表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/78

玩具

「はあ・・・・」



脱ぎ散らかされた服を着る。


「やだ・・・これ・・お気に入りだったのに・・・・」



びりびりに破かれたワンピース。

純白のそれは泥どろにいろんな色にまみれていた。



それだけでなく何かどろりとしたものも付着している。



近くに落ちているバックの中の手鏡を見る。



「ああ・・・・」



髪も乱れていて、汚い。

臭い。



「どうやって帰ろう・・・」




練習着は・・・


「ぎりぎりセーフかしら。」



ハーフパンツにスポーツブラだが、カーディガンを羽織れば

問題ない。




髪をとかしてメイクを治す。




「痛っ・・・・・」



よく見ると顔に切り傷がある。

ああ。




「力強かった。」




男とか女とかそんなものはこの現代に意味をなさない。

どれだけ知略と権力と人脈を駆使してこの世を

蹂躙していくか。



それだけでよかったはず。

それしか知らなかった。



そうしておけばすべてなんとかなった世界にいただけだった。




自分ひとりになるとこうも単純な暴力に屈してしまうことになる。



「あ・・・・血・・・・・」



失ったものは大きかった。

もうかつてのりょーちゃんはいない。



けがれた、きずものの、デジタルタトゥでさらされた

ただの発散の道具。




どうやら、ネットの掲示板が私らのことをにぎわせていたみたいだが、

そういったものは見ないようにしている。


見たら正気を保てない気がする。




だが、ネット以上に。

リアルは残酷であった。


瑠璃市では英雄であった私らも、

今や、囚われの女騎士といったところだろうか。




「ふふふ・・・・・・」



一筋の水滴が目からこぼれるのを感じた。

どうしてだろうか。

笑っているのに。







笑って、いるのに。





空を見上げる。


ビルに囲まれた路地裏の冷たいコンクリートの下、

私はされたままの姿で涙を流し続けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ