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精霊の戦士たちへ  作者: 遠藤ゆきな
15/27

     王都奪還 〈後編〉

ミレット「しっかりして下さい!! バゼルさん!!」


ミレットは必死にバゼルの傷を治す。


ライメイ「てめぇ…!」


ライメイは飛び出し、短剣を二本出し、少年に斬りかかる。

だが少年は華麗によけ、代わりに繰り出したナイフでライメイは斬られる。


ライメイ「くっ…!」


スナップ「僕はスナップ。 泥棒っス。 …だから、こういう危ない武器は…」


ライメイの陰から、傷の治ったバゼルが槍を繰り出す。

しかし、その槍を掴むスナップ。


スナップ「奪う…!!」


槍を奪われ、バランスを崩す、バゼル。

そのまま、玉座の裏まで投げ飛ばされる。


マネ「うわっ!! 気を付けて下さいよ! 先生!!」


スナップ「……黙ってな」


マネ「…ハイ……」


ライメイ「武器が当たらないなら…」


ライメイは短剣をしまい。 肩に背負った筒から、何本ものアルミの棒をだす。

それを左右の壁に投げる。壁に刺さる、アルミの棒。

アルミの棒に向かって、両腕を開く。


ライメイ「くらえっ!!」


“放電”!!


ライメイの両手から放たれた電気は、アルミの棒に流れる。

スナップは電流を浴びる。

しかし、スナップは揺らめくだけで、まったくダメージを負っていない。


ミレット(…! あれは、幻影…!?)


ライメイ「…ハァ…ハァ…何故、ダメージを受けない!?」


ライメイは電気を消す。


スナップ「…フフ」


ミレットは玉座の裏のバゼルと目が合う。

頷く、バゼル。


ミレット「!! ライメイさん! 下がって!」


ミレットは大きな水の玉を作る。下がるライメイ。

その水の玉をスナップに向かって、投げる。


スナップ「うわっぷ!」


濡れるスナップ。


ピチャッ…


スナップ「こんなの効く訳… !! がはっ…!!」


バゼルはとがった土をスナップの隣に走らせる。

そうすると、スナップは段々と消え、とがった土に刺された、男が現れる。

男はさっきのスナップに二十歳足したぐらいの見た目だ。

男は血を吐く。


マネ「!? 先生!!」


スナップ「……なるほど、水の足音か……」


ミレット「そうだ。 お前は、幻影のもう一人のスナップを見せ、

本体は透明になっていた。

だから、絶対に当たるはずだった、ライメイさんの技が当たらなかった。

本体は足音も消していて、何処にいるのか特定するのも難しい。

だから、僕はこの部屋全体を水浸しにした」


スナップ「……」


ミレット「スナップの幻影だけでは、攻撃は出来ない。

だから、本体も近くにいた」


スナップ「…俺も幻影もスナップっスよ」


マネ「くっふっふ!! よくやってくれた、人間!!

私が一人で、この城を支配するために、そいつは邪魔だったのだ!!」


スナップ「……マネ。 自分の力量も分からないようじゃ、

早死にするっス。 …魔物も人間も」


マネ「黙れ!! 先代の魔王の精鋭が偉そうにっ!!

時代は今の魔王様の精鋭である、私が…!!」


マネは座っていた、玉座ごと、後ろから突き刺された剣で、刺され死亡する。

玉座の裏に飾ってあった、鎧の剣をバゼルは使い、マネを刺した。


バゼル「永久に黙ってもらおうか…!」


スナップ「…ほらね」



バゼル「俺もお前に投げ飛ばされた時に、お前に視覚とずれがあると

気づいた」


バゼルは土が刺さったままで、虫の息のスナップに近づく。


バゼル「…王と王妃様はどうした?」


スナップ「心配しなくても、無事っス。 この裏にいる。

……人質として、俺が生かしておいたっスよ」


バゼル「何故だ? 現に今だって、お前ならこの土から抜け出せるはずだ」


スナップ「……もう疲れたっスかね? 俺もイリューも。

…人間に憎しみを抱くことに…」


バゼル「……」


スナップ「辛かった… 憎んだ相手を殺し終わっても、

また、理由をあれこれつけて、他の人を憎まなければならないのは……


これで、俺は、終わりっス……

…イリュー……ヴィネア……先に地獄で待ってるっス………」


最期の表情は晴れ晴れとしていた。


ミレット(…ヴィネア…?)


ミレットの中で何かが繋がった。


バゼル「…王と王妃を助けに行こう…」


三人は玉座の奥の部屋に向かう。



ディハール「おいっ! どういうことだ!? …お前、まさか…」


イリュー「うん? 知らなかったのかい? ヴィネアは魔物だよ。

…それも私と同じ、先代の魔王の精鋭さ。

ヴィネア。 全ての力が戻った感想はどうだい?」


ヴィネア「…“エールガーデン”で返して貰ったサンストーンのバングル。

“モリオン”の大岩に封印された私の魔法。

そして、この城で先代の魔王に献上した魔剣“クリムゾン”。

…確かに力は全て戻った。

だけど、今の意思は変わらないわ…!」


イリュー「……そうか。 残念だ。

スナップとも同じ痛みを持つ、同志なのに…」


イリューは壁の上に座る。


ディハール「!? 戦わないのか!?」


イリュー「全てが戻ったヴィネアには勝てないから。

話でもしよう」


ヴィネア「あの少女はどうしたの?」


イリュー「彼女はマルギッタ。 昔、助けたら懐いてしまってね。

今の魔王から力を受け取るといって聞かないんだ」


ヴィネア「なら、あなたも魔王を倒さない?」


イリュー「…なんていうか、私は戦うことに嫌気がさしてね…

スナップも… 

八十年前に封印された君とは違うんだよ」


ヴィネア「……」


イリュー「もし、精霊の力を持つ者を集めるんだったら、急いだ方がいい」


ヴィネア「どうして?」


イリュー「火の精霊の力を持つ者は南にいる。

彼も魔王の力を受け取ろうとしている…」


ヴィネア「……」


ディハール「なにっ!?」


ヴィネア「……あなたも逃げるんだったら、早くしなさい。


スナップが死んだわ」


イリュー「!! スナップ……ッ!!」



イリューは飛び、マルギッタの元に向かう。


イリュー「マル!! 撤退だ!! スナップが負けた!!」


マルギッタとオルタは互いに体力を削りあい、すでにボロボロだった。


マルギッタ「イリュー!! アタシを魔王のもとへ連れていけっ!!

もっと、力が欲しい!!」


マルギッタの隣に着地するイリュー。

苦しい顔をする。


イリュー「マル。 それは出来ない。 もう君が戦う必要もない

まず、この傷を治さなくては…」


マルギッタ「嫌だ…! アタシは…!!」


その時、イリューとマルギッタを吹き飛ばす、竜巻が起きる。


ディハール「戦う気がないなら、せめて南に行くなよ。

俺の故郷に送ってやる…」


竜巻は二人を巻き込んだまま、北へ向かう。

竜巻が見えなくなる。


ヴィネア「優しいのね。 あなた」


ディハール「まあ、特に女性にはな」


ヴィネア「…私が魔物だってことを、みんなに言うの?」


ディハール「……いや、女には一つ二つの秘密があった方が、

華になるのさ…

…というより、魔王が変わっていた方が驚きだ!」


ヴィネア「そう」


ヴィネアは笑うとオルタの元に駆け付ける。

オルタはギリギリで立っていた。


オルタ「ヴィネア……」


ヴィネア「早く、ミレットに治してもらわなきゃね」


ヴィネアは肩を貸す。

歩き出す二人。



マネを失った、王都中の魔物達は逃げ出していた。


バゼル達は王と王妃、大臣や使用人、シェフ達を助け出した。


王都は魔物の支配から奪還された。

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