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岩の試練?

爽やかな風が顔に当たり目が覚めた。

ふわふわの緑の絨毯から身体を起こすと、目の前には美しい泉がある。


夢。

いや確かに靄が一面にかかって声して。


『遅い。いつまで待たせるんだ。』

振り返るとニヤニヤ笑う岩が俺に話しかけた。

いや、耳で聞いた声じゃなさそうだ。

そう、頭の中に響く感じか。


『初めまして。

ランドルフいや高橋桃次君か。

仲間なら大丈夫だよ。あちらに居るから。』


慌てて泉の方を見ると全員倒れているじゃないか。駆け寄ろうとした俺に『もう目が醒める。』

と岩が言う。


起き出したみんなは暫しあっけにとられて慌てて俺の方に駆け寄る。

全員が俺を囲んで同じセリフを言う。


「「「「大丈夫か?」」」」


『ほお、馬鹿のくせに仲間に恵まれてるのか。

さて、お前たち。ここはお前達の空間とは異なる空間だ。

この桃次が久々に楽しませてくれたから、ヒントだけやろう。

さて、見分けられるかな?』


勝手な事ばかり言う喋る岩のヒントは、こうだ。


『この先の何処かに地下続く階段がある。ただし、それはニセモノの中に隠されている。

お前たちに探せるかな?』


そう言うと岩は、また単なる岩になり一切話さず動かない。


オアシスらしき場所から、岩の示した方向へ向かうがすこし歩いただけで全員がピタリと止まった。

それもそのはず。

目の前の風景はあり得ない砂漠の景色。

流砂の渦が多数あり、まるで波のようにうねっている。海かと思うほどの渦。


リーヴァイが階段を探して上空から見るが果ての果てまで続くらしい。

一応帰るなりジオラマを作るが、渦だらけを確認したに過ぎない。


一旦、オアシスに帰るがこの時、アナベルがおかしな事を言い出した。


「あの、確認した訳ではないのですがあの岩には不自然なところがあります。」

遠慮がちな発言にエドが突っ込む。


「喋る岩の全てが不自然だかな。」と。


「いえ。笑う瞬間に口の動きと声の出すタイミングがズレるのです。もしや岩はカモフラージュでは?」

全員気がつかなかった。

さすが忍び。違った、さすが密偵。


全員その事に気をつけながら戻ると岩が笑い出した。


『やはり無理か。では元の世界に帰るか?』

笑われたその時!


リーヴァイの手には『蠍』が。


「やめろ。何て持ち方をするんだよ。

お前らなんかに、バレるなんてショックだよ。」


蠍が喋った。間違いなく蠍から声がする。

今度こそ本体に違いない。


それにしてもリーヴァイの鷹族の目。

めっちゃ凄くね。



リーヴァイが岩の上に蠍を下ろすと渋々話し始めた。


「いいか。渦の中に偽物があるんだよ。その上に立つと入り口が開く。

階段を下りるとそこに『永遠の石』がある。

目で見るものだけを頼りにするなよ。」

それだけ言うと蠍は岩の中に溶け込んでいった。


無言のまま、流砂と向かい合う事数時間。

今はコーティが渦の地図を作成している。何か気になるらしいが。


「出来ました。見てください。」


コーティの差し出した地図を見てビックリ。

渦を繋げていくと文字が浮かんでくる。


『印』の文字。


その文字が指し示す場所にある渦が、それではと結論は出た。

でたが、あの渦に立つには少し躊躇が。

すると、風魔法であっという間にエドが渦の上にいた。


誰も声をかける暇がないほどあっという間にだった。


「ラル!大丈夫だぞ。」のんきな声に少しイラっとした。


全員が渦に立つと、渦は消え去り階段が姿を現わす。

螺旋階段は、遥か下まで繋がっているようだ。

だが、今はそれどころじゃない。


「エド。俺は今久しぶりに怒ってるんだ。」

キョトンとするとエドに更にイラッと。


「いいか、危険かどうか確認しないままひとりで渦に立つなんて勝手な行動だ。

チームワークに響く!」

断固たる声の俺にエドは全く動じない。


「誰かがやらなきゃいけない事だ。なら俺が適任だとおもったまでだ。」


「エド殿。適任は他の方と思います。

羽を持つリーヴァイ殿か、魔力が桁違いのラル殿かと。」冷静なコーティの声。


「エドさんは、危険を引き受けようとされたのでは?」と相変わらず遠慮がちなアナベル。


「いいじゃないか。結果オーライだ。」

少し不貞腐れたエドの顔。


「ビックリしたし心配もしたよ。仲間なら当たり前の気持ちだよ。

何の為にここまで来たんだ?

危険を出来るだけ排除したい。それこそが俺が今ここにいる理由だ。

じゃあ、何のために命がけで?

俺だけの為だと思うか?違うよなそうだろ。」


エドが首を横に振る。


「他人事だとよく見える。エド自身が自分を大切にする事が俺達も大切にする事だと俺は思うんだ。ちょっと偉そうだな。

ま、これから更に難題は増えるからその時は知恵を出し合う。これでどうだい?」


暫し固まったエドは、渋々頷いた。

納得せずとも従うと言うところかな?



それから全員で階段を降りる。

ひたすら。


ずっーつと。



飢えも乾きも感じないこの空間に、時間感覚が鈍る感じがする。

それでも、あまりに長い階段で数時間かけてもまだ先が見えない。


人族の俺とエドに限界が近づく。


俺はコーティに。エドはリーヴァイ殿にそれぞれ肩を借りながらひたすら降りる。


俺は疲れて壁に手をついて降りていた。

先の見えない事がこれほど辛いとは。

だんだん疲れから腹が立ち、八つ当たりで壁を叩いたりした。


ドン!つい力が入った!!


あっけなく壁は崩れ、壁の向こうに部屋が見えた。何?

お互いに顔を見合わせてその中に入る。

なんと背後の階段が消えたではないか!

狼狽えるがもうどうしようもない。


元の階段に戻ることは諦めてドアを開けた。


オアシス。。


振り出しに戻る。

岩のニヤケ顔に腹を立てるがどうにもならない。


全員のため息が辺りに溢れた。



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