第13話 ヒメごと④
村長の家を出たセイヤはプルーニを探していると、最初に会った子ども達が前から歩いてきたのに気付いた。
「あ!さっきのお兄さん!」
「やあ、また会ったね」
子ども達は白い歯を見せてニコニコと笑いながら、セイヤに駆け寄ってくる。
すると、各々手に持ったものを前に突き出し、セイヤに見せる。
「ほら、見て!魚!たくさん取れたんだー!」
「ぼくは、ほら!もっとすごいよ!イノシシ捕まえたんだよ!ほら!子どもだから小さいけどね!」
大ぶりな魚から小ぶりなものまでの様々な種類の魚に、小さなイノシシを手に持ち得意げな顔をする子ども達。
「うわあ〜すごいね、これ全部君たちが取ってきたの?」
「うん、そうだよ!これが、今日の村の夜ご飯になるんだあ!」
「へえ。村の全員で、君たちが採ってきた物を食べるの?」
「そうだよ!村では平等にご飯を分け合うんだよ」
キラキラした瞳で話す子ども達は、笑顔で元気いっぱいに、その場で飛び跳ねたりしている。
「そうだ!お兄さんも一緒に食べようよ、ほら、このクモも美味しいんだよ」
大人の手ほどの大きさがある黒いクモを、セイヤの目の前に突き出す子どもに、セイヤは驚いて後ろに飛び跳ね尻もちをつく。
それを見て、子ども達はワハハハと楽しそうに笑う。
「ねえねえ、お兄さんはどこに行ってたの?」
「あ、ああ、僕はね、ちょっと村長と話をしてたんだ」
「ええっ、村長とー!?すげーじゃん!」
セイヤがお尻についた土を払いながら立ち上がると、子どもたちが目を大きくして顔を見合わせる。
「そんなに、すごいこと?君たちは、村長とはあまり会えないのか?」
「うん、会えないよ!村長は村にいても、皆んながいる所にあんまり出てこないし、俺んちのお父さんなんて、村長と話したいからって、話し合いの場を求めても、ずーっと先の日にちにされるらしくって、全然会えないっ!って、お父さんすっごい怒ってたもん」
「そうそう、俺んちも同じー!」
「しかも、会う約束の日の前に、絶対伝えておかなきゃいけないのもあってー、話をしに来るのはどこの誰で、なんの話をしたいのか、細かく最初に言わないと会ってくれないんだよなー!」
子ども達は口々に、親の言っているであろう村長の悪口を並べ始めた。
それと同時に、セイヤは違和感を覚える。
この子ども達が言っていることが正しいのであれば、なぜ自分はすぐに会えたのか、そもそもセイヤが何者なのかも確認すらされなかったことに。
「…そうだ、君たちプルーニさんがどこにいるか知ってるかな?僕はこれから、プルーニさんの所に行きたいんだ」
「プルーニさん?それなら、いつもの大鍋の所じゃね?」
「いや、お前違うよ!今日はあの日だもん!たぶん、墓のとこじゃね?」
「墓…?あの日って、一体なんのことなのかな?」
セイヤが聞き返すと、子ども達は、マズイといった顔をして、気まずそうに顔を見合わせる。
「あー、プルーニさんは前に子どもがいてー、今日はその子が死んじゃった日なんだ」
「子どもが…そうだったのか…」
「うん、でもその話は、あまりしちゃいけないってお父さんとお母さんから言われてるから、もう僕らは話せないよー」
「うん、分かった、ありがとう。それで、戻ってきたところで悪いが、プルーニさんがいるお墓の場所を案内してくれないかな?」
「いいよー!」
山の中に続く獣道を進み始めた子ども達を、セイヤはざわめく胸で後に続いた。




