2日目の昼の捜索。
緊急の話し合いになった途端、みんなから一斉に質問が来た!
「ラル。ユナ姫の名前お前なんで知ってたんだ?」とエド。
「そうです。ケルム殿にしたって見覚えある顔でしたし。」とリーヴァイ。
「あー、見覚えあったからな。」
と答えた途端、めっちゃ凄い勢いでツッコミが来る。
「「「「何処で!!!!」」」」と。
「怖いよ。デジブルの秘宝探しの時。デジナブルでさ。
ほら、家に入ってたら俺だけが人に会ったって。
向こうからは見えてないけど、あのユナ姫だけは最後に視線が合って。」
全員が納得しつつも、不可解さは消えない。
すると、ドルーが。
「狼族でしたよ。王族なのに獣人とか。
それに街中もそんな事全く誰も気にしない。
我々獣人とか人族の間にあった軋轢以前の世界ですね。」と。
「ああ。恐らくかなりの昔になるだろう。
着ている物を見るとそう思えるのだが、逆に武器類は今とそう変わらない。」とドルン。
「それより、ラルの出したあの鏡はいったい何処で拾ったんだ?」とエド。
鏡の拾った様子を話しながら、皆んなに見せる。
鏡の表は特段普通で何もない。
裏は、見たことの無い模様が描かれている。
「それは、見た事があります。
今、海月族で協議しています。
あっ、分かったようです。太古の昔にあった超大国の王族の紋章だとか。
そんな事が伝記に書かれているようです。」
ゼル達海月族はマジ凄い。
この紋章も意味があるだろうと気にかけつつ捜索に乗り出すことになる。
「これから、2日だ。今度は手分けして探そう。」と俺が提案。
「あの冒険者達は何かヒントの気がします。
そこを気にしながら調べてみましょう。
では、街の中心部で昼前に。」
バイロンの言葉で全員がそれぞれ5方向から調べる事になった。
当然、俺も色々見て回るが特に何も発見出来ない。
それにしても奇妙な街だ。
街中は人がたった今までいたかの様子を見せている。
布団もありまるでそこで寝ていた人物は今起き出したばかりに見える。
台所には鍋の中にある昼ご飯が煮えていた。
並べられた皿はそのまま家族の人数なのだろう。
異様な雰囲気の街をあちこち見て歩くもまるで成果無し
焦る気持ちのまま集合場所へ。
集まってた皆んなも同じく成果はなかった。
お互いに見たものや感じた事を述べるも、俺の感想とほぼ一緒。
たった3日の期限が重くのしかかる。
今度は別々ではなく、全員で街中を見て回る事にする。
案外小さい街なので2時間くらいでだいたい回れる。
すると、エドが何か見つけた。
普通の民家だが、何だろう。
皆んなが集まる。
「ここ。ほら他は新しいのにここだけ古いだろ。
何か。」
そう言いながらその古い壁の一部に触る。
その時!!
ドドドッーーー!!
と大きな音がしてその家が崩れた。
まるで、触ったのがいけなかったように、あっという間に砂となり崩れ落ちた。
「エドーー!!ドルン!!」
やばい。
あっという間にだったから、エドとドルンが逃げ遅れた。
えーと、えーと。こういう時は。
そ、そうだ!!
空間魔法で『収納』と。
家の部分の砂を全て取り除くと倒れている二人を発見!!
「大丈夫だ。ラルの行動が早かったお陰で自力で呼吸してる。今、万能薬を一応飲ませたぞ。
しかし、危なかった。
これを別れていた時にしていたら、命はなかった。」リーヴァイの冷静な言葉にようやくホッとする。
しばらくすると二人が目を覚ました。
とにかく、やたらと触るのは危険と認識を新たにして慎重に進む。
かなり歩き回り皆んな疲れた様子なので、中心部で俺の空間魔法から食料を出す。
そう言えば、朝から何も食べてない。
花壇に腰掛けてサンドイッチをパクつく。
ララ特製サンドイッチ。
街に戻った時に大量にララの料理を入れておいて良かったよ。
ん?
花壇の淵に手を掛けたらザラザラしてる。
しゃがんでザラザラした部分を見ると…
「あーー!!
エド。ほらここ。あの紋章じゃね?」
全員が覗き込むと確かに、花壇の枠には紋章が刻まれてる。
よく見ようと、水魔法で水を全体的に掛ける。
確かに。
何箇所がある。
覗き込んでいるとトントン。トントン。って。
今忙しいからエド!
振り向いてまた、固まった。
何で?
まだ昼日中だよ?
貴方はどなた?
可愛いらしい女性が立っている。
しかも…かなり小さい。
『ラルったら分からないのね。
貴方が今、水をやった花の精よ。普通は姿形を具現化なんて出来ないんだけど貴方の水魔法。めっちゃ気持ちいいから。
凄い魔力ね。』
えーー。俺また込める魔力の桁を間違えたかな?
あー、エドが頷いてるし、そうか。
しかし、花の精?
そんなの聞いたことはないけど。
『あら、昔は沢山いたのよ。
あの事件の前はね。ほら、魔王討伐のあの事件よ。』
精はとってもお喋りで当時の事件を話してくれた。
魔王討伐は、成功したけど本当は大失敗だったそうだ。なぜなら、魔王とはこの世界の悪い気の塊が姿形を具現化したもの。
攻撃で世界中に悪い気が飛び散り、あちこちで魔人まで生まれた。
そのせいで、この街は大きな被害を受けたとか。
魔人との戦いで多くの犠牲者が出て責任を取って王家も解体。
それがまた混乱を招いて人々の心は乱れたと。
再び魔王は現れ、ユナ姫を始めとする冒険者に封印されるまで混乱は続いたらしい。
「だからね。お花なんて誰も見る暇も世話する人もない時期が続いたの。それて私達花の精はこの世界から消えたのよ。」
誰もが無言のまま、考え込む。
俺もあの時のユナ姫のセリフを思い出していた。
『倒してはダメ。封印するのよ。』と。
ユナ姫達は、懸命に戦ったに違いない。
全員の鎧も身体にも沢山の傷があったし。
なのに、こんな結果とは。
悔しかったに違いない。
だからこそ俺たちに秘宝を残そうと。
ふと気がつくと街の様子がまた変わっていた。
今度は、ほぼ廃墟に近く住民の殆どがいない街に。
いつのまにか花の精も消え、辺りは薄暗くなった。
だが人影はまばら。
皆、急ぎ足になっている。
2日の夜がやって来た。




