第十話 即興に弱い陰キャだった事を再認識した件
人類はいつから太陽系の外にも広大な宇宙が広がっていると思っているのだろうか。自分の目で、見た事も無いというのに。
イタリアの天文学者、ガリレオ・ガリレイは1609年に望遠鏡で夜空を観測して、地球が宇宙の中心ではなく、太陽系惑星の一つであることを明らかにした。これにより、人類の宇宙観は大きく変わる。
ドイツ出身でイギリスに移り住んだ天文学者のウィリアム・ハーシェルが18世紀に夜空の星を詳細に観察し、星々が薄い円盤状に集まっていることを発見して「銀河」という考え方を広めた。
1990年代以降になると、太陽系の外にも恒星が発見される。その周囲を回る惑星(系外惑星)の探索が活発に行われるようになった。太陽系以外の恒星にも惑星が存在することが明らかになり、太陽系が特別な存在ではないという理解が深まってゆく事になる。
オールトの雲と呼ばれた太陽系の囲いが、プラネタリウムのように作り出された宇宙空間を映し、人類に夢を見せているだけだと言う真実を知らずに、地球では日夜、宇宙の神秘を解き明かそうと努力が重ねられていた。
数少ない宇宙の手がかりを得ようと送り出された探査機は、もうすでに神々の手に落ちて新たな知性として目覚めている事も知らずに……。
「パイオニア……いや、呂布君。それとも張遼か太史慈と言った方が良いかな?どう?彼には上手く接触できそう?」
「お戯れを……。接触の方はボイジャーワンとツーに引き継ぎまして、もうしばらくしたらご依頼は叶うと思います。」
「そう。……急いでね。だいぶ瘴気が濃密になってきてるから。好転しなければ消滅させなきゃならない事態になるかもしれない。良治は悲しむと思うけど……。」
「はい、心得ております。現在はボイジャー達が興味を引いています。人型を取った事は正解でした。」
「そっか。……ふふ、バッタじゃ捕らわれてしまうから確かに正解だね。」
「も……申し訳ありません。まさか、虫に興味を示すとは……。」
「はは……しかたがないね。けれど……近づきすぎないように気を付けてね、良治がどんな行動するか、わからないから。」
「はい、今度は確実に。ボイジャー達はまだ幼いですが、村への案内程度なら問題ないです。」
(油断はしないように……古い魂とはいえ、何が起こるか、わからないからね。)
そう言いかけて、シイゴはぐっと言葉を飲み込んだ。
言葉にしてしまうと、それが現実に起こってしまうような気がしたから。
(まったく。気にしないとか言いながら、救えるなら救いたいとか、人間の情とか言うのはホントに理解出来ないよ。面白いけれど……K2-415bもやっと育ってきたんだから無茶はしないでほしいな。)
川遊びをする少年少女。
それを見て後を付ける男の様子を確認するように、彼らは話し合っていた。
人類の見る夢から逆に生み出されたK2-415bと言う惑星に揺らめく雲の遥か上空、天空とも言える神の領域で。
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どうも。お久しぶりです。――こんにちわ。
兄です。
今回は無駄話をせずに物語に入りたいと思います。
私もね、好きでぐだぐだと無駄話をしている訳では無いんですよ?
尺が……いえ。
ネタが切れ……いえ。
ナンデモアリマセン。
たまには、真面目な回があっても良いんじゃないかなって心を改めまして。
そんなわけで……では、前回の続きから。どうぞ。
私は木陰で息を殺しながら、少年と少女の後をつけた。
日差しはまだ強く、濡れた髪からはさっきまでの川の匂いが風に混じって漂ってくる。美少年と美少女の若い香り……ハァハァ、クンカクンカ。
おっと、いけない。真面目に……真面目に……。
二人はタオルのような布で体を拭き、どこか牧歌的な服に着替えると、森の中へと縫うように進んでいった。
道は人が通るには細めだが、確かに集落へ続く道筋だと分かる。
このまま後をつければ、普通の服が手に入る──そのはずだった。
「ねえ、あそこの草、動いたよ?」
少女の声。
金髪が光を受けて小さな虹を作る。
反射的に身を伏せたが、隠れ方がまずかった。
木陰から尻を突き出すような格好で固まる私。いくらなんでも隠れ方が不審すぎた。
上手く隠れているつもりだったのだが、逸る気持ちが失敗を呼んでいたらしい。
接近しすぎていたのだ。
籠の中の相棒、太史慈はすでに逃げた。
見せ物のはずだった昆虫は消え、私の演技道具は空っぽだ。
こんな事なら、太史慈に続く相棒を真剣に見つけておくんだった。
後悔で押しつぶされそうになる。
だが顔だけは平静を保ちながら、ふらりと木陰から出て……腕を大げさに広げて咳を一つ付いた。
「おや、失礼。見せ物回しの…あ、商人、だよ。珍しい虫が、ね、いるんだ」
「へー!見せて見せて!」
無邪気だ。少女は信じたように目を輝かせる。
だが少年の琥珀の瞳は違った。好奇心ではなく、確かに見張る目だ。
彼らの視線は遊びのそれではない。集落の監視役か何かだと、本能的に悟る。
籠を必死で取り出すと、案の定、中は空っぽ。
太史慈が逃……太史慈が涙ながらに旅立った後に、ぶん投げ捨てた籠を新たに作っておいて良かった。次の相棒との出会いは無かったが……。
しかし、私の下半身はトランクス一丁。パンツ一枚の姿である。
本物だ。見世物の虫も入ってない。言い訳の余地がない。
内心で太史慈を恨みつつ、とっさの言葉を紡ぐ。
「いや、これは…どうも移動中に逃げられてしまったようだ。はは……そんな事よりも……名乗るほどの者ではないんだが、服も失ってしまってな。身なりを整えたいので村まで案内してくれないかな?」
少女は無邪気に頷いた。
だが少年は小声で呟く。点呼のような癖で、確認するように遠くを見る。
「パイオニアに言われたとおり、連れて行っていいのかな?
あの瘴気、かなり強くなってるけど」
ドクン……。
私の心臓が跳ねた。
瘴気──その言葉で胸が一瞬、締め付けられた。
小声で囁かれた言葉が頭の中で木霊する。
断片的な記憶が胸に刺さり、滅びた世界の影がちらつく。
滅びた世界?何の?
心の内に湧き起こる不穏な鼓動。
何の記憶か、はっきりとは思い出せない。ただ、嫌な響きだと本能が伝えてくる。
表情は陽気に保った。心の奥は波立っているが、表側の笑顔を崩してはならない。
子供たちが案内を承諾したとき、自分に一つの誓いを立てた。
嘘が露見しても、ここで出会った彼らを裏切るような逃げ方はしない、と。
私は歩きながら考えた。
嘘がばれれば追い返されるかもしれない。
不用意な接触が彼らの警戒を強め、敵意を刺激する可能性もある。
だがもっと怖いのは、自分が知らず知らずのうちに他者を危険に巻き込む触媒になっていることだ。
胸の奥でかすかな瘴気が、まるで眠り痕のようにざわつく。
あぁ、そうか。私は自分が傷つく事よりも
この小さく疑いを知らない子供達が傷つく事を案じているのか。
それは人間として生まれた本能なのかもしれない。
男が屈強に強く大きな身体に成長するのは、包み込んで女子供を守るためだ。
女が柔らかで暖かい身体に成長するのは、子供の守る衝撃に備えるためだ。
大きな衝撃からまずは男が防波堤となり、女がその内側でクッションとなって子を守る。人間の本能は、そのすべてが子孫を……子供を守る為に凝縮されている。
私は……何のために此処に来たのだろう。
本当に服を手に入れる為だけだったのか?……何かに導かれた?
そもそも私は……自分は何者なのか。なぜ異世界の地を踏んでいるのか。
何か変だ……思考がぐるぐると廻る。明らかに普段の私ではない。
問いは増えるばかりだ。
しかし……今は答えを探す時間ではない。
目の前の美少年と美少女は、案内者であり試金石でもある。
偽りの笑顔を武器に、最低限の信頼を積み上げるしかない――短絡的な方便で済ませられる問題ではない、と自分に言い聞かせながら、私は子供たちの歩幅に合わせて足を進めた。
森を抜ける細い道は、長い年月をかけて人の足に踏み固められたようで、両脇には苔むした切り株や、湿った土の匂いを放つ草むらが続いていた。木々の隙間から差し込む光はまだら模様を描き、進むごとに影が揺れては消える。
やがて視界の奥に、簡素な木の門と低い柵に囲まれた集落が現れた。まるで森の懐に抱かれた隠れ里のようだ。
並ぶ家屋はどれもプレハブを思わせる造りで、錆びたトタン屋根が陽光を受けて鈍く光っている。
村の中央を貫く一本の道は、四方の門へと真っ直ぐ伸び、村そのものが十字に刻まれているかのようだった。
「おぉ……村だ。村落だ……人がいる。」
思わず声が漏れる。
門の奥に目を凝らせば、家屋の軒先から吊るされた洗濯物が風に揺れている。
シャツ、ズボン、色褪せたシーツ――それらが翻るたびに、確かにここに生活が息づいていることを告げていた。
その感慨に浸る間もなく、背後から少年の声が響いた。
「ここまでかな。じゃ、おじさん。またね。」
「え?」
振り返った瞬間、そこにいたはずの少年と少女の姿は影も形もなく消えていた。
え? え? 消えた? なんで?
狐に摘ままれたような心地で辺りを見回すが、森はただ静かにざわめくだけ。彼らの気配はどこにもない。
胸の奥に冷たいものが走る。
――村には辿り着いたが、唯一の案内役を失ってしまった。
動揺を抑えきれずに立ち尽くすと、門の方から数人の男たちが姿を現した。
粗末な槍や鍬を手にし、こちらを探るように辺りを見渡している。
まさか子供たちを探しに出てきたのか?
私は反射的に木の陰へ身を滑り込ませた。心臓の鼓動が耳の奥で鳴り響く。
(どうしたらいい? あの子供たち……どこへ消えた?)
村に逃げ込んだのか、それとも最初から私を試していたのか。
思い返せば出会いは最悪だった。
ボロボロのシャツにトランクス、木切れを編んだだけの中身の無い籠、足元は布切れを巻いただけの「なんちゃって靴」。
そんな怪しい男が子供たちの後を追い、商人だの昆虫売りだのと場当たり的な嘘を並べて村への案内を頼んだのだ。
疑われて当然。むしろ、隙を突かれて逃げ込まれた方が自然だ。
(どうする?男たちに姿を見せて説明するか?いや……無理だ。不審すぎる。)
唯一の道は、子供たちと再び合流し、害のない人間だと証明することだろう。
だがどうやって?
ボロボロの姿で、突然村に現れた男を、誰が信じるというのか。
少年少女が村の直線で消えたのは、完全に盲点を突かれた。
盲点に溶けたように消えてしまった。
目には視神経乳頭と呼ばれる、網膜上の視神経が集まって束になり、眼球から脳へと信号を送る視神経が出入りする場所がある。
この視神経乳頭には、光を感じる視細胞が存在しないため、この部分に光が当たっても信号として脳に届かず、物が見えない。
盲点は視野の中に存在するのだが、通常私たちはその存在を意識できない。
これは脳が周囲の情報を使って、盲点で見えない部分を補完しているためと考えられている。
どのように消えて見えたのか、ここで解説してみようか。
● ★
右目を隠し、右の★を左目で見ながら見る距離を前後に近づけたり遠ざけたりしてみてくれ。
ある一定の距離で左の●が消えて見えると思う。逆でも可能だ。
左目を隠し左の●を見る。前後に距離を近づけたり遠ざけたり……。
右の★が消えただろう?
これは、盲点と言う見えていない部分を周りの空白が補って、白として見せているのだ。
まるで盲点に溶けたように少年少女が消えたと言うのは、こういう事だ。
ただし、彼等は消えたままで、再び姿を現す事は無かった。
早急に彼等を探さねばならない。
私は門の前に立つ男たちの視線を避けるように、息を殺しながら木陰からさらに奥へと身を滑り込ませた。
村人たちは周囲を見回していたが、やがて互いに言葉を交わしながら門の中へ戻っていった。
――今だ。
私は地面に這うようにして柵の影へ近づき、隙間を探した。
古びた木材の一部が外れかけており、そこから体をねじ込むことができた。
衣服が引っかかり、布切れが裂ける音がやけに大きく響いた気がしたが、幸い誰にも気づかれなかった。
村の中へ足を踏み入れると、空気が変わった。
森の湿った匂いから、生活の匂い――焚き火の煙、干した草の香り、そして。
人の……人の暮らしの温もりが漂ってくる。
こんなにも、自分の他に人間が居る事が安心できると、思った事が無かった。
けれど、肝心の子供たちの姿はどこにもない。
中央の道を進みながら、私は耳を澄ませた。
風に揺れる洗濯物の布擦れ、遠くの家屋から聞こえる鍋の音、犬の吠え声。
だが、あの少年少女の笑い声も足音もない。
(どこへ行った? 本当に村に入ったのか? それとも……)
不安が胸を締め付ける。村人に見つかれば即座に怪しまれるだろう。
私は家屋の影に身を寄せ、窓の隙間から中を覗いた。中には老女が座り、糸車を回している。
別の家では男が木材を削っていた。どの家にも生活があるのに、子供たちの気配だけが欠けている。
まるで最初から存在しなかったかのように。
(子供達は幻覚だった?いや……確かにいた。
存在していた。声も、姿も……消えたのは幻じゃない。)
私は村の奥へと進む。だが進めば進むほど、子供たちの影は見えず、逆に村人の気配が濃くなっていく。
足音を忍ばせ、息を潜めながら、私は必死に子供たちを探し続けた。
それでも――見つからなかい。
村の外れへと足を運ぶと、門から少し離れた場所に、崩れかけた小屋が見えた。
壁板は剥がれ、屋根の一部は落ちている。
人が住んでいる気配はなく、物置としても長らく使われていないようだった。
私は周囲を確かめながら、慎重に扉を押し開けた。
軋む音が森に溶けていく。中は埃と蜘蛛の巣だらけで、古びた農具や木箱が雑然と積まれていた。
その片隅に視線を向けると、埃に塗れた布の束が目に映った。
近づいてみると、色褪せた作業着や麻布の上着が無造作に置かれていた。
袖は擦り切れ、ところどころ穴も空いている。
けれど、今の自分の格好よりは遥かに「人間らしい」。
私はその中から一番ましな上着を選び、肩に羽織った。
腰には破れかけのズボンを見つけ、布靴の上から裾を覆うように結び直す。
鏡はないが、少なくとも「森から迷い込んだ不審者」ではなく、「旅の途中で疲れ果てた男」くらいには見えるだろう。
(これで……少しは人前に出ても言い訳ができる。)
埃を払いながら深呼吸する。小屋の中には他にも古い木箱や壊れた棚があり、子供たちの痕跡を探すには格好の場所かもしれない。
だが今は、まず身なりを整えたことで一歩前進だ。
私は小屋を後にし、村の奥へと足を踏み出した。
子供たちとの接点を探すために――。
ここまで読んでくれてありがとう!
私の近況は、ゲームを自分でやらないで動画を見る事に変えたので落ち着いて来ましたです。
オータムセール以前の状態に戻った感じですねw
けれども、相変わらずお久しぶりになっちゃってます。
一度ついたサボり癖は、中々に手強いです。
そんな感じで・・・ども。
天音樹です。
最近やっていたAnno 1800のキャンペーンモード(ノーマル)も途中で投げ出した感があるまま、とあるイッキ見動画でElinと言うゲームが気になってきています。
手を出したら、たぶんまた・・・何も手が付かなくなりますよねw
いつまで我慢できるかなぁ・・・
それでは・・・
この作品は不定期進行です。
次は何時になるか、予定は未定ですw
更新遅くて、めんごめんご(*'▽')
けれど、これが素の私だから・・・勘弁ねw
もう十話なのに無駄話ばかりで話がまったく進んでないので、今回は物語中心に進めました。
本筋の物語として、少しでも気になっていただけたら幸いです。
それでは・・・アディオ―――ス、アミーゴ!




