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私の乗り越える壁


「そういうことですから、私の代打としてエリカを推薦します。」


青天の霹靂であった。

りょーちゃんがイベントの企画・運営に集中するということもあり、

プレイヤーから降りるというのだ。



「わ、あ、あーしがで・・・・?」


「ええ。あなたならちゃんとできると見込んだの。お願いできるかしら?」


合宿所の練習場に部員が全員、こちらを見てくる。

その視線は歓迎とか期待とかポジティブなものではない。


嫉妬

嫌悪


その類の視線がほとんどのように感じられる。


「い、一日考えさせてほしいっす。・・・」


「わかったわ。明日の夕食後に私の部屋に来てちょうだい。ではMTGは解散。各自、明日からの練習に備えて自主練習

に励むこと。」



それでミーティングは解散となった。




♦♦♦


「よう、エリカ!すごいじゃないか。」


「る。ルナさん。い、いやあ。まじバロスですよ。なんたって、あーしがこんな大役。しかも、

りょーちゃんのポジっすよね。」



「それだけ実力があると思われているんだから、すごいことだよ。」


「で、でも・・・あーしに任せなくても。。。りょーちゃんがやった方がクオリティは高いはずっすよ。」


「まあまあ。りょーちゃんに認められたんだからさ。」


「ガクブルっす・・・・」



ルナさんはにこにここちらを見てくる。


「自分はどうしたらいいんすかね・・・・。」


「まあ・・・・1日考えたらいいんじゃないかな。エリカがやるってなら私はバックアップするからさ。」



そうだ。

味方はいたのだ。


ルナさんは全面的にサポートしてくれるといったのだ。


「まあ・・・・体でも動かして・・・どうするか考えたらいいんじゃないかな?」



ルナさんは両手を後頭部にあててニカっと笑う。


ルナさんのこの飄々とした感じがなんだか、安心感を覚える。



さらっとしたショートヘアで中世的な感じがいいのだろうか。

からっとしたキャラクターがこの人がいればなんとかなるのではないだろうかと感じさせてくれる。



それでも、荷が重すぎるのだ。


200キロマラソンという暴挙に出るくらい、りょーちゃんは追い込まれているのだろう。


「と、とりあえず体動かしながら考えてみるっす。」




♦♦♦



1時間ほど、練習した。


ルナさんはいないなか、それぞれが練習場で鏡の前に立ち、自分の動きを確認しながら踊っている。


「はあ・・・・。」


水分補給の為、フロアの脇に置かれている清涼飲料水のおいてあるスペースへ歩く。


ジト目で見られているのがよくわかる。


紙コップを取ろうとする。



「あ・・・・。」


目の前にあったコップがとられてしまった。


「じゃまだよ。」



ケイさんだった。




「あ・・・すみません・・」


「ったく。部活のお荷物のくせに・・・・」



そんなセリフを吐き捨てられた。

紙コップはまだあったから清涼飲料水を飲むことはできた。


♦♦♦


夕飯の時間になる。


夕飯はビュッフェスタイルで好きなものを取っていく感じだ。


ルナさんを探す。


「おーい、エリカ!!」


「あ、ルナさん!ちわっす!!」


「こっちで食べようぜ!!」


さっさと自分の食べたいものをとって、ルナさんの所へ行こう。



「えーっと・・・・。ローストビーフとポタージュ、あとはフランスパンとポテトサラダでいいか。」



さっさと食事を取ってしまう。


取り分けて、振り返る。



「きゃっ・・・!!」


ポタージュがケイさんの取り巻きの一人にかかってしまった。



「ああ・・・何すんのよ。お気に入りのワンピースなのに。」


「ああ・・申し訳ないっす・・・」


「どうすんのよ!これめちゃくちゃ高かったんだから!!」



まただ。

ジト目が私を貫いてくる。


「あんたさ・・・ちょっとイキッてんじゃない?りょーちゃんに選ばれたからって・・・」


まただ。


嫉妬だ。

妬みだ。


醜い。


醜いが、こういう感情を向けられたら最後。


私は2年前。

嫉妬の果てに・・・・。



「まあまあ。やめなよ。」


「あんた・・・ルナさん・・ルナさんとはいえ、これは私とこいつの問題なので・・・・」


「金払えばいいのかな?そのブランド私も好きだからさ。わかるよ。それ、まだ売ってるよね?」



「ルナさん・・・・ルナさんが金出すことじゃないっす!!このくらいあーしがケツ持ちますから・・・・」



「いいんだよ。早く飯食いたいし。それにさ・・・・」


ルナさんが視線を送る。


その視線の先には、ケイさんがいた。


ケイさんは取り巻きと談笑をしているが、その隣の席は今、空いている。


確実にケイさんの指示と言って差し支えないだろう。



「あんたも大変だよな。あんな頭おかしい、リーダーの側近になんだからさ。別にこのワンピもそんなオキニじゃないだろ?」



「・・・・ちっ・・・」


ワンピの部員は立ち去っていった。


その日の食事は味がしなかった。




♦♦♦

「まじさっきは、胸糞悪かったなあ・・・」


嫉妬という感情はこんなにもぎすぎすさせるのか。

エリカと食った飯もおいしくなかった。


コンコン。


「ん?」

誰だろうか。


こんな時間に。


私は個室をあててもらっている。

いろいろと資料をあさっているとドアがノックされた。



「はい?」


開ける。

そこには明らかに顔が暗くなっていて、覇気のないエリカが立っていた。

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