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ヒーローになりたくて頑張った結果警察から国の敵になりました〜丁度いいので復讐します〜  作者: ねぎマイト
薬物を強奪しに行くだけのごくごく普通のお話
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24話 ヒーローさんは修行中 Part.1

 修行とはいえ、どこぞのボールを集める漫画のような筋トレはこの空間では不可能。

 なにせ体がないのだから。


 まずは精神を鍛える。

 心の強さは自らの全体的な強さに通じる。

 自己を見つめ、自分の力を見定める。

 それがこの目玉の言い分だ。


「──!」


 目玉は精神を統一しろと言ってきた。

 この無意識領域を掌握し、自分の意のままに操ることが、この世界における俺の倒し方らしい。


「──」


 精神統一は中々に難しく、気を抜くと色々な思案をしてしまう。

 俺は今なにをしているのか。京介や瞬、それにあの怪我をした男の子に、水崎美玲は無事なのか。

 今は一旦、それらを置いておいて、精神を集中させろ。

 いずれにせよ、ここでこれをしなければ外には出られないんだ。

 しかし、何も考えないのでは精神統一の意味がない。


「──!!」


 ……そうだな。今、俺の考えるべきことはただ一つ。

 すがるを助けること?──違う。

 俺が考えるべきなのは、まず先にあの男の子との約束を果たすことだ。

 すがるは……多分、まだ俺と話をしたくはないのだろう。


「……」


 意識が真っ直ぐに伸びていく感じがする。

 俺の体が根を張り、広大な大地そのモノになったような感覚が生まれた。

 目玉は俺に自分の体をイメージし、形作れと言ってきた。

 俺の体……俺の体はどんなだった?


 そこまでがっちりとした体ではないが、太っているわけでもない。

 そうそうこんな感じ。


「あ……い、う……お」


 頭が徐々に形成され、声が少し出せるようになった。

 次は首、胴、手、足と生えてきた。

 そして、俺の中で、俺の体全てが、俺という魂の一部なのだという認識が生まれ始める。

 体が魂なら、必然的に俺の声は俺の魂の一部といえる。

 ──今までの俺の認識は甘かったのだと、思った。

 ただ漠然と自分の体を動かし、話し、考える。

 それはただ生きているだけだ。自意識過剰でもいい。

 自分のことをよく知ることが精神の成長を意味していることを学んだような気がする。


「──」

「ああ……やってやるとも!」


 そうだ。認識の幅を広げるんだ。

 この空間は深層心理と言っていた。それならここは元より俺のモノだ。

 ならば、この延長線上でもイケるはず。


 ──集中しろ。見つめるんだ。

 見えていないものは無いか?この空間には俺と目玉しかいないのか?

 答えは否。

 ここには無数の俺がいるんだ。

 泣き虫な俺。弱々しい俺。自分の強さを過信している俺。

 その全てが今の俺を作っているんだ。

 歳をとって心の奥底に押し込めていたモノも全部引きずり出す。

 すると、真っ黒な世界に薄暗い光が指した。

 心がスッとした気がした。

 その光は徐々にだが、光を強め、やがてこの世界全体を照らす光となった。


「ごめんな。救うのはもう少し後でいいかな?」


 俺は子供の姿をした俺にそう問いかけた。

 子供は振り向き、ニコリと笑った。

 この子はすがるを想う俺。


「頑張ってね」

「……ああ」


 彼の手を握った。強く、固く。

 また一つ約束が出来た。


「さて」と目玉が語り始めた。ってどっから喋ってんだこれ?


「俺はもう少し早く出来ると思っていたが、少し期待ハズレだな」

「うるせー。喋らせてやってるんだから感謝しろよ俺」

「まあそんな事はどうだっていい。

 修行を再開しよう」

「ん?もう終わりじゃないのか?」

「それでいいなら好きにしろ。

 どうせ負ける」


 我ながら腹の立つ話し方だな。

 周りの俺も心配そうに各々の顔を見あう。


「……分かった。何をすればいい」

「最初っから俺に選択肢はねえ。

 さっさと準備しろ」


 どっちだよ!?

 それに準備って言ったって……何をすればいいのかさっぱりだ。

 顎に手を当て、長考していると目玉は呆れたような声を出した。


「言っただろうが……。英雄戦技(ヒーローズセンス)を見直すってよ。

 お前さっき自分の体を認識した時、どう思った?」

「自分が思っていたよりも自分のことを理解していなかった」


 ハッと顔を上げた。


「俺は自分の英雄戦技(ヒーローズセンス)を誤解している?」

「そういうこと」


 突然、目玉の周りから眩い光線のようなモノが放たれた。

 光線は俺たちを焼き払い、殺した。

 体を真っ二つにされた者や頭を焼かれた者、様々な殺し方をされた俺たちは、自分の肉の塊を寄せ集め、生き返った。


「死なないだろ?なんでだと思う?」

「そういう能力だからじゃないのか?」

「ブッブー!違う。俺の英雄戦技(ヒーローズセンス)はただ不死身なだけじゃないだろ?

 もう一度、よく考えてみろ──それ!」


 再び、光線が俺たちを殺そうと発射された。

 無論、何も抵抗できず、どんどん俺たちは死んでいく。


「分か……た。俺の……能力は生命力の転用だ。

 技を使った後にどっと疲れるんだ。あれは生命力を削っているから。違うか」


 生命解放(ライフパージ)は俺の生命力を削って、一時的にゾーンの状態に入り、身体能力も跳ね上げる技だ。

 そこから考えられるのは生命力の転用。それ以外、考えられない。


「惜しい。ありゃ、生命力を削っていない。使ってるの。

 意識的に使っているから疲れただけ」


 は?生命力じゃない?


「俺の生命力は溢れ出ているんだ。俺はそれをうまーく使っているだけ。

 生き物って凄いんだぜ?生きているだけでエネルギーを消費する。

 そのエネルギーが無尽蔵に作り出されるお前は永久資源であり、小さな兵器ってところだ」


 さっきのレーザービームみたいなのもそういうこと、なのだろうか……。

 というか、兵器って!


「お前は自分が思っているよりも特異な存在だよ。

 なにせ死ぬことを許されていないんだから」

「誰にだよ」

「さあ?」


 目玉は含み笑いをした。

 こいつ……俺に協力する気がほんとにあんのか?

それではPart2へ続きます。

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