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ヒーローになりたくて頑張った結果警察から国の敵になりました〜丁度いいので復讐します〜  作者: ねぎマイト
旧友に会いに行くだけのごくごく普通のお話
15/31

14話 ヒーローさん攻略ですPart.4

 階段を登ると何も無かった。

 いや、楽だけどさ。

 今までの感じからしたら何かしらあると思うのが普通じゃん?


 階層の右奥に階段が見える。

 さっさと次の階へ言ってしまおう。


「お待ちになって」


 オカマ口調の男性的な声で後ろから引き止められた。

 振り返ると、女性服を着た無精髭のよく似合う男がいた。


「えっと……?」

「あんまりいい男じゃないわね」


 男は俺の顔を見るなり頬に手を当て、残念そうに呟く。

 ひどい言われようだ。


「初対面でひどい言いようですね」

「あらっ聞こえちゃった?ごめんなさいね。

 私口に出して言っちゃうタイプなのよ」

「まあいいですけど。それで何か御用ですか?」


 こんなところに何の用もなくいるわけないだろうし、俺に話しかけたということは目的がある。

 それは分かるのだが、いかんせん目的が見えない。

 敵意は感じない。かと言って友好的な人間の放つプレッシャーじゃない。

 こいつもヒーローか。

 だが、こんなヒーロー見たことも聞いたこともない。


「そんな斜に構えないでよ。

 レディにそんな態度じゃ嫌われちゃうわよ?」

「ほっといてくださいよ」


 俺が少し警戒してるのに気づいたのか嫌味ったらしく言われた。

 感情的に言い返してしまった。

 ダメだ。相手にペースを握らせるな。

 少し深呼吸して、気持ちを落ち着かせる。

 相手は男だ。気にする必要はない。


「あらら。こんな無駄話してる場合じゃないわ。

 悠里くん。こっちに来てくれる?」


 腕時計を見た男は焦る様子で俺を手招きした。

 まあ敵意は無いようだし行くだけ行ってみるか。

 近くに寄ると、男は手の平を上に向け、差し出した。

 手を取れ、ということだろうか。

 おずおずと、手をとる。


 すると、ぐにゃぐにゃと目の前の男が歪みだした。

 見れば、自分の手も歪んでいる。

 これは……俺の視界が歪んでいるのか?


「何──をし……た」


 瞬きをすると、視界には、ぼやけてはいるが先程の階層とは明らかに違う光景が広がり始めた。

 言うなれば、足の踏み場も無いほどに紙が散乱した部屋。そんな感じか。

 ここは、どこだ。


「はい。到着」

「どういうことだ……?」

「あら?あなた、強いのね。普通はどんな子でも気絶するはずなんだけど」

「質問に答えろ」


 英雄戦技(ヒーローズセンス)を自身に使った。

 それだけで敵対する理由としては十分だ。


「もうせっかちさんね。

 今に分かるわ。もう少し待ってて」


 頬をつんと指で突かれた。

 すると、徐々にぼやけた視界がクリアになってくる。

 見知った光景だ。

 全面ガラス張りで本来ゴージャスな内装になるはずだったのに、床に散らばった紙のせいでただの汚部屋に成り下がった悲しい部屋。

 ハピネスの部屋だ。

 部屋の主はというと、男子小学生ほどの子供の前で下卑た笑みを浮かべている。

 どうやら瞬の英雄戦技(ヒーローズセンス)が解けたらしく

 ハピネスが瞬の口に何かを押し込こもうとし始めた。

 男の手を離し、ハピネスに詰め寄った。


「ハ〜ピ〜ネ〜ス〜!!」

「いひぃぃ!?なんでっ!?なんでいる!

 もしかして……あっ!やっぱりサラちゃんだ!」

「は〜い」


 陽気に手を振るサラちゃんとかいう男を尻目にハピネスを黙って見つめる。

 ハピネスはビクつくと、瞬から離れた。

 瞬はほぼ半泣きだった。

 うるうると瞳を潤わせ、こちらをゆっくり見てくる。


「悠里……こいつ」

「言うな。何されそうになったのかは大体分かる」


 そう言って瞬の拘束を解く。

 特殊な材質なのか固かったが、ロープをつまんでちょっと強めに引っ張るとあっさりちぎれた。

 瞬は拘束が解けると、裾で涙を拭った。


「サラちゃ〜ん早いよぉ」

「なに言ってるの。

 あなたの信者があんなに傷ついてるのに。ハッピーちゃんってばこんなところで男の子を泣かせてるんですもの。

 いつも言ってるでしょ?信者は大切にって」


 サラちゃんはハピネスの肩を掴み、真剣な表情で言った。

 しかし、声に凄みは無く、親の暖かさのようなものを感じる。


「……分かった。ごめんなさい」

「ごめんなさいは私にじゃ、ないでしょ?」


 まるで母と子のような会話だが、実際は信者について話すカマと成人女性だ。

 いや、まさか、ほんとに家族?

 いやハピネスの親は……。

 いずれにせよ絵面はかなり異様だ。

 ハピネスがこちらを向き、真っ直ぐに瞬の方へ来た。

 瞬はハピネスを警戒してか、俺の後ろに隠れた。


()()()()()()()くん……ごめんなさい。怖かったよね」


 驚いた。あのハピネスが頭を下げ、謝罪したのだ。

 自己中が服を着ているのかとばかり思っていた。

 しかし、そんなハピネスが謝った。

 ひとえに、このサラちゃんとかいう男のおかげだろうか。

 きっとそうなのだろう。

 こいつの成長に免じて、フォローしてあげることにしよう。


「こいつもわざとじゃ……いやわざとだけど。

 そこまで悪意があったわけじゃないんだ。

 聞き出したことも悪いことに使おうとしたわけじゃないはずだし」


 瞬は無言のまま頷いた。

 許した、ってことでいいのか?


「お前は心が広いな」


 昔の俺はきっと許せなかっただろう。

 この子は心がたくましい。


「私がアンダードッグくんをここに連れてきたのも問題だったわ。

 私からも謝らせてちょうだい。

 ──ごめんなさいね。」


 サラちゃんは瞬の前に座り、謝った。

 優しい声だ。ゆったりとしていて、かつ、引き締まった声。

 なんとも心地の良い。


「ん?ちょっと待て」


 今少し気になったことがある。

 三人が不思議そうに俺の顔を見る。


「なんでこの子がアンダードッグって()()()()()()?」


 アンダードッグというヒーローは正体の分からない擬態ヒーロー。

 俺も小学生だとは思わなかった。

 青年の姿だったとしてもアンダードッグを連れているとは思わないだろ。


「あっ……そういえば。僕が拘束された時は今の姿じゃないよ。そうだ。あの時から僕のことを知ってた」


 瞬は顎に手を当て、そう言った。

 ハピネスはボリボリと頭を掻きながら気まずそうに言う。


「うーん。言うのはちょっとあれだったから話したくなかったんだけどな」

「ハッピーちゃん……言いましょ」


 二人は重々しく口を開くも話してくれた。


 実は顔写真がテレビにリークされ、その中にはアンダードッグ、もとい瞬の顔写真もあった。

 リーク先はジュピターだろう。

 いや、未成年の顔写真、それも顔を他人に見せたことの無い瞬のをメディアが取り上げるということはジュピターが関与していると見て間違いない。

 そして、続けて二人は言った。

 怪人『秡場(はつば)すがる』の討伐要請が国から正式に発表された、と。




いよいよ国との正面激突か……!?

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