第33話「多数決」
こんな幼女に付き合ってられないねえ。ボクたちは街に行かないといけないんだ。
「なんで通したくないのかは知らないけど、遊んでくれって言うんならお断りだ。じゃね」
「まつのじゃ!」
「うげ!?」
服を掴まれちまった。強引だなあ。
「とおりたければ、あっしをたおしていくのじゃ」
「そんなことできるわけないだろう。絶対に痛いぞ?」
「こどもあつかいするな!」
「ごふ!?」
腹をキツいのが……。加減がない分抜群だな。
「お姉ちゃん!」
「これでわかったか。あっしはつよいのじゃ」
「こら! そんな簡単に殴るだなんていけないよ!」
幼女にユキが説教を始めたねえ。怒らせると怖いのはさっき経験済み。
「あっしをたおしてから――」
「――めっ!」
「いた!」
ユキのデコピンが幼女に炸裂した。デコピンって痛いんだよねえ。今でも思い出す。ユキにされた日のことを。
「痛いのは当然だよ。わたしのお姉ちゃんを殴った罰」
「……うえーん……!!」
あ~あ。やっぱり泣いちゃったか。
「泣いたって駄目。先に手を出したのはそっちだよ。何をするべきか分かるよね?」
「ご……ごめ」
「わたしにじゃないよ。わたしのお姉ちゃんにだよ」
「……ごめ……んなさい……ひっく」
大粒の涙を流しちゃってまあ。鼻水まで流すこったないのに。
「ちゃんと謝ってくれて偉いな」
「そうだよ、偉い偉い。わたしもごめんね。おでこ痛かったよね」
ユキが幼女のおでこを擦って抱きしめる。
幼女の方はきょとんとしているねえ。
「おこってないの?」
「もう怒ってないよ。本当はいい子なのが分かったからね」
幼女の目がとろんと垂れていやがる。完全に落ちたな。
「どうして私たちを通したくないのですか?」
リンさんが幼女の目線と同じ高さになるように屈んだ。子どもの扱いに慣れているのが分かる。
「まちはあぶないのじゃ。こわいひと、いる」
「怖い人、ですか。それは大変です」
「あっしはにげてきたのじゃ。みんながにがしてくれたのじゃ」
「私たちを街に行かせたくない理由はそれでしたか。それならばご安心を。私たちで退治してあげます」
リンさん!?
「知ってしまったからには無視できないわ。ワタシたちは強いから安心していいです」
ロリババア!?
「わたしたちが守ってあげるね。わたしはユキ。名前を訊いてもいい?」
「あっしはリフェアじゃ」
ユキまで!?
「ちょっと待ったああ! 相手がどんなやつなのかも分からないんだろう? ボクたちが敵うかどうかなんて分からない」
「ミア様。このままリフェア様を放っておくつもりで? それならば仕方ありません。私だけでも行きます」
「あんだけワタシに偉そうに言っときながら情けないわ。ミアちゃんがそんな人だなんて残念」
「ごめんねリフェアちゃん。お姉ちゃんがこんな人で」
「ああああ! 分かった! 分かった! 倒せばいいんだろう倒せば!」
「ありがとうなのじゃ」
しゃあないなあ。巻き込まれてやるとするかねえ。




