第46話「姉の覚悟」
気味悪い。ティル神に対しての素直な感想。死んだ両親との再会に驚くボクとユキを嘲笑っている。趣味悪いな。
「ミア、ユキ!」
「ああ! こんなに大きくなって!」
父さんと母さんなのは確かだ。この国じゃ土葬だ。本当に無から作ったってのか! デタラメじゃなさそうだ。
「感動的な再会ぞ。さあ、泣き叫び喜べ」
「お父さん……お母さん……!」
「ユキ! しっかりしろ! そいつは違う!」
ヤバい。ユキの意識が父さんと母さんに向いちまってる。
「違わないよ! 紛れもなくお父さんとお母さんだよ!」
ボクの忠告に聞く耳を持たず、両親の懐に飛び込むユキ。涙を流して嬉しそうだ……。だがなユキ……違うんだ。
ボクたちが復活を望んでいたことは確かだ。けど駄目だった。ボクの魔法が神の下位互換だってのが失敗の理由だとしてもだ。
「5年前に2人は死んだんだ! その事実は変わらない。だって……だって……父さんと母さんは眠っているんだもん!」
「お姉ちゃんは嬉しくないの!?」
「そうじゃない! ボクだって嬉しい! だからこそ……」
「頑固だやつぞ。折角創造してやったというのに」
「ボクとユキの両親は死んだ。肉体は土に眠り、魂は天に昇った。アンタが作ったその2人は紛い物だ!」
嬉しくないわけがない。できれば一緒にいたいし、これからもボクとユキのことを見ていてほしい。だけど割りきらなくちゃならない。目の前で動く両親は、同じであって同じでないんだ。
「再会を拒むか」
「ボクとユキが本当に再会したいのは、5年前に死んだ両親だ。その両親じゃない!」
「そうか。ならば、こうするまで」
「「あ……ああああ――」」
それは一瞬の出来事だった。内側から身体を膨らませて破裂させて殺す。わざわざ残忍な方法で、見せしめのように。
「お父さああん!! お母さああん!!」
ユキが父さんと母さんの血を浴びながら崩れる。涙を流して声を震わせる。
悔しいねえ……。姉として力不足だ。恨まれても仕方ない。
「……ユキ……」
「……してよ! ……お父さんとお母さんを返してよ!!」
ユキが胸ぐらを掴んでくる。ボクに鋭い目を向けてくる。
こりゃあ終わったな。一番嫌われたくないやつに嫌われた。こういうのは理屈じゃないんだ。
「ミア様! ユキ様!」
「何やってるわけ! 姉妹喧嘩している場合じゃないでしょ!」
「おねえちゃんたち、けんかはだめ!」
もう喧嘩じゃ済まないねえ。しゃあない。ボクなりの落とし前をしよう。
「……本当はユキだって分かってるんだろう? だけど理屈じゃないんだろう? どうしようもない気持ちでいっぱいなんだろう?」
「また死んじゃったんだよ! お姉ちゃんが余計なことをしなきゃ死ななかったのに! どうして……どうして……」
「ごめん、ボクの考えは変わらない。ユキが納得できないのは分かる。辛くて悔しくて怒りが込み上げてきてるってのも」
ユキを抱きしめて落ちつかせようとする。逆効果でもしないといけないと思った。
この国は絶対王政だ。全ては王様が決める。たとえどんな重罪でも、王様の決定が絶対だ。だからこそできる荒療治。大目に見てくれ王様。
「わたし……自分が怖いよ……」
「素直になっていい。それがユキの本音なら、ボクは真っ正面から受けるだけ。だから……」
「……お姉ちゃん……!?」
ボクは、ユキに「殺していい」と囁いた。




