第4話「おいしい」
きょうのごはんは、ボクとユキのこうぶつばかりだ。
かあさんのつくるりょうりはどれもおいしいけど、とくにボクがすきなのはハンバーグだ。
「おいしいよ!」
「それはよかったです。私の愛情がたっぷり詰まっていますから、美味しいのは当然なのです」
「それはいいすぎ」
「言いすぎくらいがちょうどいいのです」
ボクはふつうにおいしいとおもう。ふつうに。
「おかあさん。どうしてドレスをかったの?」
「それはボクもきになってた。ドレスなんてめったにきないのに」
「言わなかったかしら? 今度、街のパーティーがあるのです。そのためのドレスなのです」
いってない。きいてない。パーティーなんていやだ。
かあさんのことばをきいたとたん、ボクのとなりにすわっているとうさんがかたまった。
「俺も聞いていないのだが。ぱ、パーティーということは……い、異性もいるのか!?」
「当たり前です。そんな畏まるものでありませんよ。楽しく食事をしつつ、ちょっと会話をするだけです」
「異性……異性……男が近づく!?」
「貴方、どうかされました?」
「ミアとユキを狙いに男が近づく可能性が高いではないか! 笑顔で油断させておいて、隙を突いてキスなんか……」
「何を恐れているのですか? あくまでも街のコミュニケーションの一環です。親睦を深めるだけですよ」
「し、しかし!?」
とうさんのかおがひきつっている。ボクとユキをみてえがおをつくるけどこわい。
「おかあさん。どうしておとうさんはかなしそうにしているの?」
「それはねえ。ユキとミアをほかの人に取られるのが怖いのです」
「わたしとおねえちゃん、だれかにとられちゃうの?」
「いつの日かね。今はまだです。これから徐々に将来のために花嫁修業をしていくのです」
「そうなんだ。わたし、はなよめしゅぎょう、がんばるよ!」
「頑張らなくていいんだ! やらなくていいんだぞ。お父さんは結婚なんて認めてやるものかあああ! ぐすん」
とうさん、よっているのかな? けっこんなんて、ずっとさきのはなしなのに。
それにボクにはかんけいないはなしだ。だれかとつきあうとか、けっこんなんてできないもん。
「とうさん、なかないで。にんじんあげるから」
「お父さんにくれるのか!? ミアがあーんしてくれた! 今日の疲れが吹き飛んでいくー」
「ユキもユキも! ブロッコリーあげるよー」
「ゆ、ユキー! お父さん幸せだあああ!」
こうして、ボクとユキはきらいなやさいをたべずにすみ、とうさんをよろこばすことができた。ハンバーグおいしい。




