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ヒーローになりたくて頑張った結果警察から国の敵になりました〜丁度いいので復讐します〜  作者: ねぎマイト
旧友に会いに行くだけのごくごく普通のお話
17/31

16話 ヒーローさん新しい仲間です

 すがるが怪人として討伐される……。

 覚悟はしていた。

 いつかそれが現実になると。


「いつ決行されるんだ?」


 ハピネスに聞いた。

 まだ、討伐は阻止できるはずだ。

 すがるがあいつら──ジュピターたちの手に渡る前に()が保護すればいいのだ。


「あたしが仕入れた情報だと、まだすがるちゃんの行方が分からないから決行日時は決まっていないらしい。

 それと、刑事さんいたじゃん?君の上司の」

「……?ああ、あの人な。あの人がどうした?」

「その……君が殺したことになっている」


 気まずそうに話すハピネスだが、それほど俺は驚いていない。

 ジュピターが一般人を殺したなんて事実がこの世に出回った時はジュピターが死んだ時だけだ。

 あいつはヒーロー。

 人類の希望だ。

 周りの人間もそれをよく知っている。

 だからもみ消す。


「そうか」

「そうか、って……他に何か無いの?

 昔の君だったらめちゃくちゃにキレてたでしょ」

「そりゃあ思うところはあるけど。

 なんとなく予想はついてたんだよ」


 当初の目的に会話を変える。


「それはまず置いとくとして、ハピネス、お前に聞きたいことがある。」

「なんなんだい君たちは。

 質問攻めじゃないか。

 私も多少は質問攻めをするがここまでひどくないぞ」


 ハピネスはため息を吐きながら呟いた。

 サラちゃんはハピネスに呆れながら言う。


「ハピネスちゃん。

 男ってのは再会を喜ぶことよりも自分のしてることの効率を重視しちゃう薄情なやつらなのよ」

「いやいや。そんな事はないよ?

 俺だってハピネスが元気そうで嬉しいさ。

 それになんだかんだハピネスとは長い付き合いだし」

「あら?長い付き合いってあなた。ハピネスちゃんと3年以上会ってないんでしょ?

 し・か・も!ハピネスちゃんにアジト?だかなんだかを作るの丸投げしておいて、ありがとうの一言も無しらしいじゃない。

 それで長い付き合いなんて言葉で片付けるなんて薄情どころかクズじゃないの?」


 世の男性の誤解を解くため弁解を図ろうとすると、正論で顔面、みぞおち、アッパーカットの綺麗な三連コンボをもらった。

 大ダメージ。

 再起不能だ。言い返す言葉もない。


「……すいません」

「そう思うならハピネスちゃんに会えて嬉しいくらい言ったらどう?」


 そのとおりだなと、再会の喜びを伝えるため、笑顔でハピネスの方を向く。


「会えてうれ」

「別に君に嬉しがられてもコメントに困るわ……

 ってか、なんで京介じゃなくて君が来たのよ……キモっ」


 泣きそう。

 なんなの?怒られたと思ったら、罵倒って。

 ごめんね。イケメンじゃなくて。

 そう心の中でつぶやく。


「悠里……なんか、ドンマイ」


 小学生に慰められる25歳男性。

 惨めにもほどがあるだろう。


「じゃ、じゃああなた達の話も聞かせてもらえるかしら?

 色々大変だったでしょう。まだ時間はあるようだし、ね?

 あ!私お茶淹れてくるわ。

 最近いいお茶もらっちゃって!」


 いそいそと台所へ歩いてくサラちゃんだが、自分が言った手前、気まずさが隠しきれないようだ。

 ホントにごめん。

 日頃の行いの重要性に気付いたよ。俺は。


 ********


 サラちゃんに淹れたお茶を飲みつつ、これまでのことを事細かに話した。

 もちろん、ここに来た理由も

 何か考えているのかハピネスは腕を組み、唸る。


 そういえばサラちゃんに淹れてもらったお茶はたしかに上等なモノだった。

 苦味はあるが、その苦味の中に綺麗な甘みを感じる。

 さらには香り豊かで清涼感っていうのかな。

 爽やかな口あたりだ。


「いいお茶だったよ」

「うふっ。ありがと」

「うーん……」


 ハピネスは未だ腕を組み、唸り続ける。

 流石に気になったのでなにを考えているのかを聞く。


「どうしたんだ?さっきから」

「記憶を抜き取られたね〜……聞いたことが無いんだよな〜

 それに目的が掴めないんだよ。

 記憶をイジれるならお前殺されてるだろうし」

「ああ。それなら俺も思った。

 どちらかというと妨害が目的なんじゃないかな」


 すがるとの記憶をピンポイントで消してきた。

 つまり絞られるのは俺とすがるの関係を知っているジュピター関係者か京介となる。


「だけどさ〜ジュピター関係者ってあんたの事調べてないんじゃなかった?」


 そうなると、京介、か。

 その可能性はゼロだ。

 英雄戦技(ヒーローズセンス)は一人につき、一つだからな。


「例えば……例えばさ」


 瞬が恐る恐る話す。

 全員が瞬の方を見ると、瞬は顎に手をあてていた。


「すがるさんって人、本人が消したって線は?」


 すがるが?なぜ?

 だが、これに関しては可能性がゼロではない。

 沈黙が辺りを包んだ。

 それは、すがるが自分を助けるな、という意思表示をしていることになるのだ。

 皆が黙るのも分かる。


「まあそうだったらそうだったで別に構わないよ」


 沈黙を自ら破った。


「いずれにせよ、すがるをジュピターが狙っていることは変わらない。

 俺はジュピターを狙っている。そしたら、いつかはすがるに会えるだろ。

 その時に聞けば良いよ」

「……そうね」


 サラちゃんは柔らかい笑みを浮かべた。


「それで?オアシスが欲しいんだっけ?」


 ハピネスは本題に入った。

 まあこいつが言わなくても俺から言うつもりだったが。


「ああ。お前が持っているなら話が早い。

 少し分けてくれることって出来ない?」

「いいよ……って言いたいところだけど。

 あれは貴重でね。いくら友達の君でも譲るのは少し厳しいな」


 頭をポリポリ掻き、申し訳無さそうに──思っていないだろうが──言った。


「そうか……」

「あっ!!代わりと言ったらあれだけどサラちゃん連れて行ってよ。

 良いでしょサラちゃん?」


 ハピネスはサラちゃんのゴツい腕に抱きつき、上目遣いで言った。


「私はいいけどぉ〜ハッピーちゃんは大丈夫?私がいなくても自分の周りの世話は出来るの?」

「もちのロン!」


 困ったような表情で言うサラちゃんから離れ、グッと親指を立てるハピネス。

 どうやら決まったようだ。

 サラちゃんはやれやれと言ったような感じでため息を吐く。


「あなたはそれでいいのかしら?」

「ああ構わない」


 ハピネスの信頼する人間だ。

 俺も信用しても大丈夫だろう。

 何やら瞬が複雑な表情をしているがなんでだ?


「なあ──なんで京介はいないの?」


 見渡すハピネスに思わず心臓がぎゅっと掴まれた感覚に襲われる。

 さっき、ここに来た目的の時に適当にはぐらかした話を掘り返されたのだ。

 多分、いや、ハピネスは京介に惚れている。

 間違いない。

 それなのに京介はハピネスと会いたがっていないことを伝えるのはあまりにも畜生すぎる。


「あ、ああ……あいつは今ポノラの面倒をしていてさ」

「そういうこと。ビックリした〜嫌われているのかと思った」


 心底安堵した様子を目の当たりにして、俺の良心は大いにダメージを受ける。

 優しい嘘とはいえ、これは応える。

 サラちゃんは察したのか話題を変えた。


「さっ!とりあえずあなた達のアジトに連れて行ってくれる?

 私の能力って一回行ったことのあるところしか行けないのよ」

「待って待って!君たちが行ってる間、ポノラちゃんってどうするの?」


 早くこの場から離れたい俺をハピネスが引き留めた。

 正直、あのアジトに置いて行こうかと思っている。

 あそこにジュピターたちが来るとは思えないし、大丈夫だろ。


「置いてくんだったらあたしが預かろうか?」

「いいのか?もしバレたりしたら……」

「いいのいいの。どうせバレっこないから」


 そういうことなら、とハピネスに留守中のポノラを頼む事にした。

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