきゴツい騎士が出てくる。そいつは魔法を唱えた。「リフレイン」魔法の槍が大量に出現し、雨のように降り注ぐ。刹那と咲良もこれは防ぎきれず、もろに食らってしまっている。「2人共よく頑張ったな。今度は俺が守る番だ。」その時俺の体がかすかに光った。なんだ?なんだか力が湧いてくる。腕に力を入れる。今ならなんかでっけぇものが打てる気がする。「クリスタル・・・」俺の腕がクリスタルに変わっていく。さらに肩、顔の半分までクリスタル化していく。「フィニッシュ!」俺の拳がゴツい騎士に当たる。「ふごぉ!」鎧が曲がり、吹っ飛んだ。裏に居る騎士たちも巻き添えを食らい、次々となぎ倒されていく。そういえばロンは・・・背中から刺されている。嘘だ。「ロン・・・」俺の中で何かが爆発しそうだ。ロンが倒れる。「ロン!」おれはロンのところへ走った。「ティ...ル...ボクは、もう駄目かもしれない...」「いやだ!まだ出会ってから数日しか経ってないよ。まだ、教わりたいこともあった。だから、死ぬな!」しかしロンは最後に笑みを見せて、ガクッと肩を落とした。俺の中で何かが切れた。「殺す。」もう何がなんだって良い。「お前ら・・・ころす・・・。」もうどうなったって良い。「グオォォォォ!!!」俺の口から獣のような咆哮が出た。「な、なんだ?!」黒霧が戸惑っている。俺は手当たり次第に騎士団に切りつけ始めた。まるで血に飢えた獣のように。「ガルルル・・・」俺の手は魔力で作られた鉤爪で覆われていて、鎧を引き裂くのも簡単だった。楽しい。そんな気持ちがよぎった。さらに俺は切りつけた。一人残らず根絶やしにする。「ティル様!もう良いです!相手は去っていきます!」黒霧に止められても俺は止まらない。ロンを殺したやつらを許すわけなかった。そして数時間後・・・騎士団一行は全滅し、死体の山となった。俺はその死体をさらに切りつけずたずたにしていた。これじゃ足りないこれじゃ足りないこれじゃ足りないこれじゃ足りないこれじゃ足りないこれじゃ足りない・・・後ろから手が伸びてくる。新手か?と思い爪を向ける。しかしそこに居たのは騎士団ではなかった。咲良だった。爪が頬にあたり、血が出る。しかし俺はそんなことを気にしない。今は騎士団をずたずたにすることだけが頭の中にある。「ティル様・・・」咲良は悲しそうに言った。「いつもの可愛いお顔じゃありません。目は赤く染まり、手は猛獣のようになり、口は牙が剥き出し・・・・」抱きつかれる。引き離そうとする。「いつものティル様に戻ってください!」俺はいつも通りだ!そう思ったが出てきた言葉は「グギャアァ!」という獣のわめき声だった。そこで意識が遠のく。

第19章「村から町へ」

目が覚めるとそこは暗い空間だった。なんだここ。出してくれ!狭い。暗い。俺は怖くなった。しかし津t技の瞬間、天井が空いた。そこから誰かが覗いてくる。誰だ?咲良と刹那だった。大きくない?なんでそんな大きいの?俺が小さくなったのか。「ティル様、お機嫌はどうですか?」咲良が聞いてくる。「暗い中、ちょっと嫌だった。」俺は魔法で元の大きさに戻され、まず咲良に抱かれた。あんま抱かないでほしな。だって恥ずかしいじゃん。俺は窓の外を見る。ん?なんか景色ちがくね?だってうちの村はこんな〝石造りの家〟じゃないし・・・まさか、「なあ、俺ってどのぐらいこの箱の中に入ってた?」「えっとですね・・・2週間ほどでしょうか。2週間の間ずっと凶暴なままで・・・もう戻らないのかと思ったりもしまし。」そして咲良の体がわなわなと震えだす。「心配したんですからぁ!」と飛びついてくる。本日二度目の抱きつき。勘弁してくれ。「刹那・・・たすけ・・・」そこではっとする。刹那に頼んじゃ駄目だ!「咲良、ティル様は困ってます。離してあげなさい。」あれ?意外と普通...「あなたみたいな貧乳じゃティル様は振り向きもしないでしょうね!」あれ?「貧...!」咲良は顔を赤くして頬を膨らます。かわいい。「とにかく刹那も離して!」ふう。なんとか離れられた。「そうだ、ティル様、これを着てみてください!」咲良は服を取り出した。それもフリフリのついたワンピースを。いつの間にか着せられていた。二人の目は輝いている。「かわいい...!」そして俺はこのまま町となった村を出歩くことになった。恥ずかしいったらありゃしない・・・!にしてもかなり発展したな。建物が全部石造りになってる。気づかぬうちに咲良の近くによっていってしまっていた。「手、つなぎます?」笑顔で話しかけてくる。えんりょしときまーす・・・。ところで、他の奴らは?と思ったその時、後ろから「お久しぶりでございますな!ティル殿!」この声は・・・ゴルバだ。「ああ。ゴルバか。今はあんまジロジロ見ないでくれ。恥ずかしいから。」俺は顔を赤らめながら言った。黒霧はというと俺の代わりに代表をやってくれてるみたいだな。流石だ。「黒霧!ごくろうさん。」黒霧は俺の方に気づき、「はい!ティル様ももとに戻られたようで...」そこまで言うと黒霧は二人に目を合わせた。「ティル様がワンピースを着ている。これは咲良、お前のじゃないか?」え?これ咲良が着てたやつなの?!「しかも昨日も着てたやつ...」「やめてくださいお兄様!」黒霧の頬をぶっ叩いた。えっと・・・そもそも俺は普通の服に着替えたいんだけど・・・。そのあと結局、今日一日このワンピースで過ごすことになった。

第20章「魔術」

翌日俺は町の中央に行く前に昨日見かけた魔導書屋によることにした。なにかおもしろい魔法があるかもしれない。早速見てみる。炎技、水技、自然系、りんごの皮を剥く魔法など、いろんな物がある。その中で目に止まったのが、【変身魔法】だ。これ使ったら人間になれるんじゃね?そう思い、「これください!」と言おうとした。俺、金持ってなかった!そこにちょうど刹那が通りかかる。「ティル様じゃないですか。魔導書を買うおつもりですか。」「ああ。ただ、カネがないことに今気づいて・・・」それを聞いて普通の人は呆れるところなのだが、刹那の場合少しでもティルのやくに立ちたい一心でとても喜んでいる。「私が払いますよ!これください。」買ってもらってしまった。「なんか悪いね。」俺が謝ると「いえ!ティル様の役に立てたならそれで良いんです!」うぅ、様付けがどうも慣れない・・・それと早速試してみよう。えっとなになに?なるほど。原理はだいたい他の魔法と同じか。ん?注意事項、どういう見た目になるかは自分では選べずランダムです。一度姿が決まってしまえば変身した時は必ずその見た目になります・・・ガチャじゃんか。まあ試してみるか。「えっと、こう唱えるのか。チェインジ!」俺の周りに煙が出る。なんかニンジャみたいだな。そして煙が晴れる。「さてと、どうなってるかな・・・」鏡を見た瞬間、え?と思った。「・・・異性じゃん。」そう顔つきも体つきも完全に女性だった。「でも背が高くなったのは良いかもな。」これはこれで大人に戻れたから良いか。でも今はなんだか魔王の姿のほうが落ち着くからな。俺は変身を解いた。「さてと、広場に行くか。」今日は黒霧との約束がある。広場につくと黒霧は噴水の前に居た。「待たせたな。」「10分遅れだぞ、ティル殿。」うぅ・・・スミマセン。「それはともかく、本当にこれで良いのか?」黒霧は黒い球と黄色い球に白い装飾がほどこされたものを取り出した。「これが頼んでいた〝アバターコア〟か。早速試してみよう。」俺が頼んだままで作られているとすれば、モンスターを想像して・・・出来た。手に持っていた黒い球が目の前で想像したモンスターに変わる。「おぉ!良いじゃないか!それで今度は・・・」この黄色の方を持って魔力を込めるだけ!俺の体が目の前に見える。成功っぽいな。俺は手を動かす。しっかり動く。意外と馴染んでるんだな。「成功だ。すごいな黒霧!」黒霧は少し笑い、「私にはこれぐらい朝飯前ですよ。」と言った。さすが鬼人チームのリーダーだ。「さて、これを使えば軍事力の方は広げれそうだな。今の状態じゃゴーレムが4体とゴブリンが数十体。それに鬼人のお前ら4人と俺だけだ。ゴルバはあの見た目のわりに力ないし、他の奴らは・・・」「オイラ、戦えるぜ?」びっくりしたぁ。後ろを振り向くとそこにはべリムがいた。「お前いつからいたんだ?」べリムはフッフッフ・・・と笑うと、「ほぼ最初から。」こいつ...このアバターコアはまだ企業秘密のことなのに・・・「ところで戦えるってどういうことだ?」お前は鍛冶師だろ?「それはですね、オイラは人間の街に行った時にコレを取りましてね。」べリムが取り出したものは、魔法使い1級と描かれた免許証のようなものだった。それなりにすごいものなのだろう。「1級か・・・すげぇ」俺が面食らっていると、「魔王のティルそんな驚くことじゃないと思うが?」まあ、確かに・・・とりあえず今この状態から元の体へ戻ろう。数分後、「やっぱこの体が落ち着くな。」一時期戻れないかと思ったぜ。黒霧の設計ミスで出るときに上手く出れなくて。ちょっと焦ったぜ。まあとりあえずいい感じにはなってきたな。さてと、あとはどうするか・・・そうだ。まだ試してないことがあった。俺は一つの魔導書を取り出した。ロンからもらった魔導書。ロンが使ってた魔法が全て乗ってるんだよな。ただ問題なのはその大半が読めないということ。何語だこれ?最近家でずっとこもっていたアクリアが「多分それ古代文字だと思います。」古代かぁ・・・古代人とかいれば解読できるんだろうな・・・てかロンはどうやって習得したんだ?いつまでも謎なやつだな。「とりあえずこの唯一解読できるスライムになる魔法だけ覚えてみるか。」俺の体が縮み始め、半透明になる。手足がなくなり、一つの塊になる。スライムになった。アクリアが、「同族になりましたね」となんだか嬉しそうに言っている。「なんかうごきやすいな。」足などで歩くわけじゃないので転ぶこともなく、体がスライムなので地面が凸凹でも滑らかに移動ができる。それに隙間に入り込むことだってできる。スライム最強じゃね?その時アクリアがくっついてきた。「スライムはこんな事もできるんですよ?」俺とアクリアがくっついていく。もしかしてだけどこれって・・・合体?完全に合体した。なんか一回り大きくなったな。「すごいでしょ?パワーアップ術だよ」アクリアが言っているのだろうが俺の声も混じっている。「すごいのは分かったから合体解いてくれ。」

第21章「天敵」

今日はちょっと町に行ってみるか。俺は人間に変身し、大人用の服を着た。「やっぱなれないな。」女性の体は慣れないものだ。できれば男性になりたかった。まあとにかく出発しよう。「黒霧、行くぞ〜」俺は黒霧を連れて行くことにした。万が一のときに助けてくれるだろう。黒霧は角を引っ込めることができるため、人間に化けることは簡単である。だから見つかってなかったのかな・・・?「ティル様!なぜ私を置いていくのですか!」刹那、時には我慢というものが必要なんだ。咲良を見てみろ。あんなに静かに・・・泣きそうな顔だ。結局その2人も連れて行くことになった。はぁ、なんでこんなことになるんだ。「ところで町まではどれくらいなんだ?」俺が尋ねると黒霧が「今から歩いて2〜3日です。」わあ〜遠い。歩くのかぁ・・・「おんぶします?」咲良が聞く。「今の姿だと重いと思うぞ。」「いえ、だって私よりも小さいんですから。」それは咲良、おまおが高いんだ。結局おんぶされてしまった。助かるのだが、悪い気しかしない。それから2日が過ぎた。「もう少しで村だ。気を引き締め得ていこう。」黒霧の号令で目が覚めた。おんぶされたまま眠ってしまったようだ。横には刹那がかわいいという目で見ている。涎が垂れている。そこでハッとする。「咲良ごめん!」咲良はえ?という顔をしたあとに理解して「良いんですよ。涎垂らして寝てるティルさまも可愛いですから。」どういう趣味してんだ。というかいつの間にか目の前に街がある!とその時、騎士団の一人が走ってくる。「なんだ?バレたのか?」しかしそうではなかった「おい!そこの4人!そんなかっこうで外を出歩いたら危ないだろ...」騎士団の一人が言い終わる前に騎士団は潰された。巨大な手に。そこに居たのは一人の亜人だった。しかし通常の亜人とはちがく、右腕に刃がはえている。左手は大きさを自由自在に変えられるっぽいな。「お前は・・・」「黒霧、知ってるのか?」「はい。知ってるも何も、こいつは俺ら鬼人の村を滅ぼしたやつだ。」

第22話「激闘」

「逃げるぞ!あいつには勝てない!」そんなつよいの?「ちぃとばかし試してみるか。」俺は変身を解く。「ティル様!そいつはモンスターも人も無差別で殺すやつです!逃げてください!」だったら尚更おもしれぇ。「刹那、太刀貸してくれ!」太刀が俺の横に刺さる。俺はそれを引き抜く。「さあ、楽しもうか。」まず俺が動く。素早く切りつけ、相手を怯ませる。からの背後に回って・・・その時亜人は前方に居なかった。まさか!裏を振り向くと同時に硬い拳が俺の顔面に直撃する。「うお?!」俺はすぐ体制を整えて突っ込む。ウルフブースト!太刀が黒いもやをまとう。ちょっとあれも使ってみよう「クリスタルソード。」左手にクリスタルの剣が生成される。これで二刀流だ。「かかってこいよ!」亜人が一瞬で目の前に来る。俺は咄嗟にガードする。一撃が重い!「クリスタルライズ!」剣を高々と放り投げ、左手をクリスタル化して殴る。直撃したが、怯む様子がない。さらにはいつの間にか背後に回られ、「最後だ...」そういうと極太ビームを発射した。俺はそれに飲まれた。「魔王もこんなものか。」そう言って亜人は去っていく。刹那と咲良が「ティル様!」と今にも泣きそうな声で叫ぼうとして黒霧に口を塞がれる。「今叫んだら確実に死だ。それにティル様は生きてる。魔力がまだ感じられるから大丈夫だ。亜人が去るのをおとなしく待て。」極太ビームでできたみぞの端に一匹のスライムが居た。・・・ぶねぇ!スライムになる魔法覚えてなかったら消し炭だったぞ!?俺は人間に変身し、黒霧たちが居る岩の場所に走っていった。

第23話「町」

「おーい、3人とも!無事か?」俺に気づいた咲良が抱きついてきた。「バカじゃないですか!あんなのに挑むなんて!」・・・おっしゃるとおりで。「どれだけ心配したと思ってるんですか。」・・・「ごめん。」俺は咲良を強く抱きしめた。そこに刹那が、「ティル様ァ!!!!!」と飛びついてきた。ちょ!せめて走ってくるぐらいにしてほしかった。俺達は揃って倒れた。「なにしてるんだ?ティル様が困っている。」黒霧の言う通り。飛び込んでくるのはちょっと論外。「とりあえず、みんな揃ったし町に行こう。」俺等は町に向かって歩き出した。そういえば、話し方も変えたほうが良いか。町についてからまずは武器屋によった。「いらっしゃい!」なんだか暑苦しそうな人だな。剣とか弓とかなんか良さそうなものは・・・これか。【抜刀 紅桜】えっと、値段は・・・?!20万銀貨だと?!払えるわけがない・・・「黒霧〜今いくら持ってる?」「だいたい100万金貨ほどだ。」100万金貨ね・・・ん?!え?「え?100万?しかも金貨?」黒霧は「そうだが?」いやいやちょっと待て?!大富豪じゃねぇか!「買いたい物があったら言ってくれ。」とんでもないな。「じゃあこの妖刀を・・・」「こんなのでいいのか?」こんなの?!いや、どう見ても一級品の上位武器だよね?「アレのほうが良いんじゃないか?」その指の先には・・・【妖刀 羅生門】気になるお値段は・・・うぐ。10万金貨だ。「いいのか?」俺が聞くと「ティル殿の頼みなら。」こいつ、やりおる。というかなんで呼び方がいちいち変わるのか。あいつら2人の前では様付け、二人のときは殿呼び。いつも殿呼びが良いなぁ・・・どうせそう呼べってあの2人から言われてるんだろうな。「じゃああれだな。おじちゃん、妖刀 羅生門をください。」おじちゃんは驚いて、「あんたみたいなお姉さんが妖刀を買うなんてな。あんた冒険者か?」うーん、ちょっと違うんだけどなぁ。そもそも元はお姉さんじゃないし。「10万金貨になります。」「分かった。」黒霧が1枚1万金貨分の大きな金貨を取り出す。え?ちょっとまて?さらにそれが10枚。「あんた、金持ちだね。」おじさんも驚いた表情で羅生門を持ってきた。「いやぁ、これを買うお客さんが居るとは。驚いたもんだ。これはおまけだ。」ん?これって紅桜?!なんで?「これって20万銀貨の・・・」俺の言葉を遮るように「良いんだよ。あんた、見た感じなかなかの手練だ。」黒霧を見ておじちゃんが言う。「これ、持ってきな。あんたが使ったほうがこいつも喜ぶ。」おいおい、どれだけ優しいんだよこのおじちゃん。「感謝する。ではこれで。」「冒険頑張れよ〜」うう・・・人間として生まれたかった。そこで何か動いてるものを見かけた。なんだ?!そっとを見てみると、モンスターだ。「なんで町中にモンスターが?!」それを聞いた黒霧が、「この町は実際、モンスターと共同生活をしている。」じゃあなんで騎士団が居るんだよ。「あの騎士団は一人で居た限りきっと遠征部隊だろう。村に入れてもらえなかったんだな。」なるほど。だから黒霧たちは角を隠してなかったんだ。じゃあなんだったんだよ。おれの変身は。「ただしティル様。あなたは魔王だ。変身しておいたほうが良いと私は思う。」たしかに。流石にモンスターと共同生活をしていると言ったって、魔王が来たら話は別だ。「まあとりあえず買い出しだな。村にない材料を持って帰る。」俺達は鉄や他の鉱石などを買い占め、村に戻った。さっそくべリムに鉱石を見せる。「うわぁ!鉄に胴、ダイヤモンドまである。これは良いものが作れそうだ。で、何作るんだ?」うーん・・・今必要なのはあれか。「この魔晶石を使って強力な弓を作ってほしい。」べリムは目を輝かせて「特殊効果のある武器か!良いじゃねぇか、腕がなるぜ!」頼もしい。「それと刹那の太刀とダイヤをかけ合わせて欠けない太刀も作ってほしい。刹那の太刀はあの亜人戦でヒビ入っちゃったからな。」刹那が頷き、太刀を撫でる。「分かった。じゃあその太刀貸してくれ。」明日の朝取りに来よう。「じゃあ任せたぞー」そう言って俺は自分の家へと引き返した。

第24話「日常」

朝起きる。〝いつもの〟光景が目に入る。石造りの道と建物。木でできた家も数カ所ある。そしてべリムのハンマーを振るう音。「これももう当たり前になっちまったな。」俺はなんだかしんみりと思った。「さて...アクリア、行くぞ。」俺は立ち上がる。「待ってくださいよ!ティル!」昨日べリムに頼んだ武器はどうなってるかな?楽しみだ。「よぉべリム、調子はどうだ?」べリムがこちらに気づき、「ああ。順調だよ。素材の純度が良いおかげで形を作りやすい。」さすがだ。あの店、値段は高いけど品質が良いんだ。「それと弓の方は出来たぜ。自動追尾式の高威力だ。」すげえな。試しにそこのカカシに売ってみな。俺は矢をつがえる。扱ったことはないが、不思議と構え方は分かった。魔晶石の力だろう。俺はまずできるだけ狙い、打った。カカシの頭に当たる。「ティルさんよぉ、普通に弓の扱いうまいじゃねぇか。」べリムがなんだか羨ましそうに言った。今度はあえて外してみる。すると矢は途中で向きを変え、カカシに向かっていった。「すごい!」べリムが得意げに言う。「だろ?しっかりどんなものでも追尾するんだ。ただ、ティルはもとから弓の扱いうまいからいらないかもな。」扱ったこと無いんだけどね。「まあとりあえずありがとう。んで、太刀の方はどうなった?」「もうすぐ終わるよ。鉄とダイヤを融合させろとか無茶振り言うから手こずったぜ。」ごめんな。でもすごいな。よくあんな無茶振りやろうと思ったな。「出来た!【太刀 シチノゴゼン】!」おお!すごい。そこにちょうど、「私の太刀は出来ましたか?」刹那だ。「刹那さん、ちょうど今出来たところですぜ。」刹那は太刀を受け取ると試し切りでカカシを真っ二つに。「切れ味も申し分ない。ありがとうね。」あんな軽々と石でできたカカシを真っ二つに・・・俺とべリムは一緒に怯えていた。「ところで、ずっと見かけないけど雷牙は?」刹那は困ったように「あのバカは毎日毎日木を刈っています。」なるほど。だから木材には困ってなかったんだな。雷牙のおっちゃんにも武器作ってやるか。「なあ、ちょっと鍛冶台使わせてもらうぜ。」べリムが少し驚いたように「あ、ああ。良いけどよ、何する気だ?」「まあ見てなって。」俺は魔力を込めて腕を固くする。鉄を熱してダイヤを溶かし、その2つを混ぜる。さらにそこへ【オリハルコン】を入れる。「おいおい、何してんだよ!そんなもん形を整えれるはずが・・・」俺は形を作っていく。それは段々とバトルアックスの形になり・・・雷牙専用武器が完成した。「出来たぞ!絶対に壊れないアイアモンドハルコン製のバトルアックスだ。」べリムは呆気にとられていた。「お前、ほんと何物だよ。」

第1巻~完~

最後まで読んでくれてありがとう!このシリーズは一回バグかなんかで消えてしまったものなので読んだことある人もいるかも・・・?2もよろしくお願いします!

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