第42話「かわいい妹分」
茶屋でひと休みしたため、そろそろ発とうと支度を始めていると、ユキの胸を揉んだ男の子が手を握ってきた。
「行っちゃうの?」
「甘えん坊なやつだねえ。ちょっと街に用があるんだ。それが済んだら来る。約束だ」
「絶対に約束だからな! 忘れたら許さないぞ!」
「へいへい」
ユキは子どもたちに囲まれているし、ロリババアとリフェアは、子どもたちと一緒になって遊んでいる。溶け込むのが早い。
「私たちだけで向かいましょうか」
「今、約束したんだ。また来ればいいだけ。おーい。みんな行くぞー!」
離れがたいのは分かる。だが我慢しろ。変に溶け込むと辛さが増すってのを学習しただろう。
ユキが再び風を纏わせてくれる。心地のいい風だねえ。
「街まで頑張るよ」
「ユキ、無理はしないでくれ。また休めばいい」
それにしても、超久々の緑茶だったな。もう飲むことはないと思っていた。世界は広いってのを実感したねえ。
「ミア様。先程のお茶を作ることはできないでしょうか。是非とも振る舞ってあげたいのです」
「そうか! ボクが自分で作ればいいんだった! 情けない。そこまで頭が回らなかった」
万物創造――。
「それが緑茶の葉なのですか?」
「悪いねえ。近所のスーパーに売っている安いものしか浮かばなかった」
「すーぱーというのがどういうところなのかは想像しかねますが、心を込めれば極上のものなのです。私が腕を奮ってさしあげましょう」
リンさんの腕にかかれば何だって美味しくなるだろう。茶菓子も欲しくなってくるねえ。
そうこうしているあいだに街が見えてきた。王都とは違う意味で派手見た目だ。夜露死苦的な雰囲気を感じるんだが。
「そこのネーチャン。オレたちと遊ばね?」
この街は随分と荒れているみたいだねえ。夜露死苦的なやつらが現れるとは。へっへーん。喧嘩上等じゃないかい。
「ダサいのじゃ」
「「んだとこの!!」」
リフェアが地雷を踏みやがった。子どもって正直だからねえ。効くねえ。痛いねえ。
「ダサいのじゃ。みているこっちがはずかしい」
「ガキが分かった風なことを――!」
あちゃー。矛を振る相手を間違えたねえ。
「――ワタシのかわいい妹分に手を出すなんて許さない!」
ロリババアの溺愛ぶりは凄まじい。もうすっかり姉気どりだったとは。
夜露死苦野郎が怯えている。ただの生娘たちと思って絡んだのが運の尽き。人は見かけによらないんだ。
「て、撤退!!」
「「覚えてやがれ!!」」
逃げ足だけは速いねえ。悪霊退散、てか。




