第17話「幕切れ」
教会で暴れても涼しい顔のまま。とても教主だなんて言えないぜ。デタラメ教をぶっ潰してやる!
「私は教主なのではない! ティル教など作った覚えもない! ははは!」
「ああ、アンタはただの人殺しだ!」
万物創造――!
「な、何だそれは!?」
「知らないのかい? これは拳銃ってやつだ。種類はリボルバー」
初めて拳銃を創造したけど、こんなに重いとは驚きだ。持ったことすらないからな。ちゃんと狙って撃てるかねえ。
「随分と変わった魔法を使うようだ。子どもだと舐めていては痛い目を見るな。私を捉えられるかね?」
「!?」
き、消えた!? これじゃ狙えないし、撃てない!
「がは!」
お腹を殴られた……チクショー!
拳銃も奪われた。こいつはマズい――。
「――勝負あったようだ。頭を撃ち抜いてやろう」
透明化の魔法を使えるとは想定外だった。完全に形勢逆転されたもんだ。
「じゃあな――」
「――アンタがな」
だったら、また逆転すればいいだけだ! ボクの魔法は創造と破壊。拳銃を破壊する!
「なるほど。壊すこともできるというか。だが、所詮はそこまで。透明になった私には対応できない」
「バーカ。アンタみたいなのを破る方法なんざ腐るほどあるんだ。ボクに言わせれば古典的な方法が」
「強がりを」
「強がってなんかないもん!」
用途としてはもったいないが喰らえ――小麦粉!
へっへーん。全身が粉まみれだ。どんなもんだい!
「うぐ!?」
「さっさと透明になれば?」
「こ、こんなことで~っ!!」
あとは拳銃を――。
「――お姉ちゃん!」
「ユキ!?」
思っていたよりも早く戻ってきたなあ。しかも、もの凄い人を連れてきやがった。撃ちたかったなあ。
教主のやつが顔をひきつらせていやがる。さっきまでの威勢のよさはどこへやらだ。
「彼が殺人犯かね」
「な、な……なんで王様が……!?」
「そんなことはどうでもいいではないか。君を確保する。洗いざらい吐いてもらうぞ」
「……王様が来ちゃ万事休す、か。まあいい。私の仲間が……きっと……ごはっ……」
何だ!? いきなり倒れやがった。口から泡を吹いて……。
「ミア様、ユキ様、お下がりを。私が確かめます」
「リン、どうかね?」
「……残念ながら。あらかじめ口に毒の錠剤でも含んでいたのでしょう。追いつめられて噛んだようです」
自殺したってわけかい!?
「リン。彼の亡骸を頼んだ。私はフュミラをこのまま視察していく」
「分かりました」
呆気ない幕切れだったな。これでフュミラが救われればいいけど。
それにしても、教主が死に際に言った“仲間”ってのが気になる。参ったぜ。




