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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 新年度の『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第一章 捨てゲーム 1から4

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第1話 エース乱調の試合

 4月1日は日曜日。


 今日も又、司法局実働部隊、そのあまりにも遊んでばかりで仕事をしない人型機動兵器シュツルム・パンツァーを運用する『武装警察』部隊なところから『特殊な部隊』と呼ばれる愉快な連中は休みをいいことに所属する『千要中央草野球リーグ』の試合中だった。


 相手のチームはリーグではメンバーが揃えば強いが仕事の関係上、メンバーがそろわないことが多いので10チーム中では階争い常連の『駒形畜産』だった。


 今日の『駒形畜産』のメンバーはほぼフルメンバー。時にリーグの常勝チームの『菱川重工豊川』や『千要マート』、そしてそれに次ぐ実力の『豊川市役所』相手にジャイアントキリングを見せる時の布陣だった。


 そして今日の『特殊な部隊』のサウスポーエースである神前誠曹長は3回終わった段階だというのに肩で息をするほどに苦悩していた。


「やっぱり……スライダーを使えないのはきついね……相手も僕がフォークのサインを出す時のタイミングを読んできているみたいだ……あの監督……なかなか食えない人物だよ。確かに選手さえそろえば強豪チームにも互角と戦えるという前評判は伊達では無いというところかな」


 酒井町町営球場の粗末なベンチに腰掛けた誠にキャッチャーを務める誠の所属するシュツルム・パンツァー部隊である第二小隊の小隊長でこの試合ではキャッチャーを務める日野かえで少佐はそう言って誠の肩を叩いた。


 誠はその言葉を聞きながらじっと左手の人差し指のマメを見つめた。


 スライダー投手のサガであるスライダーを投げるたびに擦れてできるマメとの付き合い。


 高校時代も1年と2年の時代はそれに苦しめられたことを誠は思い出して苦笑した。


 これまではしっかりと投げ込みをして指先の管理はしっかりできている自覚はあったが、今日は明らかに調子が悪かった。


 かえではスライダー中心の配球の組み立てから誠のもう一つの売りである伸びのあるストレートと球速を殺したカーブ。そしてここぞという時に投げるフォークで何とか試合を組み立てようとした。


 しかし、その自慢のストレートには今日に限って力が無かった。


 いつもなら振り遅れてファールになるきわどいコースへのストレートはいつもより遅く打球はライン際のフェアーコースに転がった。


 サードを務めてスーパープレーが持ち味の運用艦『ふさ』の艦長でもあるアメリア・クラウゼ中佐は超人的なスーパープレーの見せ所と張り切って守備に励んでいたが、キャッチャー以外はどこでも守れるユーティリティープレイヤーでファーストも守れるという程度のレベルの艦の副長パーラ・ラビロフ大尉を襲う右バッターの強い打球は次々と彼女の頭上を越えてライトのグラウンドに転がっていった。


 最悪の調子のエースを見ながら監督を務めるシュツルム・パンツァー第一小隊の二番機担当の監督の西園寺かなめ大尉は親指の爪を噛みながら、守備は上手いし足は速いが打撃にはあまり期待できない第一小隊三番機担当のアン・ナン・パク軍曹が打席に向かう後姿を見送っていた。

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