玩具
「はあ・・・・」
脱ぎ散らかされた服を着る。
「やだ・・・これ・・お気に入りだったのに・・・・」
びりびりに破かれたワンピース。
純白のそれは泥どろにいろんな色にまみれていた。
それだけでなく何かどろりとしたものも付着している。
近くに落ちているバックの中の手鏡を見る。
「ああ・・・・」
髪も乱れていて、汚い。
臭い。
「どうやって帰ろう・・・」
練習着は・・・
「ぎりぎりセーフかしら。」
ハーフパンツにスポーツブラだが、カーディガンを羽織れば
問題ない。
髪をとかしてメイクを治す。
「痛っ・・・・・」
よく見ると顔に切り傷がある。
ああ。
「力強かった。」
男とか女とかそんなものはこの現代に意味をなさない。
どれだけ知略と権力と人脈を駆使してこの世を
蹂躙していくか。
それだけでよかったはず。
それしか知らなかった。
そうしておけばすべてなんとかなった世界にいただけだった。
自分ひとりになるとこうも単純な暴力に屈してしまうことになる。
「あ・・・・血・・・・・」
失ったものは大きかった。
もうかつてのりょーちゃんはいない。
けがれた、きずものの、デジタルタトゥでさらされた
ただの発散の道具。
どうやら、ネットの掲示板が私らのことをにぎわせていたみたいだが、
そういったものは見ないようにしている。
見たら正気を保てない気がする。
だが、ネット以上に。
リアルは残酷であった。
瑠璃市では英雄であった私らも、
今や、囚われの女騎士といったところだろうか。
「ふふふ・・・・・・」
一筋の水滴が目からこぼれるのを感じた。
どうしてだろうか。
笑っているのに。
笑って、いるのに。
空を見上げる。
ビルに囲まれた路地裏の冷たいコンクリートの下、
私はされたままの姿で涙を流し続けていた。




