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白銀妖精のプリエール  作者: 葵 嵐雪
第一章 フレイムゴースト
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第七話

 ラスリットは話を始める前にテーブルの上に置いてあったグラスを手に取ると透明な液体を口の中に少しつづ続けて流し込む,見ただけでも分かる通りに水を少しずつ飲んでいる。やはり長い話になるようで先に喉を潤したようだ。そして充分に喉を潤したラスリットはまだ半分ぐらい残っている水が入ったグラスをテーブルに戻してから話を始めて来た。

「ここに来るまでベルテフレやイブレ殿からいろいろと聞いているでしょうから広まっている話は省いて機密にしている事から話します。そうですね,まずは盗賊団についてから話しましょうか」

 そんな前置きを置いてからラスリットは盗賊団に付いて話し始めて,その内容はこのようなモノだ。

 盗賊団の所在についてはすぐに分かった,何故なら襲われた商人の何人かがすぐに積み荷を捨てて身の安全を優先して隠れていたので盗賊団が荷馬車ごと奪っていった方向がはっきりと分かったからだ。後はその辺りを捜索したらすぐにそれらしい洞窟と見張りの盗賊が居たからだ。まあ,幾度も盗賊や山賊の討伐をやっているハツミの軍勢ならこの程度の情報はすぐに手に入れる手段も訓練も済んでいるので実力はかなり高いと言える。そんなハツミの軍勢だからこそ,すぐに討伐隊を組織して向かわせたのだが結果は今まで聞いてきた通りだ。ラスリットが言うには今に思えば敵が今まで討伐してきた盗賊団とはかなり違う点があるのを見逃していたとの事だ。

 見逃していた点というのは商人達が雇っていた傭兵が関係してくる。商人達も安全を考えて一人で賊が出そうな通商路を通る訳では無い。商人達も目的地が同じなら商隊を組んで更に危ないと思われるか金銭に余裕があるのなら傭兵を雇って護衛に当てて襲われた時に対処して貰うのが当然だ。そして今回の盗賊団に襲われた商隊に雇われていた傭兵が戦ったのだが商人達は傭兵に戦いを任せて荷物を動かせるようなら荷物ごと逃げるが,それが出来ない場合は荷物を置いて逃げる。というよりかは傭兵達が戦っている場所から距離を置いて安全を確保するのだが大勢で組織したハツミの討伐隊でも敵わない相手なのだから数人から十数人の傭兵程度では相手にもならないと言った所だろう。そして傭兵がやられると盗賊団は商人達を脅して積み荷を馬車ごと奪っていった,という報告だけを重視しただけに見逃していた……傭兵の何人か,時には全員が不可解な死に方をしていた事を。そう,鎧やつるぎなどは残っているが肉体は完全に消失していた事に。

 これがラスリットのみならずハツミの軍勢が見落としていた最初で重要な出来事だ。ハツミ軍はもちろん商隊が襲われた場所をキッチリと調べるので不自然に残っている焼け焦げた鎧や防具の一部などをしっかりと観察して,報告はラスリットにまで上がっていたがラスリットとベルテフレも,更には現場を視察していた兵士達もまるで焼け残った鎧や防具に関してはまったく別の意味で捉えてしまった。誰もそれが商人が雇った傭兵が身に付けていた物では無く,自分達が略奪したと挑発の意味を込めて置かれた物と判断してしまった。まあ,そう判断してもおかしくはない。盗賊や山賊の中には自分達の名前を上げると共に軍が持ってくる物資を目的とした賊がいるのでラスリットは今回もそのような賊だと判断した。もちろん賊がこのような事をするのにはしっかりとした理由がある。

 一番多い理由は自分達を畏怖の対象,つまり一国の軍勢が相手でも自分達は負けないぐらいの戦力を持っていると誇示する事だ。他には別の理由として使われる場合が多いだろう,簡単に言えば盗賊行為は偽装で本当の目的は別にあったりとか盗賊に目を向けさせて逆から軍を勧めて進軍を図ったり,盗賊の被害者を装って討伐に軍を別けた隙につけ込んで一気に拠点となる都市を落としたりと軍事目的に使われる場合が多い。それとハツミのように盗賊の被害者に多大は補償を行っているの場合では騙し取ろうと盗賊役と被害者役に装って役所に申告する頃には盗賊役は襲った事を明確に示す為に何かしらの証拠を残してからすぐに別の場所に逃げているというのもあるが,このような場合はハツミのように賊の取り締まりに慣れている軍勢はすぐに動いて盗賊役を捕まえるのと同時にその場で尋問,荒い場合はすぐに拷問をするか一人や二人を目の前で処刑して充分に脅してから犯行の全貌を吐かせるので,商隊が襲われた現場に何かが落ちててもそんなに重要視しない場合が多いのは確かだ。

 ラスリットはこのような案件を月に数回は見ているので現場に残された遺留品を重要視する事が無いと言っても良い。それぐらい襲撃現場から何かしら重要な事が分かるという事例が無いだけにラスリットを含めてハツミ軍は焼け焦げた鎧を重要視する事は無かった。それどころかこの盗賊に襲われると焼いたような鎧が残っている事から『焼却の盗賊団』という名前を付けて討伐に当たっていた。その結果として焼却の盗賊団に対する討伐に八回も失敗するというハツミとしてもラスリットしても名を落とす事になってしまった。

 ここでラスリットはエランに七回目の討伐についてどこまで知っているかと尋ねるとイブレから聞いている事を話してからラスリットは分かったと言わんばかりに頷いてから話を続ける。

 ラスリットは補足として七回目の討伐で分かった事を話し出した。それは焼却の盗賊団を率いる首領の名前,その名をカイナスと言ってイブレが語ったスレデラーズであるフレイムゴーストを常に持っており盗賊団ではフレイムゴーストの力で絶対的な統率者として盗賊団を率いている。だからかカイナスの噂を聞いた盗賊や山賊が少しずつ集まってきており焼却の盗賊団は大きくなり今ではハツミの周囲に点在する盗賊団では最も大きな盗賊団へと成長した。そして今となっては手出しが出来ない程の盗賊団になっている。

 ラスリットはそこまで話すと少し話疲れたのだろう,テーブルの上に乗っているグラスに手を伸ばすと透明な液体を口の中に入れで喉に流した。さすがにこのような場で生真面目なラスリットが酒などを飲むはずが無いので水だとエランでも分かった。そして水を一気に飲み干したラスリットがグラスをテーブルに戻すと後ろに控えていた兵士が再び小さな水壺からグラスに水を注いで終わるとイクスが声を発して来た。

「領主様よ,大体の事は分かったけどやっぱり腑に落ちないわ。ハツミの軍隊が賊退治に慣れて行きすぎたってのは分かったけどよ。それでも八回も続けて失敗するのはなんか理由があるんじゃねえのか?」

 イクスが無礼な口調でそんな質問をするとエランはイクスを咎める訳ではなくて別の言葉を発した。

「イクス,気が早すぎ。ラスリット様も喋り続けて少し休憩が必要だし,全部を話した訳じゃ無い。話はまた続くから」

「あぁ,はいはい,急いだ俺様が悪かったよ」

 イクスがそんな悪態を付くとエランは無言でラスリットに向かって軽く頭を下げるのと同時にハトリはテーブルに隠れるようにして溜息を付いていた。まあ,ここでイクスを責めないのも当然とも言えるだろう。つまり先程のイクスが発した言葉は的を射ていたからだ。だからこそエランは下げた頭をすぐに上げてラスリットのに眼差しを向けるが当のラスリットはイクスの言葉に何と返答しようかと迷っているようにも見えたがすぐに言葉が見付かったのだろう再びラスリットが口を開く。

「確かに私が適切な対処が出来るようになるまでかなりの犠牲と時間を費やしました。それもひとえに私の未熟さが重心となって判断が遅れたのです」

 そんな言葉を皮切りに今度は自らの事を語り出すラスリットの話をエラン達はただただ黙って耳を傾けるとハツミの町が重要になってくるので一度整理する為にエラン達が聞いていると知っていてもラスリットは分かり易くする為にハツミと自分の事について話し出す。

 エアリス国の最北端にある城塞都市がハツミで西に向かえば隣国,南と東に向かえば別の領地に入ると言った具合に貿易を行う都市としては最適な場所に町とマーズ領を従える為に城が作られた。領地としては狭い方だが様々な通商路がハツミの手前で繋がっていき最後にはハツミに続く一本道になって東西と南に繋がっている。その為に隣国の貿易品はハツミに集まるし,それを買い付ける商人が集まるのと同時に他の領地から集まってきた工芸品や資材,食品と隣国の商人に売り出すだけではなくハツミを含めて他の領地が必要としている品までもハツミに集まってくるようになった。だからこそハツミはエアリス国では最大の貿易都市になったのだが大きくなれば成る程に問題も増えるという訳だ。

 問題というのがハツミに出入りする商人と比例して増える盗賊や山賊だ。ハツミは町に近づけば近づく程に道が一つになり多くの商人がその道を通ってハツミに入る訳だが賊から見れば道が一つに絞れるだけに後は商隊や商人,旅人を襲える場所を見付けるのが簡単になっている。なにしろハツミは森を切り開いて作られた町だからこそ町の近くは草原が広がっているが少し進めば森に入るので賊が隠れる場所や拠点にする場所も築きやすいという訳だ。つまりハツミという町は商人達から見えれば町の人々や同じ商人が仕入れの為に訪れたりとか他の領地から買い付けの為に派遣された使者など様々な人が様々な品を求めるからこそ商売がはかどるが,賊から見れば人数が少なくとも自分達に似合った獲物である商人や商隊を狙える,というより選んで襲える場所が多く存在するので隠れ家としても狙う相手にも事欠かない地域と言える。後はハツミの軍勢が自分達を殺しに討伐隊を派遣するが,その前に逃げるか,欲深く粘って討伐隊に全滅させられるかのどちらかという訳だ。簡単に言ってしまえばハツミという町は商人にとっても賊にとっても活動がしやすい町であり地域という事だ。

 更にハツミというよりはラスリットは賊に襲われた商人に対して手厚い保証を行っている。襲われた商人に対してハツミ軍は情報を聞き出すと素早く討伐隊を編成して討伐に赴き対処が早ければ奪われた荷物や商品を奪い返して商人達に返したり,税金の他に保証金をハツミに納めていれば戻ってこなかった荷物や商品の代金に対してある程度の金額は支払われる。このような制度が整っているからこそハツミに駐在している軍は常に盗賊や山賊に対処をする訓練や巡回などを欠かさずに行っているので賊がそれを察してすぐにマーズ領から出ない限りは討伐は出来ていた。そしてこのような取り組みで自身が慢心になった事は既にエランが聞いている事だろうから省くとラスリットは言ってからエランの方を見るとエランが頷いたのでラスリットは話を続ける。

 八回目の討伐でやっと一筋縄どころか自分達に討伐が出来るのかも疑わしい事態に気付いた頃には既に次の討伐隊を出せない状況になっていた。ラスリットは最初の失敗を聞いても大して驚かなかったし動揺もしなかった。ハツミの軍勢が賊の討伐に慣れているからと言って必ずしも成功するとは限らない事を重々承知していたからだ。そして失敗から得られる情報から次の成功に繋がる事も。だが今回に限っては違った討伐隊を派遣した報告を聞いたがそれからの報告がまったく無かったという点だ。いつもなら討伐に失敗しても何らかの報告が上がってくるのだが今回はいつまで経っても報告が上がってこないので最初の討伐隊がどうなったのかを確かめる為と未だに活動を続けている焼却の盗賊団を討伐する為に二回目の討伐が行われたが,結果は最初と同じで報告が上がってこないどころか騎士団も討伐隊に何が起こったのかを把握していなかった。

 今までにはない希有けうな状況に成ったのでラスリットは知らぬ間に焦りが生まれていた。そのうえ勝手な想像で自分達の仲間や友が殺されたと思い込んだ騎士団から次の討伐隊を出すべきだ,という要望が上がっていたので盗賊団を放置する事が出来ない現状と思い込みだけで士気が上がりきっている騎士団に対してラスリットは何かしらの策を講じてから討伐隊を出すように,という丸投げの命令を出すしかなかった。なにしろ士気が上がり過ぎた騎士団を抑え込めば不満が爆発してどうなるか分からない,かと言って何も考えないままに討伐隊を出す事は出来ないのでラスリットとしては下の不満を解消させる為に条件付けで命を発し,討伐隊を出す事で他の領主や国王に対してハツミの信頼を下げる事を防いだ。だけど三度目もまた同じ結果となりラスリットの元に討伐隊からの報告が届く事は無かった。討伐隊からの報告が無いという事は焼却の盗賊団に対して新たな情報が得られない事を示しているのだが焦っているラスリットは何としても焼却の盗賊団に関する情報を得ようとした。だが新たな情報を得る方法は一つしかないと思い込んでいたラスリットは次の討伐隊を出すように命を下した。

 騎士団からは討伐隊からの連絡が無い事に次の討伐隊を出すように次々と要望書が届くのと同時にエアリス国王から直々の親書で事態の解明と対処が無理なら本国から直々に部隊を発して貸し出す,などという親書が届いてしまった為にラスリットはようやく自分が無策のままに討伐隊を派遣していたという失政に気付いた時には既に七回もの失敗を繰り返していたので八回目の討伐隊で偵察兵が組み込まれて焼却の盗賊団に付いての情報を手に入れたのだがラスリットは自分だけではなくハツミの立場が危うい事に気付いたので,これ以上の討伐隊は出してはいけない状況なっていた。

 八回もの失敗がハツミの騎士団並びに領主であるラスリットの信用をかなり落としていた。特に領主であるラスリットの責任は重い物になっていた。なにしろ八回の討伐隊が全滅しており全員が死亡,更に七回目までは何一つとして何も結果として出してはいないので七回目までの討伐隊に参加した兵士達は全て無駄死にと言っても良い程の結果となっているからだ。これらの責任は全て領主のラスリットと騎士団長のベルテフレに有るのだから責任逃れという訳ではないが,ラスリットはこれ以上の犠牲を出したくは無い,特に騎士団から成るハツミ軍からは……。

 言葉が出ない,というよりも出せなくなったラスリットは再びグラスを手にすると水を少し喉に流し込むとイブレがエランの方に向いてイクスに質問する。

「これで納得は行ったかい,イクス?」

「あぁ,はいはい,充分に分かったよ。けどよ,まあ……」

 イクスとしてもここまで聞いてどんな言葉を発せば良いのか分からなくなったのだろう,言葉の途中で止まるとエランが口を開いてきた。

「様々な人からの信頼を落としてしまった事では無くて,強く為り過ぎた想いによる暴走で無駄に命を散らしてしまった事に強く責任を感じているのですね?」

「……はい,そうかもしれません」

 エランの質問にラスリットは少し考えてから肯定する返事をした。とはいえ,まだラスリット自身は自らの失敗に負い目を感じているようなので今まで黙っていたハトリが口を開いてきた。

「強く為り過ぎた想いを持った者は暴徒と同じですよ。何も考えずにただ突っ込んでまた繰り返してですよ,そんな人達を統率するのが難しいですよ。そのうえ国王からの親書と来たから板挟みも良い所ですよ」

 皮肉を冗談に変えた言葉でそのような発言をしたハトリは自分なら懲り懲りとばかりに軽く首を振って見せる。それを見ていたイブレが便乗してくる。

「確かに下は火のように燃えさかり上からは巨大な鉄板で押さえつけられているようなモノですからね。その状態で的確に対処をするのは難しいでしょうね。まあ,私ならさっさと逃げますけどね。責任がある人はそうは行かないでしょうね」

 イブレも軽く冗談を入れて口を叩く。このようなやり方はさすがと言うべきなのだろう,ハトリとイブレはラスリットの性格を充分に考慮したうえに配慮を入れた言葉を口にしたのだから聞いていたラスリットとしては二人の言葉を聞いて少しだけ心が軽くなった事に気付いていた。まあ,領主なんてモノをやっているだけに誰かの言葉には充分に耳を傾けるだけはなくて頭も使っているという証拠だ。だからこそラスリットはエラン達に向かって口を開く。

「皆さんの心遣いに感謝します」

「お気になさらず」

 ラスリットが感謝の言葉を述べるとエランがすぐに言葉を発した。領主であり今では世話になっているラスリットに配慮をするのは当然だとしてもエランとしてはあまり気遣いをし過ぎて生真面目なラスリットが過剰に謝礼をしてくるのを防ぎたい,という気持ちもあったからこそすぐに言葉を返した。あまり上の存在から感謝されすぎるのも考えモノと言った所だろう。そんなエランの気持ちを察しているイブレがエランに向かって口を開いてきた。

「エランもここまで聞いて納得は出来たかい?」

「まだ話していない事がある,まあ話さなくても分かるけど」

「なら,さっさと話は終わりにして俺様に最上級の剣を食わせてもらおうか」

「イクス,お仕置き希望?」

「調子に乗ってすいませんでしたっ! どうぞ話を続けてくださいっ!」

 エランがイクスの柄に手を掛けたのでイクスはかなり必死になって謝罪するのと同時に話題をずらそうとした。そんなエランとイクスのやり取りイブレが軽く笑うとエラン達を囲んでいる兵士達のからも微かに笑いを殺すような声が聞こえて来たので雰囲気が軽くなった。エランやイブレは気付いていた様だがラスリットの話が途絶えた所辺りから部屋の雰囲気が重くなっていた。さすがに人の生死に関わりラスリット自身も大きな責任を感じているだけに自然とラスリットだけではなく周りの兵士達も気持ちが沈んでいたようだ。そんな雰囲気がイクスによって振り払われたのでエランは改めてラスリットに向かって口を開く。

「それではラスリット様,念の為に私に依頼する経緯に付いても語ってください」

「ええ,その通りですね」

 ラスリットはこのように答えた。なにしろエランに焼却の盗賊団を討伐を依頼したのはラスリットなのだから少し複雑で責任が重たかろうがラスリットには全てを説明する責任がある。だからラスリットはエランの言葉にあのような返答をすると再び語り出した。

 先にも語った通りにハツミ軍は討伐隊を出せない状況に成っている。焼却の盗賊団に対して八回もの失敗はハツミとラスリットの信頼を著しく落としてしまった為に更なる討伐隊の派遣で失敗をすれば信頼どころでは無い,ハツミ軍とラスリットの立場としての責務が問われる事になる。つまりラスリットにハツミの領主は務まらないしハツミの騎士団は使い物にならないと判断されてしまうだろう。だからこそハツミを拠点にマーズを治めているラスリットは自分の進退まで関わる程に問題が大きくなっていた。つまり次の討伐隊を出すのなら絶対に失敗は出来ない程にラスリットは追い込まれてしまっている。

 ラスリットとしては自分の進退よりもハツミを心配していると言った方が的確だ。それだけラスリットの生真面目さと優しさによるものだ。そんなラスリットから見れば自分の進退もさながらハツミの進退も同じなのだから迂闊に焼却の盗賊団になんの根拠も勝ち目も無いままに討伐隊を出す事なんて出来ない。もし更に失敗をしてしまったのならラスリットは確実に領主の座から降ろされるか別の領地への移転が決まるが,ハツミは完全に拠点破棄となる。

 ハツミは貿易拠点として作られた町だが一応に隣国が近い為に軍事拠点としても使えるようにしているが実際には貿易を盛んにしてエアリス国の重要な収入源にしようとして築かれた為に軍事的な要素よりも貿易でどれだけ稼げるかがハツミの価値に繋がると言うべきだろう。

 エアリス国にとってハツミは国益を潤してくれる財政拠点の一つに過ぎない。そんなハツミがまったく稼げなくなってしまえばエアリス国としてはハツミにこだわる必要が無いので斬り捨てる事は確実だ。詳細な説明を加えるとエアリス国はハツミの貿易が順調に進むようにハツミに国の財政から支援金や投資などをやってハツミの町が発展するのに貢献して来たからこそエアリス国にとってハツミは重要な収入源となる都市に成ったのだが,逆にハツミからの収入が入らないようでは財政の負担に成る前に斬り捨てるのは当然の判断とも言える。

 ラスリットとしては自分の事よりもハツミが完全に斬り捨てられて潰れる事が目に見えているからこそ慎重に動いて何かしらの手を打つ必要があった,自分の進退を安定させる為では無くハツミを守る為に……。そこで思い付いたのがハツミとは直接に関係を持たない者に焼却の盗賊団を討伐してもらう事だが,このような企みがエアリス国王の耳に入れば何もせずにハツミは潰されるのが分かりきっているからこそラスリットは慎重に慎重を重ねて焼却の盗賊団を潰せる者を探していたのだが,そう簡単にそんな都合の良い者が見付かるはずが無かった。その為にハツミは焼却の盗賊団を放置しているという疑念をハツミの民だけでは無くて他の領地にまで噂が広まりつつあったが,幸いと言うべき事は未だにエアリス国にまで噂が広まっていない事だろう。だが噂が広まっているという事はこのままだと国王の耳にも届きかねない。そんな時にイブレがラスリットに謁見を求めてきた。

 イブレの名前は大陸を越えて広まっているからこそラスリットはイブレの謁見を快諾した。なにしろこの時点では焼却の盗賊団がフレイムゴーストというスレデラーズを持っている事はラスリット達にも分かっていなかったからだ。ラスリット達から見ればイブレとの謁見で焼却の盗賊団が使ってる不可解な力に付いて分かると思ったからこそ誰の反対も無しにイブレはすんなりとラスリットに謁見が出来た。そしてイブレから語られたのは焼却の盗賊団がスレデラーズを持っている可能性があるのでイブレが推薦する人物に焼却の盗賊団を任せて欲しいと言ったモノだった。もちろんイブレが推薦してきたのはエランだ。

 イブレとの謁見でスレデラーズなどという言葉を聞いたラスリットは驚愕したがイブレは自分が推薦した者なら焼却の盗賊団を全滅する事すら出来るとまで断言したのとエランが白銀妖精との異名でこの辺りでも噂になっているからだ。もちろんラスリットも白銀妖精の噂は聞いていた。いろいろと上げれば切りが無いが噂からいろいろな印象を持っているのをそれらを上げていくと白銀妖精もスレデラーズを持っており,一人で数百人もの軍勢を押し返したとかたった一人で斬り込んで行き城砦を落とす切っ掛けを作ったなど普通では考えられない程の噂を聞いていたからこそラスリットはイブレが推薦してきたエランに任せる事に決めた……が,実際に会うととてもそんな事が出来そうに無い少女なだけに戸惑ったのは先程の事で今ではしっかりとエランを信頼,というよりもここまで来ると信じて任せると決めた。

「このような経緯でエラン殿に全てを任せるしかなくなってしまったのです。私は身一つでどうにも成りますがハツミの民だけは領主として守らないと行けないのです」

 最後にそんな言葉で締めくくったラスリットは話し続けているので少しだけ疲れたのだろう,語り終えたら疲れを取るかのように両肩を広げて戻すと身体の力を抜いた。そんなラスリットの代わりにイブレがエランに向かって口を開いてきた。

「さて,これが今のハツミが置かれている状況だね。まあ領主様が上手くやっているので今の所はハツミの民に不安は広まってないけど,それも時間の問題だね。そんな所でエランは納得が出来たかい?」

「納得というよりやっと全部を理解する事が出来た」

「まったくですよ,さっきイブレが全部説明すれば良かったですよ,そうすればエランが理解するまでの時間が無駄にならなかったですよ」

 エランが言葉を言い終えると瞬時にハトリが練りに練り上げた嫌みを言葉に含めてイブレに向かって放つが,言葉が当たったイブレは軽く笑ってからハトリに反論する。

「それでも良かったけど,ここに付いてから早々にこんな長い話をしても疲れるだけだと思ってね。なにしろエラン達は今日ハツミに付いたばかりだからね。だからなによりも休息を重要視したんだけど,僕が全部説明したほうがよかった?」

 笑顔でそんな質問で返すイブレにハトリは頬を軽く膨らませている。どうやらイブレの言葉が的を射ているので少し不機嫌になったハトリが反論する。

「確かにいろいろと有って疲れてたですよ。けどですよ,いくつかはイブレが手を回していないから私達が疲れる事になったですよ」

「そう言われてもね。僕も完璧になんでもかんでも出来る訳じゃないし,完全な者なんて居ない……と,前に言わなかったかな?」

「……ですよ,確かに前にそのような言葉を聞いてたし,イブレの言う通りですよ。けどですよ,負けたみたいで少し悔しいですよ」

「それは気の持ちようだね。それにハトリ,僕達は別に口論をしていた訳じゃないと思うんだけどね」

「これ以上は畳み掛けないで欲しいですよ」

 そんな事を言って少し不機嫌な顔を横に向けるハトリ。イブレはそんなハトリに軽く笑うだけだがエランはいつの間にかハトリの頭に手を当てて撫でていたのでハトリがこれ以上にこの話に関して口を開こうとはしなかったのでイブレは再びエランに顔を向けると尋ねる。

「さて,いろいろと理解して貰った所でエラン,いつ焼却の盗賊団を倒しに行くつもりだい?」

「明日」

 ラスリットの問い掛けに間を置く事なく答えたエランにラスリット及び部屋に居た兵士達にも驚きが走る。確かに現状におけるラスリットの立場とハツミの見解について考えると早い方が良いのは言わなくてもここまで聞いたからにはエランにも分かるというモノだが,それでも明日とは性急にも思えるのだが,そんな思いすら吹き飛ばすような勢いでイクスが声を発する。

「ぎゃはははっ! そりゃあ良いな。ハツミも領主さんも時間があまり無いんだろう,だったら早い方が良いし,俺様もここしばらくは暴れていないからな,相手がスレデラーズなら本気で戦うしかないよな,なあエラン」

 最後にはエランに同意を求めてきたイクスに対してエランは表情を変えないまま,つまりはいつのもの無表情のままに口を開いてきた。

「イクス,私は別に暴れたい訳じゃない。確かにスレデラーズを持った相手と戦うから本気になると思うけど,スレデラーズを得られるから時間を無駄にしたくないだけ。私達はいつでもスレデラーズを相手に戦うだけの力を残してる,そうよね,イクス」

「ったく,やっと見付けたからって意気込み過ぎてねえか。まあ,確かに俺達ならいつでもスレデラーズを相手に戦えるってのは間違ってねえけどな」

「だから手早くスレデラーズを手に入れる,それだけ」

「それだけ,ねぇ」

 そんな声を発して黙り込んだイクス。それでも先程までの会話はラスリットや部屋の兵士達を驚かせるのには充分な程の内容だ。まあ,当の本人達は驚かそうとこのような事を言っている訳ではないのだが,イクスはあのような性格なのでこんな機会だからこそ燃え上がっているようだが,エランに関しては……相変わらずの表情なのでここに居る大多数が分からないだろうが分かる者には分かっているようで今は黙る事にしたようだ。そんな会話を聞いていたラスリットがやっと自分の立場を思い出すとエランに向かって尋ねる。

「エラン殿,本当に明日になったら討伐に向かうつもりですか?」

「時間を掛ける理由がありませんから」

「分かりました」

 エランの言葉を聞いたラスリットは後ろに控えている兵士を呼び寄せると小声で命令を伝える。それが終わると兵士は無言で敬礼をしてから早足で部屋から出て行くとラスリットは再びエランに向かって話し掛ける。

「まさかこんなにも早く動いてくださるとは思いも寄らなかったのでエラン殿に伝えなければいけない事をまだ伝えていませんでした」

「まだ何か?」

 無表情の顔をラスリットに向けるエランはそのような言葉を出すとラスリットはエランの顔色を分からないながらも窺いながら話を続ける。

「エラン殿が討伐に向かう際にはこちらから一名だけ同行させてもらいます。もちろんエラン殿を疑っている訳ではなく,案内と見届けるのが役目ですのでご安心ください。それにエラン殿が向かった後に荷駄隊を向かわせますので,その時には伝令として動かします」

「なんで荷駄隊なんかを出すんだ,俺様達は何も必要としてないぞ?」

 エランの代わりにイクスが声を発するとラスリットはすぐに返答をする。

「荷駄隊と言っても最初は何も積んでは行きません。エラン殿が首尾良く討伐した際に兵士と荷駄兵と突入させますので,と言っても分かりませんよね。これはイブレ殿がエラン殿を推薦してから私が考えた作戦でもあり,今でも焼却の盗賊団に活動をさせない為の行動なんです」

「なんか良くわかんねえな」

「分かりました,私の考えを最初からお話ししましょう」

 ラスリットはそう言うと何から話したモノかと少しだけ考えると再び語り始めた。エラン達に付けるお供と荷駄隊についての内容はこのようなモノだ。

 焼却の盗賊団を相手にラスリットもただ静観していた訳ではなくて策をしっかりと仕掛けていた。それがエラン達も並ばされた城門に作られた関所だ。関所を作った理由だが当然ながら焼却の盗賊団が関係してくる。そもそも焼却の盗賊団は荷馬車ごと強奪している事はこの時点で分かっていたからこそ関所を設ける事で強奪された品がハツミに流れないようにしていた。

 順を追って説明するとこうなる,焼却の盗賊団は商隊を襲って荷馬車ごと隠れ家に持ち込むからこそ大量の品が隠れ家に貯まっていくので強奪品を売りさばいて金に換える事で貯まっていた強奪品を金に換えて自分達の為に金を使う,という行為をしている事は分かりきっていた。だからこそ城門に関所を設けて身分や荷物を徹底的に調べる事で焼却の盗賊団が奪った品物と運んできた人物を徹底的に調べる事で品物が焼却の盗賊団に強奪された物だと判別が出来た場合にはそのまま運んできた人物も捕縛する事が出来る。焼却の盗賊団が強奪した品を売る為にハツミに入ろうとしたのだから品物を運んできた人物は当然ながら焼却の盗賊団と繋がっているか盗賊団の団員なのは間違いはないので即座に捕縛するのは当然だ。なにしろ証拠品を自ら持ってきたようなモノなのだから。

 最初は関所を設ける事で何人かの団員と数台の荷馬車を取り戻す事に成功したが,相手も同じ事を繰り返すような馬鹿ではない事は承知している。それでも未だに関所を設けているのは焼却の盗賊団にハツミで奪い取った品物を換金させない為だ。そうなると当然のように焼却の盗賊団は金目の品よりも自分達に必要な日用品を多く積んでいる商隊を襲うようになって行ったが,食料や日用品を多く積んでいるという事はハツミに持って行けば高値で売れそうな品もそれなりに積んでいる商隊を襲うという事だ。

 商人達はハツミに商売をしに来ているので当然ながらハツミでは高値で売れる物を持ってくるのは当然だ。更に日用品を多く積んでいるという事は儲けの少ない日用品を町の人に売り,貿易品として確実に高値で売れる品で確実に儲けようとしているので,食料や日用品を多く積んだ商隊を襲おうが,確実に儲けられる貿易品を積んだ商隊を襲おうが被害額にしてみれば大した差は無い。まあ,その辺りは目敏い商人達の腕が良いとしか言い様がないだろう。だからこそ関所の効力が充分に発揮される。

 未だに活動をしている焼却の盗賊団にしてみれば貯まりに貯まっている売り捌ける品を多く抱え込んでいる状態だがハツミでは関所で確実に発見されるので売り捌く事が出来ない。ハツミ以外で売り捌くという手が有りそうなモノだが,ハツミは貿易都市だからこそ奪った品が高く売れるのであって他の町に行っても高値で売れるどころかそこまでの路銀になるかも分からない。当然と言えば当然だ,貿易品というのはどこかで仕入れてから他国や遠い領地から来ている商人に売るから高値が付く,それなのに仕入れ先となっている町で売っても高値が付くはずが無い。仕入れ先という事は売るはずの品物を作っているか,別経路でかなりの安値で仕入れているかのどちらかだ。わざわざ遠くまで行ってその地で売られている物を売っても高値が付くどころか買い手が付かない可能性がある。それが分かっているからこそ焼却の盗賊団は未だに拠点をハツミから遠ざける事をしないで強奪を続けている。つまり焼却の盗賊団は未だに売る事が出来ずにいる商品の数々を貯め込んでいるという訳だ。ここから空の荷駄隊が必要となってくるという訳だ。

 焼却の盗賊団が強奪品を売り捌けないからには貯め込んでいるのは必然。もちろん盗賊団も何かしらの手を考えているのは当然だと言えるが未だにラスリットの元に焼却の盗賊団が動いたという報告は入って来てはいない。なにしろラスリットはマーズ領の領主,つまりハツミ近郊だけでは無くてマーズ領の情報がラスリットの元に来るのだから焼却の盗賊団が他で何かをしたとしても,数日後にはラスリットの耳に入るという訳だ。それにマーズ領は町は少ないが領土としてはそこそこ広いので,いくらスレデラーズを持っている盗賊団と言っても頭まで常人外れという訳にはいかないどころか今の所は何も出来てはいないからにはラスリット以下と言うべきだろう。まあ,スレデラーズを除けば焼却の盗賊団もただの盗賊に過ぎないので盗賊退治に慣れているラスリットの頭脳には敵わなくても不思議ではない。後はエランが焼却の盗賊団を討伐した後になる。

 エランが焼却の盗賊団を討伐,または首領のカイナスだけでも倒せれば焼却の盗賊団としての強みは無くなりただの一盗賊団へと成り下がる。そこに兵士を突入させて真っ先に焼却の盗賊団が貯め込んでいる強奪品を確保する事が出来れば今まで被害に遭っていた商人達に品を返すか,引き取り手の無い商品は金に換えて代償として商人に返せば商人達の信頼を一気に取り戻す事が出来る。その為にも空の荷駄隊が必要だ。

 ここまで聞いたのなら既に察しが付いていると思うが荷駄隊は荷物を持っていくのではなく,焼却の盗賊団が貯め込んだ強奪品を持ち帰る為に派遣される。これがラスリットが行ってきた策であり,エランが焼却の盗賊団を討伐した際に行う策になるという訳だ。

 さすがは領主をやっているだけ有ってなかなかの上策とも言えるだろう。そしてそんな話を聞いたイクスが声を発して来た。

「なるほどなぁ~,そこの領主様もただ手を拱いてた訳じゃないという事か,なかなかやるじゃねえか。これで俺達がスレデラーズを持ってるカイナスって奴を倒せば領主様もハツミも信頼を取り戻して面目が保たれるってか」

 かなり言葉の使い方が悪いイクスだが今のラスリットはこの程度では何の問題にしないと理解しているエランはあえて何も言わずに黙っている事にした。そんなエランにイブレも賛同するかのように微笑みながら軽く頷くとラスリットが口を開いてきた。

「私は領主としてやるべき事をやったまでです。本来ならば私が責任を負う事を隠してエラン殿に全てを任せるしかないとは,自分でも不甲斐ないと思ってます」

「おいおい,それは気負い過ぎってもんじゃないか。あんたは領主様なんだからよ,大将らしく後ろで胸を張ってれば良いじゃねえか。スレデラーズなんて代物はイブレの推薦だろうが,通りすがりの奴だろうが,相手が出来る奴にやらせておいてあんたは一番後ろでどっしりと構えてるもんだろ」

 イクスの声を聞いたラスリットは驚いたような顔をするとすぐに笑い始めて,少し笑いながらイクスへと返事をする。

「イクス殿の言う通りですね。私はエラン殿達を信じて吉報を待つ事にしましょう」

「おうっ,任せときな」

 そんな会話が終わった事を良い事にハトリが口を挟んできた。

「駄剣がまともな事を言ってるですよ。明日は矢の雨が降るですよ」

「このクソガキ,せっかく俺様が格好良く決めてやったのに無駄口を叩きやがって」

「そうなのですよ,イクスが格好良く決めたからこそ悪寒が走って鳥肌になってるですよ」

「そこまでかっ! 俺様が格好付けるとそこまでの反応を示しやがるかっ!」

「どこかに矢の雨を防げる傘がないものかですよ」

「クソガキっ! ここに来てその言葉を蒸し返すかっ!」

「やっぱり明日は外出を控えるですよ」

「無視かっ! お前はどこまで俺様を無視するつもりだっ!」

「イクスが怒鳴っている限りですよ,そろそろ静かにして欲しいですよ」

「このクソガキが」

「ハトリ,そろそろ止めて。イクスも震えない」

 剣でもやっぱり怒ると震えるようでイクスはエランの背中で小刻みな金属音を立て続けており,ハトリは面白くなる程にイクスをからかったので満面の笑みを浮かべた。

「ちっ,仕方ねえ」

「はいですよ」

 エランの仲裁でイクスとハトリは真逆な態度で引き下がり,再び一時の静寂が部屋に立ち籠めるとイブレがエランに話し掛けてきた。

「さて,これで聞くべき事は全部聞いたと思うけど,大丈夫かい,エラン」

「私達はフレイムゴーストを手に入れる事に集中してれば良い,それ以外は任せて良いんでしょ?」

「まあ,そうなるのかな」

 などと言いつつイブレがラスリットの方へ顔を向けるとラスリットは微笑んでから口を開いてきた。

「ええ,エラン殿は戦いに集中して頂きたい。後の事,とは言っても,これは領主といて私がやるべき事なので気にしないでください」

「分かりました……」

「となるとですよ,これで話は終わりですよ?」

 エランが口を閉ざしたのとイブレが先程だが全部聞いたと言ったのでハトリは謁見の終わりを確認するような言葉を口に出したのだが,ラスリットはエラン達の方に顔を向けると口を開いた。

「ええ,これでここでの話は終わりですけど。エラン殿にハトリ殿,それにイブレ殿と今晩は一緒に夕食でもどうでしょうか?」

「俺様にも何か上等な剣を食わせろっ!」

 ラスリットがエラン達を夕食に誘ったら即座にイクスがチャッカリと自分にも上質な食事を要求してきたのでハトリが何かを言い出すのを防ぐ為に右手でハトリの頭を撫でるように抑えながらエランは口を開く。

「喜んでご一緒させてもらいます。それからイクスの為に上質な剣を一本だけで良いので後で部屋に持って来てもらえるでしょうか?」

「イクスもただ僕達が食事を見ているだけじゃ暇だからね」

「えっと,分かりました,手配しておきましょう」

 エランが夕食の誘いに快く応じたように見える社交辞令的な言葉を発した後にイクスの事をしっかりと頼んでいた。そしてエランの言葉に便乗するようにイブレもイクスの為に言葉を出したが,ラスリットはイブレからイクスは剣を食らう事を聞かされていたが実際にこうやって要求されるとさすがに戸惑うのだろう最初は理解が追い付かなかったがイブレに聞かされていた事を思い出したからこそ了承の言葉を発するとハトリが頭の上に乗っているエランの手を両手でどかすと呆れたような声で言葉を発する。

「まったくエランもイブレもイクスに甘いですよ。そもそも食事を必要としないイクスは放っておくのが一番ですよ」

 そんな言葉を発するとすぐにエランとイブレから返事が来た。

「このままだとイクスが可哀想だから」

「イクスにとってはこれが一番の楽しみだからね,その機会を奪うのは気が引けるからね」

「……はいはい,分かったですよ」

 最後には諦めたかのような言葉を発したハトリはこれ以上は何を言っても無駄だとすぐに悟ったのだろう。少し不機嫌になりつつもエランとイブレの主張を認める事にしたのだが,ここで調子に乗ってくる奴がいた。

「へっへ~,クソガキは黙ってろや」

「イクスのくせにですよ」

 再び喧嘩なのか漫才なのか分からない展開になりそうなのでエランはハトリを充分になだめるとイクスにも調子に乗らないようにイクスの柄を握ると少しだけ刀身を鞘の中に押し込めるたのでイクスが慌てた声を出す。

「分かった,分かってるから,エラン,そこまでにしてくれ」

 イクスの言葉を聞いて柄から手を離したエランはそのまま立ち上がって椅子の横に立った。前を見るとイブレも既に席を立っているのでハトリも席から離れるとラスリットが兵士の一人と話しているのが目に映ったのでエラン達はラスリットの話が終わるのを待つとエラン達が待っているのを重々承知しているラスリットは手早く話を終わらせて兵士は部屋を出て行くとエラン達に向かって口を開く。

「それでは,今晩の夕食を楽しみにしております。それまではゆっくりと休んでてください」

「はい,ラスリット様のご厚意に感謝します」

「僕達一同,領主様との夕食を楽しみにさせてもらいます」

 ラスリットがそんな言葉を発するとエランとイブレは簡単な謝礼を述べてから,それぞれに夕食を楽しみにしているという社交辞令をしっかりと述べるとエランを先頭に謁見に使用された部屋を後にするのだった。



 途中でイブレと別れてエラン達が部屋に戻ると窓から差し込む光は真っ赤となり部屋を彩っている色彩は黒が混ぜられて部屋をかなり暗くしている。エランは部屋の明るさなんて気に止める事なく背負っているイクスを手に取ってソファーに座ると心地良い感触に身を沈めると手にしていたイクスを横に,ソファーに立て掛けるようにして置くとハトリがすぐさまエランの隣に座った。エランが座って人心地付くとすぐさま横から金属音が鳴りイクスの刀身が少しだけ鞘から出ると威勢の良い声を発して来た。

「よっしゃーっ! 久々のご馳走だぜっ! エラン,ありがとよ」

 イクスにとっては剣を食べる機会が少ないだけでなく質が良い剣を食べる機会となると更に無いものだからはしゃいでいるのだろう。そんなイクスとは正反対にハトリはエランに身体を付ける程に寄るとイクスに向かって皮肉を口に出してきた。

「まったくですよ,この駄剣は緊張感というモノが無いですよ。明日はスレデラーズとの対決だから少しは」

「ハトリ」

「なっ,なんですよ」

 エランがハトリの言葉を斬るように名前を呼ぶのと同時にエランは左腕でハトリの頭を優しく抱くとそのまま自分の方に倒すように軽く力を掛けて来たモノだからハトリは驚きの声を上げながらも咄嗟の事に対処が出来ずにエランが力を掛けたままにハトリの頭はエランの膝に倒れ込むとエランはそのままハトリの頭を優しく撫でる。

 エランが突然こんな事をしたので黙り込む事にしたイクスにエランが撫でる手の温もりを感じるハトリは自分の心がエランに見透かされている事を察して黙ったまま身体を少し小さく縮めるとエランがハトリに向かって口を開いてきた。

「大丈夫,私達は絶対に負けないから」

 エランの言葉を聞いたハトリは身体を小さく丸めると顔をエランの膝に沈めてから口を開いた。

「心配しているのは,そういう事じゃ無いですよ」

「うん,そうだね。ハトリ……私達は一緒に居るから」

「……ズルイですよ」

 呟いた言葉はしっかりとエランの耳に届いていたからこそエランはハトリの頭を優しく撫で続ける。今はそれがハトリに出来る精一杯の事であり,エラン自身もハトリの温もりが手から伝わってくるのをしっかり感じると自分が祈り願う事をはっきりと心の中に思い描いた……実現する為に。だからこそエランはハトリに向かって一言だけ言葉にする。

「ごめんね」

 エランの言葉を聞いたハトリは何かを言おうとしたが堪えるようにして口を閉ざす。そんなハトリをエランは優しく撫で続ける,それが言葉よりも自分の気持ちをハトリに伝えてくれる事だとエランは知っているから……。そしてそんなエランとハトリの気持ちが分かっているイクスは音も無く鞘の中に引っ込むと大きな静寂とハトリの頭を優しく撫でる音だけが部屋を支配した。

 時間が経過して窓から差し込む光も徐々に無くなっていくと部屋には光に隠されていた暗闇が広さを少しずつ広げていた。そんな部屋の中でエランは未だにハトリの頭を撫で続けるがハトリも起きようとしないのでエランは無表情ながらも瞳は微笑みを奥に宿しながら手を動かしてハトリの頭を優しく撫で続ける。ハトリはどうか分からないがエランははっきりと思っていた,こんな時間がずっと続けば良いのに,と。そんなエランの気持ちを壊す訳では無いが突如としてドアがノックされたのでハトリが素早くエランの膝から起き上がると自然に見える体勢でソファーに座ったのでエランがドアに向かって口を開く。

「どうぞ」

 ドアが開くと幾人かのメイドが入って来ると数人のメイドがすぐに何かの作業に入るのと同時に一人のメイドがエラン達の所にやってくると一礼してから口を開いた。

「暗くなってきたので明かりを持って来ました。照明をお点けしてよろしでしょうか?」

 メイドが確認作業のようにエランに尋ねるとエランもすぐに返事をする。

「ええ,お願い」

「はい,畏まりました」

 するとメイドは部屋に散っているメイド達に合図を出すかのように頷くとメイド達が一斉に作業を開始したら部屋に備え付けてあった照明が一斉に明かりを灯した。さすがに領主の城にある一室だけあって照明設備も豪勢なモノだ。明かりを灯した照明には球体を中心に立体で透明な彫刻がただの明かりを芸術的な雰囲気を出すように作られていた。そして作業を終えたメイドは最後に照明の仕掛けが分からないように部屋の仕掛けを動かして作業を終えた。とは言ってもメイド達がやった事はごくごく簡単な事だ。

 エラン達が泊まる事になった部屋の照明はいくつかの魔力石,もの凄く簡単に説明すれば魔力を貯め込んだ石だ。とは言っても用途や容量によって魔力石も形や大きさが変わってくるうえ,エアリス国も他国にも劣らない程の文明を持っている国家だからこそ魔力をエネルギー源にした技術が充分に開発されているのと同時に更なる技術革新に取り込んでいる国家だ。そんなエアリス国の領地の城となれば設備もそれなりの技術が取り入れられているという訳だ。ついでなので少しだけ説明するとこんな所だろう。

 魔力石に貯め込まれている魔力は魔力収集機で集められたもので,魔力収集機は様々なモノから魔力を集めて蓄える。例えば燃えさかる火,流れる水,なびく風,様々な気象を生み出す天空,不動ながらも多くの命を育む大地と数えだしたら切りが無い。もちろん生物も魔力を宿しているので体力は身体能力に比例し,魔力は精神力に比例すると言われる。つまり魔力の根源は自然現象が発する力であり,生命力が発している力でもある。空気のようにどこにでも有るモノでは無いが力が発する場所ならどこにでも存在するのが魔力とも言える。その魔力が発動する形状や形態は様々で厨房の火からエラン達が泊まっている部屋の明かりなど,魔力を元にどのように発動するかは装置次第というわけだ。そしてメイド達が部屋の照明装置に通じる場所に魔力石を置いて魔力が流れるように固定して起動したからこそ部屋の照明装置が一斉に付いたという訳だ。つまり技術次第ではどのような力にも変換が出来るのが魔力であり,技術によっては魔力を魔力石という石に貯め込んで様々な装置で暮らしを便利にしているという事だ。

 さすがはハツミの城にある賓客を迎える客室なだけ有って部屋に灯った明かりもかなり明るい。余談だが魔力石を使った装置を使っているのは城と言った特別な建物だけでは無くて一般家庭でも照明や調理場の火,お風呂の適度なお湯などにも使われているので特別珍しいモノでは無いが,さすがにエラン達が泊まっている部屋程の明るさを出せる照明を備えている家は無いと言った所だ。閑話休題,部屋が充分な明るさを得ると別のメイドが布を巻いた長い物を持ってエラン達の元へやってきた。

「お渡しするように仰せつかった物です,どうぞお受け取りください」

 指示を出していたメイドがそのようにエランに言うと新たにやって来たメイドが巻いていた布を一気に取ると一本の剣が現れた。その途端にエランの横から金属音が鳴るとイクスの刀身が少し出てきてすぐに声を発してきた。

「ぎゃはははっ! さすがは領主様だなっ! こんなにも早くご馳走を持って来てくれるとはな」

 口が悪くて感謝してるのか,していないのか聞こえようには分からないと心の中で思っているハトリが溜息を付くとエランが座ったまま両手を伸ばすと剣を受け取ってメイドに向かって口を開いた。

「ラスリット様に,きめ細かい心遣いに感謝しますとお伝えください」

「了知しました」

 イクスが喋る事はともかくすっかりイクスの口が悪い事も無視して話を進める事が出来るようになっていたメイドにこれはこれで順応が早いと思っているハトリは口には出さないがすっかり慣れてしまったメイドに対して少し呆れた視線を送っていた。そんなハトリの視線を無視してメイドはエランに向かって口を開く。

「他にご用件はありますか?」

「今は無い,それと今晩はラスリット様と夕食をご一緒するので用意が出来たら早めに呼ぶようにして」

「分かりました,そのように手配しておきます。それでは失礼致しました」

 エランと話していたメイドが一礼しながら挨拶をすると同行していたメイド達も声を発しないものの同じく一礼していた。そしてエランと話していたメイドを先頭にして次々と退出していき,最後のメイドが出るとドアは静かに閉められた。その途端にイクスが騒ぎ出す。

「さあさあ,エランよ。早く俺様にそのご馳走を」

「分かってるから少し待って」

 イクスの言葉を斬って自分の言葉を入れる事でイクスを黙らせたエランは立ち上がって受け取った剣をテーブルの上に置くとソファーに戻ってイクスを左手に取ると右手を真横に向けた途端にイクスが鞘から一気に飛び出して半回転するとエランの手に握られた。それからいつの間にかエランの隣に来ていたハトリがイクスの鞘を受け取るとエランは抜き身のイクスを持ったままテーブルに行く。そこには未だに鞘に収まっている剣が置かれているのだがエランは器用な事にイクスを逆手に持ち替えると右手でイクスと剣の鞘を持ち,左手で鞘から剣を抜いた。

 鞘をテーブルに戻した事でイクスの食事をする支度が調ったが一応と思ったエランが左手に持った剣を調べるように見る。直剣の両刃で中央には平たい鎬がありそこに少ない彫刻が彫られている,刀身に彫られた彫刻は多くても少なくても強度に支障が出て切れ味にも関わってくる。もちろん彫刻が入っていない剣もあったり平たい鎬が無い剣もあるが彫刻を入れる場合は見栄えはもちろん強度から切れ味までしっかりと計算して打てる程の腕が必要となってくる。エランが持っている剣は強度を保てて切れ味を最大限に出せるようにしてる。刃は幅が少ないからこそかなり打ち込んで強度を保つのと同時に刃の角度は見事で切れ味が鋭い事は見ただけで分かる。そこに彫刻を彫り込む事により見た目を華やかに芸術的な価値も出しているのでかなりの腕がある者が打った業物だという事が分かったのでエランはイクスに告げる。

「イクス,これはかなりの業物だから」

「おっ,あの領主様はかなりのご馳走を用意してくれたみたいだな」

「ちゃんと感謝しないと」

「分かってるって,エラン。んじゃあ,そろそろ」

「うん,分かった」

 前にイクスが剣を食した時のようにエランは右手にイクスを左手に剣を握ると腰辺りで真っ直ぐになるようにするとイクスが光り出し,溶けるように広がったイクスは剣を包み混むとまるで味わうかのようにゆっくりと元の形に戻って行き,元の形に戻るとすぐさま声を発する。

「うっま,ピリッと来る辛みの後にまろやかさが広がり,その中にもしっかりとした旨味が詰め込んでいて最後には」

「はいはい,そこまでですよ」

「って,このクソガキっ! せっかく俺様が堪能した味を伝えてやってるのに何してやがる」

 エランがイクスを腰ぐらいまで落とした事を良い事にハトリがいつの間にかイクスを鞘に入れよう,というか既に少し入っているのでイクスが文句を言ったのでハトリも言い返す。

「イクスこそ食事の度に役に立たない食事の感想は要らないですよっ! 剣を食べるのなんて世界を探してもイクスだけですよ。だからイクスの感想は無駄でしかないですよ」

「食える食えないの問題じゃねえっ! 俺様がどう思ったかが大事なんだよ」

「なら余計に必要ないですよ」

「なんだとっ!」

「イクス」

 エランがイクスの名を呼ぶのと同時にイクスを半分程も鞘の中に入れたので驚いて声を発する事を忘れるイクスにざあまみろと言いたげな顔をしているハトリ。エランは別にハトリの味方をしている訳ではないがイクスに向かって口を開く。

「私も聞いてて意味が分からないから次から短くね」

「エランまでそんな事を言うのかよ」

「……お仕置き,監禁」

「ごめんなさい,次から気を付けます」

 これ以上は何も聞きたくないとばかりにイクスは自ら鞘の中に入って行き刀身の全てが鞘の中に入ったのでハトリは勝ったように満面の笑みを浮かべるがエランはハトリにも調子に乗らないとばかりに頭を軽く小突いたのだが,今回の勝利がよほど嬉しかったのだろうハトリは謝罪を口にするが満面の笑みが崩れる事は無かったのでエランもこれ以上は何も言わずに今は明日に備えてのんびりするためにソファーに戻ると軽く沈む身体に心地良さを感じてるとすぐにハトリが隣に来た,もちろん未だに勝利の笑みが消える事無く。そんな一時を過ごし時間はゆっくりと確かに進んでいく。

 更に時間が過ぎるとエランが少し空腹を感じた時だった。ドアがノックされたのでエランが返事をするとすぐにメイドが入って来て夕食が出来た事を告げて案内すると言ったのでエラン達はメイドの案内で夕食場に向かうと途中でイブレと合流して案内された部屋に入ると豪勢な料理の数々が並んでいた。

 エラン達はそんな料理を舌で堪能しながらラスリットとの会話も弾んで少しは賑やかな夕食になった。ラスリットも満足してくれたみたいで夕食を終えた後も最後まで残ってエラン達を見送った。それからエランは再び入浴,ハトリは一日に二回も要らないですよ,と言って断ったがエランは浴槽に浸かりながらしっかりとお風呂を堪能しているとかなり時間が過ぎたので仕方ないとばかりにお風呂から上がって自分の部屋に戻るとハトリは寝間着で既にベットで本を読んでいたのでエランは自分の鎧が整えられている事を確認すると寝室以外の明かりを消してからハトリの隣に腰を下ろすとそのままハトリとイクスを交えて会話を楽しむ。まあハトリとイクスが喋り出すと漫才になるのでそれを制止ながら寝る前の一時を楽しんでいると時計が夜更けの時間を告げる。

 エラン達は常に決まった時間に寝る訳ではないが今日はすぐに寝る事にした。当然と言えば当然だろう,明日にはエランが本気になってスレデラーズを相手に戦っているかもしれないのだから。

 ベットは大きすぎるがどちらから寄った訳ではないがエランとハトリはお互いに向き合いながらベットの中央で寄り合うように横になるとエランはゆっくりと意識を沈んで行くのを感じた。それと同時に前にハトリの温もりを感じながら,後ろにはイクスの心強さを感じながらエランは心安まりながら寝息を立て始めた。




 はい,そんな訳でお送りしました第七話ですが……何か知らんけど長くなった,思ってもいない以上に長くなった。まあ,今回は説明を重視する回ですからね~。説明に説明を重ねた結果として予定していたよりも思いっきり長くなったって事なんでしょうね~。とはいえ,ここまで長くなるとは思わなかったので更新が遅れてしまいましたという言い訳をしてみますっ!

 さてはて,予定ではここら辺が第一章の中盤ですね~。まあ,私の事だから,これからも長くなりそうな気ましますけど。まあ,何にしても中盤まで書いたという事は……そろそろ第二章の設定資料やプロットに取り掛からないとだね~。とか思っている次第でございます。まあ,頭の中では第二章の話は出来上がっているですけどね~。実際に小説にしていくと……うん,しっかりと設定を作ってプロットも書かないと暴走して何を書いているのか分からなくなってくる。そんな訳で,第二章の準備を始めるので準備中は更新が遅れると思うのでご勘弁くださいな。……まあ,いつもの事と言われればそれまでだけどね。

 それとここまで読んでくださっている方にお願いがあります。私としては読者の方に読みやすく,物語の内容が分かりやすいように書いているつもりなのですが実際はどうなのかは私には分からないので,その辺りを感想として書いてもらえるとありがたいです。もちろん白プリとしての感想もお待ちしております。

 さてはて,何かいろいろと書いて感想を催促した(笑) ところで締めましょうか。ではではここまで読んでくださりありがとうございます。そしてこれからもよろしくお願いします。更に感想や拡散なども気が向いた方はやってくれたらありがたいです。

 以上,風邪を引かなかったら十一月中に上げられてたのに,と一応に言い訳をしてみた葵嵐雪でした。ちなみに風邪で頭が真っ白になって文字すら打てない状況になっていたのは本当です。

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